第五十四集 姉と兄
6月23日 13:00 洛陽闘技場
「オラオラどうした!他の学校はこんなにもぬるいのか!」
4日目最終試合、最後の最後まで源先輩の蹂躙だった。大将戦まで縺れた試合は無敗、そして2年1組は全勝。うちの学校としてはこれ以上にないくらいの結果だが、なんだか呆気なさすぎる。
他の学校に十二家かそれに並ぶ者がいないからそう思えるかもしれないが、にしても呆気ない。
「あっはっは!なんだかつまらなさそうだな!魁紀!」
「そうだな、だってこんなの源先輩1人のショーみたいなもんじゃん。」
「それもそうだ、他の学校の2年生には十二家の者は居ないからな、仕方あるまいさ。」
「2年生には?」
「あぁ、俺たち1年、そして3年生なら、他の学校にも十二家の者はいる。」
へぇ、それを聞いてホットしたというか、楽しみが増えたというか。
「まあ1人だけだがな!あっはっは!」
1人だけかよ…
「洛陽高校3年1組、申喰将吾郎、藤十郎の兄で、数少ない姉上の相手を出来る方だ。」
マジかよ、あのお姉さんの相手できるの、めっちゃやばいやつじゃん。
「6日目の最終試合、楽しみだな!あっはっは!」
大丈夫か、この闘技場壊れたりしないか?
23:00 らく道旅館付近某所
「見事だったぜ、源拓。やはり童子切はお前にこそふさわしい!クハハッ!!」
「そんなことはどうでもいい、今日はなんの要件だ。」
「まあまあそう焦るなって、決勝の日の予定を伝えに来た。」
こいつの妖気、分からない…隠してるのか、それとも妖気のない人間なのか…
「次鋒戦の時、俺の仲間4人が丑崎を襲う。その時だ、お前は丑崎を助けに行く振りをして、そのまま童子切を奪え。簡単だろ?」
「お前は、そんなに丑崎のことが気に入らないのか。」
「あぁそうさ、ぶっ殺してやりたいとすら思ってる。だがそれは今はどうでもいい、童子切をお前に返させることが先決だ。」
本当にこんなやつ、信用していいものなのか。ただやはり童子切は返してもらわないといけない、あれは源家が所有すべき物だ、だからこれは仕方ないことなのだ…
「では俺はこれで、せいぜい頑張れよ、源。」
「あぁ…」
6月25日 13:28 洛陽闘技場
6日目最終試合、大将戦、辰仁鱗対申喰将吾郎、どっちが勝つか。
「久しぶりだな、申喰。」
「相変わらず色気のない女やのう、辰仁。」
「それはそっちも同じだろう、なんだその格好は、今から虫取りに行く小学生なのか?」
「うっさいわアホ、この麦わら帽子と虫取り網はわしの宝や!常に身につけとらんと気がすまへんのや!」
片や巫女服のお硬い顔、片や今からにでも虫取りに行くかと思わされる小学生、いや高校生。もっとこう、なんかなかったのか、分からないけど!
「まあええわ、わしらの勝敗は今んところどうなっとった?」
「私の全勝。」
「嘘こくなアホ!わしの2勝3敗や、今回の試合で振り出しに戻したるわ。」
「出来もしないことを言わない方がいいぞ申喰、かっこがつかなくなる。」
カンッ!!
「なんか、言うとったか?」
「そういうところだぞ、申喰!!」
見えなかった、申喰兄が一瞬にして辰仁姉に急接近。そしてそれに対して薙刀で受け止めた辰仁姉、化け物同士の戦いが今始まった。
14:00
あれから30分、未だに終わらない2人の試合、正直俺はもう眠い…
「魁紀まだ寝るには早いぞ。」
「せや、兄貴はまだ本気出してへん、今からが本番や。」
「弟2人揃って何してんだ…」
「「見学。」」
いやそういうことじゃなくてだな。
「申喰、そろそろ倒れてくれないか、もう他の試合が終わっているぞ。」
「そんなもん知らんわ、わしとの試合に集中せぇや!」
「ちっ、昔からなにも変わらぬな、お前は。」
「わしはいつなっても変わらへんで!」
2人が構えを取った、次が最後の技だな。
「画竜点睛!!」
「窮猿投林!!」
爆発が起きる、煙が舞い上がり何がどうなってるか分からない。
「ふふ、いつも思うが、素手でよく私とここまで戦えるものだ。お前は凄い男だぞ、申喰。」
申喰兄が倒れている、でも辰仁姉も若干血を流している。
「なな、なんと!30分も縺れた大将戦!勝者は!辰仁鱗!!」
長々と続いた試合は辰仁姉の画竜点睛によって終末を迎えた。そしてこれにより、明日の試合の予定が決まった。
3位決定戦、瀑海高校対福天高校。
決勝、任田高校対洛陽高校。
また申喰と酉脇と戦えるチャンスが来た、今回こそは負けん!
22:00 姫路城 某所
「クハハッ、お前ら、よく集まってくれた、礼を言うよ。」
「お前に言われる礼などないわ。」
「そうだ、全ては酒呑様のためだ。」
「全ては我らが主君のため。」
「酒呑様のために、丑崎を殺す。」
「ちっ、ゴミ共が…」
6月26日 14:13 洛陽闘技場
3位決定戦は福天高校の勝利で終わった、そして14時から決勝が始まっている。今小戌丸が戦っているところだ。
「行きます!哮天犬!!」
「ガハッ…」
「決勝戦先鋒戦、勝者!小戌丸正!!」
「よしっ!」
小戌丸の圧勝、さてと、やれやれ、なんで中堅線までは絶対に戦わないといけないのかね、3本先取で勝ったら残るシステムにしようよ。
「丑崎さん、次は任せましたよ!」
「あんま期待しないでくれよー。」
正直期待しないで欲しい、余計なプレッシャーがかかるから。
「やっと戦えるッコ。」
「酉脇が相手か、前回はやれなかったからな、今度こそちゃんとやり合おうか。」
「望むところッコ!干支十二家が1人、酉脇湊、いざ参るッコ!」
「干支十二家が1人、丑崎魁紀だ!」
「決勝戦次鋒戦!始め!」
「鳥!丑崎はん!!上や!」
「「えっ?」」
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