猫の国、建国
猫の国が建国される前後の話です。
芸術の国を平定してから3日目。
マグス達からの報告に耳を疑った。
「芸術の国が"猫の国"になった?なんでだ?」
「多分じゃが、信者数と1国の主神になるとその神に由来した国になるんじゃと思うのじゃ。芸術の国の神は邪神じゃったが表の顔は"芸術"の側面が強かったから芸術の国じゃったのだろうと。それと、人類種を捨てて我が神と同じ猫もしくは近しいネコ科種族になりたいと元芸術の全国民が言うてきとるからそれらも要因じゃろう。」
「俺は王なんてやるつもりはないぞ。めんどくさい。」
「儂らも我が神に王などとつまらぬ役はやらせぬよ。それに猫の王は歴代全て猫星座に居るから平気じゃ。」
「やっぱ、猫の王がいたか。どういうことが出来る奴らなんだ?」
「仲間意識、縄張り意識などは生前の猫以上に高く武闘派と智謀派が揃っておるわい。ま、儂らの足元にも及ばぬがの。」
「ふーん、猫の国民は俺にとってどんな存在になるんだ?」
「信者、崇拝者などかのぉ。信仰される神とは神としての格が高く、認知されるほど神力が強力になっていくのじゃ。」
「配下にはならんのか?」
「祝福、加護、寵愛を授けたり、使徒任命したりとか出来るじゃろ。配下になるとしたら死後、猫星座に昇天した際じゃろう。」
「なるほど…あと、猫の国なんだから入国時に猫に転生する条件に出来るか?」
「ん?国法にすれば可能じゃな。あとは我が神が国に誓約を付与すれば、確実じゃろ。」
「誓約?例えば"俺に魂を賭ける想いの無い者には戦う力は必要ない"んん?」
「はぁ、我が神よ…」
猫顔をしわくちゃにしながら呆れた様子のマグス。
「ハッハッハッ、まさか本当に発動しちまうなんてな。だが、これなら密入国者や工作員は潰せるんだから良いじゃないか。ついでだ、いくつか追加しておくか。"密入国者は四肢を破壊された状態でネズミの餌になる。なお、破壊状態は奈落神の権能効果が付与される"と"俺の敵は猫の国民全ての敵。敵に打ち勝つ力を授ける"と"心正しき者に奈落神の加護を授ける。日々、健やかに穏やかな気持ちで過ごし、時には自己研鑽も怠るな。さすれば道は自ずと拓かれる"あとはなにかあったかな?ま、あとで追加していくか。」
「はぁ、我が神よ無茶苦茶じゃぞ。特に最後のは。…じゃが、これで猫の国も安泰じゃの。」
「とりあえず、建国式とかするんだろ?最初だからな。俺も出席しといた方が良いだろ?」
「今調整中じゃ、暫し待っとれ。」
「ちなみに、歴代猫の王の中の誰をトップにするんだ?」
「ん?国の政治にただ1匹の猫の王には任せんぞ。歴代の猫の王を我が神の国の政治と似たような体制で運営させるのじゃ。議会制じゃな。ただし、我が神の御言であれば最優先されるから大丈夫じゃよ。」
「お、おう。そうか、そういうのはそっちで上手くやってくれ。」
そんな会話から2日後に他国へ「猫の国」建国が喧伝され、元芸術の国の議事堂があった場所はあの時の戦闘で建て替えした方が良いことになって新しい建物をたったの4日で建ててしまったらしい。おいおい強度とか大丈夫か?と心配していたらマグス達と元芸術の国の建築家達、現在は猫国立建築家というジョブ持ち達がスキルとかを全力駆使したらあっという間に出来上がったらしい。まさか、俺の誓約と加護の影響か?気をつけねば。
街中の様相もだいぶ変わったらしい。件の俺が空けた大穴には地下に繋がる階段を設けて定期的に掃除したり、地下建築を進めているらしい。はぁ、すげぇ。よくわかってないけど。
大穴の周りも更地にした影響は無くなり新しい建物が出来上がっていた。中央区や貴族街も戦闘の痕跡が綺麗さっぱり無くなっていた。
幽世宮があった場所には白い建物が建っている。あの日、最後に俺は幽世宮内で犠牲になった者たちを思いながら忌まわしい幽世宮を虚無魔法で消滅させた。ナメクジ野郎がいた地下ごと。
そしたら、その跡地に俺の教会を建てやがった。なにを考えているのか問いただすと嫌な思い出を新たな良い思い出で埋めるために建てたとイピス&イアンテが代表してマグス達の協力のもと、1番最初に建設したらしい。
…そんなことを言われたら、それ以上なにも言えないじゃないか。ひどい奴らだよ。まったく。
猫の国の建国の日、多くの国民が俺の教会前に集まった。歴代猫の王の中にいつぞや会ったハンクの姿を見かけた。そうか、奴も王だったのか。
「ハンク、久しいな。」
「はい、お久しぶりです。主様。」
「まさか、ハンクが猫の王の1匹だったとはな。」
「意外でしょうか?」
「あまりにも腰が低いからな。まったく考えもしなかったが、あの中で唯一俺に忠言出来た胆力を思えば王の器として申し分はないな。」
「ありがたき幸せです。これから国の政でより一層尽力します。」
「ああ、よろしく頼むよ。」
そこへ、メイガスが現れ
「我が神、我ら国民へ建国の挨拶をお願いします。」
「ああ、わかった。」
俺は天歩で上空へ駆け上がり、集まった国民が俺を見れるようにした。
「我は奈落神である。猫の国、建国嬉しく思うぞ。我は神である故、国の統治は配下の者たちに全任しておる。だが、安心せよ。我はこの国を地上のどこよりも安住の地にしてみせる。我は邪神に生贄を捧げていた芸術の国のような愚かなことはせぬ。我は我が思う正しき者が安心して生きられるように神の力を用いて成そう。我の前に立ち塞がる敵がどんなに強大であろうと我は最期の時まで諦めずに喰らいついてくれよう。猫の国民にも諦めない心を持ってほしい。どんなに困難なことでも道はある。我は不可能を可能として来た。諦めるな進み続けろ。だが、時には猫らしくだらけるのも大事だ。」
集まった国民の顔に笑顔。
「我が愛しき者達の、これからの旅路に"祝福を"…さぁ!建国を祝して祭りの始まりだ!ほどほどに飲んで食べて祝おう!フハハハハッ!」
わぁー!
