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第9話 彼女のある意味ピンチ

ズババババババババババババババババババババババババババババババババ!


ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!、グシャアッ!、バキャアッ!


「うわ~、二人共、ノリノリだなぁ…」


俺の目の前で、一方的な大殺戮が繰り広げられていた…。




ここは塔内、900階を越えた辺り。


アンジュさんとジュリの二人と組み、三人パーティーとなった俺達の塔内攻略スピードは、一気に加速した。


どんなに強くとも、俺は魔女である以上、直接戦闘や、魔力の通じない相手は苦手だ。


そして、塔内700階を越えた辺りから、そういった苦手な魔物が増えてきて、なかなか先に進めなかったのだ。


せっかく、目当ての品を見つけてもガーディアンに邪魔され、引き返した事も少なくない。


だが、アンジュさんとジュリが加わった事で、状況は一変した。


一陣の疾風と化した、アンジュさんが、愛用の大鎌、『大いなる慈悲』を振るい、魔物達を一瞬で斬り捨てる!。


斬られた魔物は瞬時に消滅する。斬った相手の肉体も魂も消滅させる、『大いなる慈悲』の力だ。本当に恐ろしい…。


ジュリはパワードスーツを装着し、魔物達に向けてド派手に銃弾を撃ちまくり、更には、拳や蹴りを繰り出し、見るも無残な肉片に変えていた。はっきり言ってグロ過ぎる…。


「さて、二人に任せてばかりではいけないな。俺もやるか!」


俺はレアスキル、『闇を統べし者』を発動させる。漆黒の闇が魔物達に瞬時に襲いかかり、飲み込む!。




「二人共、ありがとう。お陰様で、この辺りの魔物達は片付いた」


「お役に立てて何よりです」


「アタシはもっと暴れたいっす」


あれだけいた魔物達も、さほど時を置かず、全滅。俺一人では無理だった。


それにしても、二人共、強い。


アンジュさんが強いのは、3年前のトレーニングで知っていたし、ジュリも強いとは聞いていたが、三人での塔内初戦闘の時は驚いた。


アンジュさんの強さは、トレーニング時の比では無かった。トレーニング時は手加減してくれていると聞いていたが、これでもまだ、本気ではないと聞かされ、また驚いた。


ジュリはパワードスーツを装着し、銃弾を撃ちまくり、接近したら、殴る蹴る!。やりたい放題で、アンジュさんとは違う意味で驚いた。


流石は、暗黒天使長と副天使長だ。




「二人のおかげで本当に助かっている。直接戦闘の強力な魔物や魔力の通じない魔物が増えてきて、手こずっていたが、二人が加わってくれた事で対処できる様になった」


「私達は直接戦闘のほうが得意ですから」


「カオルさんが苦手な部分はアタシ達が補うっす」


「ありがとう二人共。俺も頑張る」


さて、先に進むか!




今日の塔内探索を終えた俺達は、自宅に戻っていた。夕方になったら帰る事にしている。腹も減るし、何より深入りは危険だ。退く時は退く、俺の3年間の教訓だ。




さて、帰って来たら風呂だ。塔内で戦って、色々汚れたし、汗もかいた。女になってから、その手の事に敏感になってしまった。早く風呂に入ってさっぱりしたい。


念のため、アンジュさんとジュリに聞いたら、後で良いとの事。


では、一番風呂を頂くとしよう…。




脱衣室で巫女服、下着を脱ぎ、浴室へ。


専用のスポンジにボディソープを泡立てると身体を洗い始める。シャワーで洗い流したら、次はシャンプーで髪を洗う。


ちなみに全て、天界製。3年前にジュリに貰ったジュリホ(ジュリ特製スマホ)を使って、天界通販で購入。支払いは魔力だ。


女の身体や髪の洗い方は、3年前のトレーニング初日の夜に、アンジュさんから教わった。




『貴女に女の身体及び、髪の洗い方を教えるので、一緒に入浴します』


そう言って、俺を浴室まで引っ張っていった。


しかも、浴室ではお互い全裸だし!。


アンジュさんは、


「女同士、何も隠す必要は有りません」


と、平然としていたが、俺はもう大変だった…。だって俺、少し前まで男だったし、女っ気0だったし。


そんな俺にアンジュさんは、女の身体、髪の洗い方を教えてくれた。


男と違って、繊細な洗い方が必要との事だった。




「ふぅ~、良い湯だ…」


身体、髪を洗い終わった俺は湯船に浸かっている。天界製の入浴剤を入れた、乳白色の湯だ。


風呂は命の洗濯とはよく言ったものだ。この異世界に来て、命懸けの日々を送るようになって、つくづくそう思う様になった。




「さて、そろそろ上がるかな」


そう言って、俺が風呂から上がろうとした時、突然浴室の扉が開いた。


『まさか、アンジュさん!』と思いきや、いたのはジュリだった。それだけならまだしも、ジュリは全裸だった!。


「ちょっ!お前、なんて格好を!」


「浴室で全裸は当然っす」


「そりゃ、そうだが、俺が入っているだろ!」


「だからこそっす。3年前に揉み損ねた、その立派なお胸様を、今日こそ思う存分揉みしだくっす!」


「アンジュさんはどうした!?」


「アタシ特製の拘束具で、身動きを封じたっす。だから邪魔は入らないっす」


「何やってんだ、お前はーっ!」


思わず絶叫する、俺。不味い、この状況は実に不味いぞ!。


ジュリは本気だ。目を血走らせ、手をワキワキ動かしている。獲物を狙う、狩人と化している。




「カオルさん、覚悟ーっす!」


「させるかーっ!」


俺とジュリの浴室内での争いは、30分後、拘束具から脱け出したアンジュさんが、ジュリを止めるまで続くのだった…。

ジュリはカオルの胸を揉む為なら、先輩にして上司である、アンジュさんを拘束する事すら躊躇いません…。

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