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私の夢は冒険者だったのにっ!!  作者: ウニア・キサラギ
4章 犠牲者は追手に
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75話 襲撃

 交代で見張りに着くことに決めたメル達。

 彼女達はそれぞれ今回の事を考える……敵の狙いは何なのか?

 真夜中に会話をしていると突如それは襲ってきたのだった。

 ルクスの明かりに照らされた二人は慌ててその部屋を見回す。

 突然まばゆい光に襲われた仲間達も次々と目を覚ましたが……彼らの事よりもメル、リアスはその光景に息を飲んだ。


「ちょっとメルちゃん……どうしたの?」


 その光に目を細めたライノの訴えにメルは答えずに一点を見つめ呟く……。


「なに……これ……」

「や…………」


 そのあどけない顔にある二つの瞳は見えないというのに少女はそれから逃れる様に身をよじる。

 メルとリアスは彼女の元へと駆け寄るとそれをすぐに振り払う。

 そう……彼女の周りには黒いミミズが這いまわっていたのだ。


「な、なんだよ……これ……なんでお嬢ちゃんの所にだけ? 無防備なのはオイラもエスイルだって同じだろ!?」


 カルロスは叫ぶがその通りなのだ。

 そして寝ている以上、無防備と言う点においてはライノもシュレムも同じ……だというのに……。


「こいつらもしかして脳みそがあるのか?」

「…………」


 シュレムはそれを目にし疑問を口にする。

 エスイルはその光景に怯えてしまったのだろう、シュレムの服の裾を掴み……震えながら黒いミミズへと視線を向けた。


「いや、とても知能があるようには見えない……」


 彼女の疑問に答えたリアスはそのミミズを一匹掴むと眺めつつそう口にすると、リリアの近くにミミズが居ないかを確認しつつその答えにメルも頷いた。


「多分、操るのに何か条件が居るんだと思う……じゃなければ私達の誰かを操ればいいんだし……」


 ましてや先ほど考えた様にメルの母親が狙いならメル自身を操れば良いだけなのだ。

 その事はメルも容易に考え付いた。


 だけど、そうしない……いや、そうできない……きっと私達は操れないんだ。

 それならこの状況でリリアちゃんだけ狙えたのも頷ける。

 でも、その条件って何? だってエスイルは彼女より幼い、あの子のお蔭で助かった事は忘れる訳ないけど……戦えないという意味では同じ、カルロスさんもだ。

 アイビーさんも操られてるって様子ではなかった……ほかに何か条件がある?

 女性だけ……は無い、私は男性が操られているのを見た。

 そうなると年齢も関係はないだろう……。


「…………なんでリリアちゃんだけ……」

「分からないな……でも、この虫は一体どこから……」


 辺りを見回すも部屋の中に誰も居らず……扉も開けられた様子もない。


「もしかして……ここじゃないか?」


 だが、カルロスは一点を指差し仲間達にそれを見るように促す。

 そこには隣の部屋に通じる穴があり……どうやらそれは直されているのか向こう側はうかがえない。


「え、でも……シルフは何も……」


 そう、シルフは何も言っていない。

 風の流れがあるのならば現状が現状……彼女もそれを理解しているはずであり、メルに伝えてくれるはずなのだ。

 だというのに、シルフは何も言っていなかった……メルは慌ててシルフの方へと向くと……。


『風の流れは無いよ、ごめん……メル、役に立てなくて……』

「シルフの所為じゃない、でも……風の流れが無い?」

「とにかく、あっちの部屋を見てみるしかない……リリアは危険だここでメルと待っててくれ」


 リアスはそう言うと、メル達が頷くのを見て、ランプを掴むと部屋の外へと飛び出して行ってしまい……後を追う様にライノも駆けていく。

 二人を見送った後、振るえるリリアを包む様に抱いたメルは――。


「あ……でも、鍵……」


 その事を思い出し、声に出したが……。


「扉の開く音……聞こえたな?」


 カルロスは隣の部屋へと顔を向け、そう呟き――。


「かちゃかちゃっていう音も聞こえたよ?」

「ってアイツ鍵無しで開けたのか!? 犯罪じゃないか!?」

「お、驚くところってそこなの?」


 シュレムの言葉に苦笑いをしつつ、メルは隣の部屋へと視線を動かす。


 アイビーさんに鍵をもらった方が良いのは分かってる……。

 だけど、今は安全を確かめる方が先、じゃないと……リリアちゃんはまたあんな風になるかもしれない。

 それは本人も望んでないはず。

 それだけじゃない、きっと事が済んで不要になったら……人を平然と操る人はこの子をどうするのかも分からないんだから……。






 隣の部屋へと急いだリアス。

 彼は手早く針の様な物で鍵を開けると部屋の中へとランプの明りを照らす。


「リ、リアスちゃん? 鍵は貰い行った方が良かったんじゃ?」


 彼を追って来たライノはそう指摘するが、リアスは静かに首を振り……。


「誰かが居るならその間に逃げるかもしれない、アイビーさんには俺が謝って置く……それよりも今はあれが何処から来たのかを……」


 部屋の中へと足を踏み入れたリアス。

 彼はランプの明かりを頼りに部屋の中を見渡すと……。


「ん?」


 まるで見つけてくださいと言っている様に釘で打ち付けてある木の板。


「どうしたの?」

「いや……確かあっちは俺達が居た部屋だ」


 彼はそれへと近づきつつ、周りを見てみると……一匹の蠢く虫を見つけた。

 そして彼は木の板へとその瞳を向け……


「穴は塞がれてる……だけど、こいつが居るって事はやっぱりこの部屋からか?」


 木の板を睨みつつそう口にする。


「みたいね……」


 リアスの呟きに答えたのはライノ、彼は窓を指差し――


「ここ鍵空いてるわ」

「でも、だとしたらどうやってメルとシルフの目を掻い潜った?」


 リアスの疑問にライノは床から一つの石を手に取り、答える。


「封風石、これで風が窓に入らない様に流れを変えたんじゃないかしら? それなら納得いくわ」

「なるほど……な」


 彼はライノの推理に頷きつつ再び木の板へと目を向け――。


「リアスちゃん? どうしたの?」


 ライノは彼の様子に疑問を持ち、木の板へと同じように瞳を向けた。


「……文字が書いてあるわね」

「ああ……」


 鋭い目つきで彼が見つめる先、そこには――。


「お前のその目は見えるのか? あの女の仕業か……か」

「その目? その目ってリリアちゃんの事かしら? それにあの女ってメルちゃん?」

「……どうだろうな」


 一見すればリリアの事を言っているようにも見える言葉……だが、リアスは違う風にもその言葉が捉えられ……。


『まさか、な……俺達はあれから彼女に会ってはいない、だが敵には追われている。俺達が彼女に会っていないのはとっくに分かってるはずだ』


 そう、考え――。


「部屋に戻ろう、メル達にこれを伝えてやらないとな」

「ええ、そうね」


 二人の男達はその部屋を後にした。

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