「まったく、我が神はまた勝手なことをしおって…」
「ふふふ、これこそ我が神らしくて良いではありませんか。」
「じいちゃん達!ほら、お祭りいくよ!」
「これ!引っ張るでないわい!祭りは当分逃げはせん!」
「はーやーくー!」
「ええい、わかったわい!」
「え、はやすぎ!」
「ふぉふぉふぉ、早く行くのではなかったのじゃ?」
「…マグス、大人気ないですよ。」
「儂もまだまだ若いもんには負けんわい!」
「きょうそうだ!よい、どん!」
「あ!狡いぞ!」
「へへん!」
建国祭は三日三晩続き、マタタビ酒で泥酔しまくった猫国民で溢れた。
水の国にも誓約付与されていたのか?されてませんよ。普通の神には国自体に誓約なんて付与したらどうなるかわかったもんではありませんから。普通はそういうのは逆手にとられて悪用されるものですから。
"心正しき者"とは曖昧な表現だと思いますが主人公視点での"心正しき者"ですので悪用されることはありません。利用してやろうなんて下心丸出しで考えている者に"心正しき者"が適用されるなら犯罪者もそれに含まれてしまいますね。
主人公の加護効果はふんわりとしか考えてません。我が道をゆく者の背中を押すみたいな?そんな感じです。
猫の国民はネコ科しか居ません。ただし、ネコ科獣人やネコ科魔人やネコ科妖精やネコ科妖怪やネコ科人は厳正な審査を通過後に帰化することが出来ます。死んだら猫星座行きは決定です。審査の中に"死後も奈落神につくか?"という質問でNOと答えるとお祈りされますし、二度と猫の国に訪れることが出来ません。扱い的に工作員認定ですね。厳しいようですが、不穏分子は徹底的に排除した方が何かと便利かと。
猫の国に生まれた子供が奈落神から他の宗教に鞍替えしたら、二度と猫の国に帰ることは出来ませんし加護剥奪とスキル封印ですね。一応、成人(15から18歳)になるまでは両親の転生前の種族の子として生まれ、成人になったら国に残りネコ科種族に転生する。もしくは国から出て安住の地を探しに旅立つかを選べる国法を猫の王達が決めます。宗教の鞍替えさえしなきゃ国を出ても猫の国に戻ることは出来ます。ですが、ネコ科種族の転生は絶対ですね。
種族転生が気軽すぎる?二度と元の種族に戻れないことを考えたら普通はキツいと思いますよ。一種の祝福(呪い)ですから。
FFOの種族転生はその種族でしか使えないスキルと他の種族でも使えるスキルがありますから猫に転生したら武器依存スキルは軒並み死にスキルになりますね。
前回の掲示板回の中で「入国するのに猫(ネコ科種族)に転生する必要があるし、プレイヤーは戦う力がなくなるらしい」ってのは主人公の誓約の効果ですね。何も考えずに猫(ネコ科種族)に転生しても魂?賭ける気ねぇよwなんて内心思っていたのを誓約によって看破されて力をなくされただけですね。そういうプレイヤーは出国して猫のままでも再入国は出来ません。魂を賭けられなければ信用ゼロですから。
元々、猫の種族プレイヤーはどうなるのか?普通に出入国出来ますが、特別なことはありません。ただ、四六時中のログイン中は監視され続けるだけです。カルマ値が1万以上無いと監視は外されませんし、信仰してる神が主人公以外だと監視は絶対に外れません。
何故そんなに他種族に厳しいのか?猫の安住の地にしたいからですね。生前は猫の国、死後は猫星座フェリスで。
所詮はデータだと思ってぞんざいに猫を扱う人はいると思うんですよ。
ハンクの初登場は「ねこねこパニック」です。固有名があるキャラは大事にします。
祝福の効果はマタタビ酒以外の状態異常耐性です。
マグス達をじいちゃん呼びしていたのは猫星座の最多数いる子猫達です。死んでるので一生子猫のままです。マグス達も一生じいちゃんです。
偉い人挨拶が長いのは伝えたい言葉多すぎるからですよ、きっと。私はそう思ってます。
それでは、次回*˙︶˙*)ノ"




