ミルハの想い(1)
私は、いつの間にかこの世に存在していた精霊王のミルハです。
私と同じような存在は私を含めて12人おり、私達よりも上位の存在が4人、更に私達のトップが1人います。
本当に気が付いたら、17人全員が同じ場所にいたのです。
そんな私達ですが、本能で自分の存在が理解できています。
私は精霊王。精霊の中でもトップ・・・・・・いえ、あちらに精霊神がいるので、二番目ですね。
こんな感じで、周りの同僚?とでも言うのでしょうか、自分も含めて周りの面々の存在が詳しく理解できてしまうのです。
全員が不思議な空間にいるのですが、私達の力であれば、この空間ではない場所・・・・・・そうですね、私達と似たような姿をしている、沢山の人達が生活している場所、そこに行く事ができる事もわかります。
私たちのトップである1人、ヨハン様と言う方が、この場にいても仕方がないので、その場所に行く事を決意しました。
先遣隊として、ヨハン様、その下の存在であるアクト様、ソレイユ様、ソラリス様、ハルム様が一旦向こうに行く事になりました。
ですが、これは失敗に終わります。
向こう・・・・・・地上と言うそうですが、我らの同胞・・・・・・いえ、上司?が到着したとたん、5人の力の影響で地上に異変が起きてしまったのです。
大地は割れ、川は氾濫し・・・・・・地上で暮らす人々は、5人それぞれの持つ力の影響を大きく受け・・・・・・大惨事となりました。
5人はすぐさま異空間に戻り、地上に現われる事を禁止したのです。
その後、私達は地上の人々を見る事だけが楽しみの、少々味気ない生活を送る事になりました。
あの大惨事の時に、特に人々に多大な影響を直接与えてしまっていたのは、残念ながら私の上の存在である精霊神のハルム様だったのです。
ハルム様は、精霊を自在に操り、生み出すことも可能です。
その力は様々なのですが、あの時は、かなりの人数の人々が意識が朦朧として、中には発狂している人もいたのです。
我らの存在のトップのヨハン様がおっしゃるには、人の心に大きな影響を与えてしまった結果だと言うのです。
どう言う事でしょうか?
私もハルム様と同じ流れをくむ精霊王ですので、気になります。もう少しして落ち着いたら聞いてみましょう。
・・・・・・・そして、人々が完全に落ち着いたころ、ヨハン様にあの時の意味をお伺いしました。
「ふむ、あの時・・・・・・百年程前の時の話ですね。精霊神のハルムは、どうやら精霊を司ると共に、人々の心も司っているようです。ですが、あまりにも強大な力をいくら我らが必死で制御しても、人々に与える影響が大きすぎたのです。それに、この百年でわかりましたが、心の方の力を使う事については、ハルムは得意ではないようです。本人もあのような状況にさせてしまった事を悔いており、あの力は使いたくないようですな」
わかったようなわからないような・・・・・・
そんな思いで過ごしていると、今度は皆さんが人々に<スキル>を与え始めました。
事の起こりは、ヨハン様が弱い魔獣に襲われている人族を見つけ、その中の一人に<拳術>を与えたことが始まりでした。
その時の人族は、魔獣を討伐する事に成功し無事でした。
これを見ていた4人の方々は、思い思いに<スキル>を与え始めたのです。
ですが、それぞれの方々で与えられる<スキル>は異なるようでした。
そんな時、突然ヨハン様に異常が発生します。
なんと、ヨハン様を支配下にすることができる人族が現れたとの事。
ヨハン様以外はその様な状況になっておりませんので、私程度ではどのような状態なのか、理解する事が出来ませんでした。
ヨハン様は、本能の赴くままに地上に向かうと仰いました。
ですが、万が一前回と同じように、地上に異常が出れば即帰還すると言い残して・・・・・・
私達は不安になりつつもヨハン様が向かった地上の様子を見ています。
しかし、ヨハン様が気にされていた地上の異常は有りませんでした。
ですが、ヨハン様を支配下におけるとされた人は赤子で、ヨハン様はその赤子の面倒を見る事を決意されていました。
そんなヨハン様を見る事、約80年位??だったでしょうか、ヨハン様がこちらに戻ってきてから四千年程経ちました。
すると、今度はアクト様が当時のヨハン様と同じ事を仰るのです。
ヨハン様によると、地上の人の中で我らの誰かを支配下における力を持つ者、<統べる者>と言う我らの預かり知らぬスキルを持つ者がいるそうです。
普通は私達の誰も支配下におけない様なスキルのようなのですが、前回の赤子はかなりの強い力を得ていたようで、ヨハン様を配下とする事に成功したようです。
とすると、今度はヨハン様を配下にできるほどの力はないけれど、アクト様であれば配下にできる力を持っていると言う事になります。
私達は、前回と同じようにアクト様の様子を見守ります。
当然、地上には異常は有りませんでした。
ですが、対象の人はまたしても赤子だったのです。
その赤子を育てていく最中に、玩具として適当な武具を作って渡していたアクト様。
これが後に人族で国宝と言われる物・・・・・・聖武具となってしまったのです。
その後更に千年程が経つと、今度は私も支配下に置かれるような感覚に襲われました。
今回は私の番か・・・・・・と喜んでいると、なんと全員同じと言うではありませんか。
ヨハン様も含めてです。
とすると、今回の<統べる者>を持っている人は、とんでもない力を持っている事になります。
本当に驚きを隠す事が出来ませんでした。
数千年もの間・・・・・・私達が意識を持った時から、このような事が起きたためしがなかったのですから。
驚くと共に、心が躍っているのに気が付きました。
早くそのお方に逢いたい。
これが<統べる者>の力なのでしょうか?
とても心地良い事だけは間違いありません。




