第7話 花火大会、そしてアメリカへ
ひゅーーーーーーーーーーーーーーーーう
ばーーーーーーーーーん
ひゅーーーーーーーーーーーーーーーーう
ばーーーーーーーーーん、ばん、ばんばんばーーーーん、ぱらぱらぱらぁ
奇麗に大きく打ち上げられた花火、水面にも映る
奇麗。
着替え、着替え、お母さん着せて。少し大人に見えるように、前もふっくらと、お願い。
お化粧もちょっと、しちゃうね。
どう?奇麗?
姿見で、自分を見る。
我ながら、美人である。少し大人に見える。ムフフ。
よし!いこう!
お父さん、お母さん、ありがとう。
今まで見た中で一番の笑顔であった。
車で駅に連れてきてもらった。凄い人である。マスクは外した。もう1度鏡をみて、化粧を直し、おかさん、これでいい?もちろんよ、綺麗だわ。よし!
いた!両手を振って、会えた。やっと会えた。
久しぶりに会えたはずなのに、ずっと一緒にいた気持ちであった。
物凄い人の流れを彼について行き、目的の花火大会会場についた
りんご飴と、チョコバナナを買って、麦茶と何故か、買ってくれた。
お小遣いは貰ってあるのだけれど。
初めて男の子に買ってもらった。りんご飴。
べー
舌見せて、赤いよね?
みせて
うわ、真っ赤!トマト飴だと、もっと、真っ赤なのかな
意味不明な話に、大笑いしていた。
なんでチョコバナナなのだろうね?
バナナチョコだと変なのかな
どっちが主役だと思う?
うーん、チョコなのかな?と答える。
でも中はバナナなんだよ
そんな事考えたこともなかった。二人は大笑いした。久しぶりに笑った。いつぶりだろう。こんなに笑ったのは。
花火が始まった。
上を見上げる。ものすごい大きな花火
こんなに大きい花火を観るのは産まれて初めて
奇麗
ドキドキが止まらない。手を繋ぎたい
手を繋ぎたい。
どうやって、手を繋げば良いの。誰か教えて、手のつなぎ方。
顔を直視できない。恥ずかしい。産まれた初めて、人を好きになった。
幼稚園の時に、うちにお泊りに来てくれた。
一緒に家の外で花火をして、楽しかった。バーベキューをやって
私一人、大はしゃぎしてしまい、その時であった。
私が炭火をひっくり返した。
木炭の塊が私の顔に飛んで来た時、素手で木炭をを払いのけてくれた
手は、やけどをしていた。
氷、氷と両親たちが、慌てたが
彼は、痛がる素振りをみせずに、
「大丈夫?」
と声をかけてくれた。
わたしのヒーローだった。ヒーローが今隣に居る
上を向いて、一緒に花火を観ている。ドキドキが止まらない。
手を繋ぎたい。好きと言いたい。
彼は、ふりかえって、私をみて
「綺麗だね」
わたし、が奇麗、花火の事?なの
どちらでも良かった。私の事だと思い込んだ。私の事を奇麗と言ってくれた。
ずっと空に浮かぶ花火を二人で見ていた。時間はあっという間に過ぎていく。
花火はフィナーレーを迎え
私は、ぼっそと、一言、呟いた。
また、一緒に来たいな
「もちろん」
笑顔で答えてくれた。
手を繋ぐとは出来なかった、好きという事も出来なかった。
好きと言って私が死んじゃったら、困るものね。
笑顔で手を振ってわかれた。
「またこようね!」
両手で手を振ってくれた
わたしも両手で、手を振って
「約束だよー!」
元気な姿を見せた。
そして、車に乗り込んだ。
車内に入ると、思いっきり泣いた。
泣きながら、言った
お父さん、お母さん
「ありがとう、私、必ず、治って帰ってくる」
そしてアメリカに渡った。
6年後奇跡は起きた。
医師
「まったくもって、問題ない。健康そのもの」
「筋肉質も影響ないから、歩けるし言葉も発せられるよ」
「まさか、本当に、彼のアイディアが無ければ、不思議なものだ。結果的に完璧だった」
「私も信じられないよ。もう、大丈夫。全て上手くいったよ」
「ところで、会話が通じるのだね」
「英語上手いね」
治ったのだ、私の記憶はまだ、花火大会のまま。そう中学校3年生の後の時のまま。
あれから6年経ったらしい。
私は色々な検査を得て、スタンフォード大学に進み、卒業した。
卒業式に、新穂両親が来てくれていた。うちの両親には、実はまだ内緒なのである。
26歳になっていた。明日で7月
私の生還は、今年の年末に伝える事になっている。
理由はわからないのだが、そのようにしている
お金の話なのかな?と思ったが、そうでもないらしい。
詳しくはわからないが、二人が私を救ってくれた事だから、安心していた。
15歳で渡米して26歳 この11年間、ずっと私を見守ってくれていたのだから。
さらに、新穂両親が何やら、話をし始めた。
確かに、面白い!と大笑いした。
お二人は、とても、変わっている人だ。
「あの、新穂さん。」
と私は言いかけたら
新穂さんなどと、他人行儀にいわないでね。お父さん、お母さんで良いのだから。
「はい、お父さん、お母さん」と笑顔で答えた。
うちの息子を頼んだよ。
両手をとり、はい、おまかせください、ありがとうございます、おとうさん、おかあさん。
こうして私は日本に帰ってきたのであった。
そう、彼に会うために。彼に想いを伝えるために。
それだけが私の生きる希望であった。




