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第12話 私のヒーロー

落ちる、落ちた、真っ逆さまに、美野里は、転落した。

下にいた子供達の親が、叫ぶー。

だめだーーーー!、悲鳴のような声が、辺り一面に響き渡っていた。



冷静でった。すぐに頭が回転し、やるべきこと等という準備より、

体が勝手に動いていた。



斜めにあがる、木目の大きい板。

急な角度の大きな板

とっさに、全力で、かけあがり


「あぶなーい」


とジャンプし、空を飛んだ、飛び込んだ。


とどけー!。

俺の体!



ずん!

ずし!


片手で、美野里をキャッチし、もう片手で、切れてぶら下がっている綱に手を、握りしめる。手は凄い摩擦ですり切れた。


軽く、手を離し、ワンステップさがって、この位置ならと


着地。




美野里をお姫様だっこ




美野里を見つめ


未来(良かった、間に合った)

「大丈夫?」



美野里(私生きてる、生きてる。未来、助けてくれた、やはり、彼なのだ、あの時と同じ)



幼稚園の時のお泊り、家で花火とバーベキューをした時、私は炭火をひっくりかえし、炭火が私の顔に飛んで来た。

彼は、素手て炭火を払いのけ、やけどをしながらも、痛いそぶりを見せずに


わたしに

「大丈夫?」

と…


今も、今、この時も、彼の手からは、血がにじみ出ている。

未来は、痛がる素振りもみせずに、私を見つめて


「大丈夫?」



すーと、涙が一筋零れた。


私のヒーロー、大好きなヒーロ、私だけの、あなた。あなたの元に来るために、想いを伝えるために、生き返ったの私。



美野里

「あ、ありがとう」

と言いながら、涙が出て


未来に抱き着いてしまった。



もう死ぬのは嫌なの、嫌なの、嫌。

私は、あなたの側に居るために、戻ってきたの。



声には出ない。

胸の中で大きな声で、叫んでいた。




未来は美野里を下ろし、髪を撫でていた。


子供達のご両親から、大きな拍手が、凄い、凄い、ありえないと、拍手喝さいであった。

注目の的である。信じられない彼の行動に、子供達まで、すげー。テレビのヒーローみたいだ。

お兄ちゃんかっこいい!と、注目されていた。



未来

「帰ろうか、目立っちゃってるね」



ハンドルを片手で、左手は少ししみたが、運転に支障はない。ゆっくりと自宅を目指す。

信号待ち間、美野里はずっと俯いてなにかを、考えている様子であった。

怖かったのだろうな。それは怖いか。真っ逆さまにあの高さから、落ちたのだからね。


言葉にはしなかった、静かに、無言で、自宅に向かった。



家についた。


部屋にはいると、


美野里(言葉がでない、何か言わないと)

「手、手大丈夫?」


未来(やっと、話しかけてくれた)

「大した事はないよ、擦り傷」

「それより、美野里は怪我していない?大丈夫」



美野里は又、ポロリと涙がこぼれ

未来の隣に座り、未来に寄りかかった。

「うん。大丈夫」


未来(調子狂うな、なんだろ、この静かな、女の子みたいな、美野里は)

(少しの間このままで、良いのだろうな、怖かったのであろう)



美野里(私のヒーロー、私だけのヒーロー、隣にいる、ずっといる、もう、どこにも行かない、ずっと)



未来は、ゆっくりと美野里の髪を撫でる。

美野里(嬉しい、これ気持ちいい。髪の毛撫でられるの、ずっとこうして居たい)

(もう、私言うかな、伝えたい、想いを、言いたい、言えない、声にだして、言いたい、言えない)

(どうして、私の事気がつかないの、知らないの?私よ、私、二宮 美野里)


髪を撫でられていると、眠ってしまったらしい。どこか安心している寝顔であった。




目をあけると、ずっと寄り添ったまま、未来は動かないで居た。


未来(美野里、落ち着いている、良かった)

「おはよう」


美野里(不思議、安心する。この場所、未来の肩、腕)

「うん、寝ちゃった、おはよう、今何時?私どれくらい寝ていたの」


未来

「4時間位寝てたかな、今17時過ぎ」



美野里(そんなに、未来、ずっと動かないで居てくれたの、嬉しい、照れ隠しであった)

「今日はありがとう、お腹すいたー、ね、大黒寿司いこうよ」



未来(寝てすっきりしたのかな?)

「うん、俺もお腹すいた、大黒寿司いこう」




大将

「お、未来、今日もお二人で、いらっしゃい。今日ウニとマグロ良いのはいったぞ」



美野里

「大将、それ、それください!ビールで」



いつもの元気の良い、美野里に戻っていた。


明日は、会社の歓迎会である。

美野里一人残していくのは、気が引ける。家でじっとしていられるのだろうか。


会社員、仕事だから、行かないとね。早く帰ってこよう。残業はしない。まっすぐ帰ってくる。

いや、まてよ、出勤予定日ではないのだから、歓迎会だけ行けば良いのか、

それなら、美野里を一人にしておく時間も、少なくてすむし。


スマホで場所を確認し、確かに、出社依頼等は書いていなかった。

主賓であるから、歓迎会に出席の事とだけしか。





歓迎会か、そういえば、歓迎等されたことが無いな、俺。

初めてか、歓迎会。入社式はあったが、立食だったし。歓迎会って飲み会だよね?


学生の時、数回、飲み会に行ったが、当時はお酒飲めなかったのだよね。旨いとも思わなかった。

今は、格別においしいのだけれど、どうしてだろう、明日は飲みすぎないようにしないと。


おやすみなさい。


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