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私の夢は冒険者だったのにっ!!  作者: ウニア・キサラギ
最終章 運命を乗り越える者達
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461話 エルフの祠へ

 祠はヒューエンスとは真逆の方にある様だ。

 メル達はそこへと進みながら今後の事を考えていた。


「それで、エスイルを見つけたらどうするんだ?」


 シュレムが口にした疑問。

 それはもっとも大事な事だ……。

 例えエスイルが見つかったとしても、その後どうすれば良いのかが分からなければ意味が無い。

 エルフを倒すにしてもエスイルを傷つけることは避けれなくなってしまうだろう。

 それでは駄目だ。

 メル達はそれは勿論、頭の中に入っていた。

 だからこそ迷ってしまったのだ。

 このまま向かって良いのだろうか? と……。


 だが……。


「……方法が無いわけじゃない」


 メルはそう確信してもいた。


「どうするの?」


 ライノの疑問にメルはゆっくりと語り始める。


「確かにエルフをエスイルから追い出す方法は分からない」

「そうだな……だけど、方法が無いわけじゃないって?」


 どういう事だろうか?

 リアスは疑問に思いメルの話を促す。

 それに対しメルはゆっくりと頷くと尻尾を揺らし言葉を続けた。


「だけど、私を乗っ取るのは失敗してる。何で失敗したのかは分からないけど、何か条件があるはず」

「それはそうなのか? でも、追い出す方法にはならないんじゃないか?」


 シュレムの疑問にも頷いたメルは自分の胸へと手を当てた。


「でも、エルフを抑えることが出来たら?」

「抑える?」


 そう、メルが考えた方法は単純だ。

 追い出す方法が分からなければ追い出さなくても良い。

 下手にエスイルを傷つけるのではなく……。


「エスイルはまだ完全に消えた訳じゃない、ずっと頑張ってる」


 それは既に分かっている事だ。

 なら、それに賭けるしかないのでは?

 メルはそう考えたのだ。


「今の私はエルフが協力してくれてる……これがきっとエスイルを助ける為に必要だったんだ。エルフを受け入れて抑える事が……」

「なるほど、つまり……」


 リアスは納得したかのように首を縦に振った。

 そう、単純だ。


「うん、エスイルに呼びかけてあの子にエルフを抑えさせるの……私とは状況が全く違うし難しいと思うけど、きっとエルフ自信を倒すか、これが助ける方法だよ」


 メルはそう口にすると振り返りその先をじっと見つめた。

 きっと助けて見せる。

 その強い意志を含んだ瞳は揺らぎなく一点を見つめる。

 だが……。


「メル? 何処を見てるんだ?」

「悪い、けど進む道はあっちよ?」

「何で真っ直ぐ歩いてたのに左を向いたんだ? メル……」


 そんな事を仲間達に言われ、メルは顔を真っ赤にする。

 そして別の方向へと向き、ぎこちない動きで歩き始め。


「だから、そっちじゃないこっちだって!!」


 慌てて仲間達が彼女を抑え、目的の方向へと歩かせるのだった。





 エルフの祠。

 村人に聞いたその場所にエスイルはいるという……。

 だが、果たして本当に彼はそこに居るのだろうか?

 そんな不安も感じつつメル達は歩く……。


「……森が深くなってきたな」


 リアスは周りを見渡す。

 先程までは林程度だった木々が密集してきている。


「森での戦いはあまりないわね、武器の扱いには気を付けた方が良いわ」

「うん、分かってる……」


 メルはライノの言葉に頷き尻尾を立たせた。


「何でだ? 森でも関係なく戦えば良いだろ?」


 首を傾げるシュレムだが……。

 事実、森の中や洞窟の中では戦いにくくなってくる。

 その一番の理由が障害物だ。

 弓を使うにも剣を使うにも不利になってくるのだ。

 だからこそ、冒険者にはそう言った場所でどうやって戦うかが重要になってくるのだ。


「とは言ってもメルのアクアリムならそれほど気にする大きさでもない、それにシュレムの武器もそうだな」

「ええ、幸い大きな武器と言ってもシュレムちゃんの盾なら困るほどではないわね……とはいえ視界は悪くなるわ」


 顔をしかめるライノだったが、不思議な事に魔物の気配はない。


「変な匂いもないし……」


 メルが辺りを見回すと精霊達がメルに向かって手を振って来た。


「安全みたい?」


 取りあえずは精霊の脅威となるモノはないみたいだ。

 だが、魔物が居ないという確証にならない。


「そう? でも魔物の気配が無いのは確かね……」

「ああ、ここは一体なんなんだ?」


 森の中を歩くメル達。

 彼女達の目に映るのは森の動物達と豊かな自然だ。

 だが、やはりその自然の中に不自然な程魔物の姿は無い。


「……エルフの祠の近くだからか?」

「そんなはずはないよ、だって魔物は魔物……どこにいたっておかしくはないんだよ?」


 そう、この世界で人々の暮らしを脅かす魔物。

 何度も戦って来たそれらは何処にでもいる。

 街道に数が少ないのは冒険者のお蔭でそこが危険だと判断しているからだ。

 仮に街道や街、村の近くに出たとしても冒険者が退治を依頼される。

 その為、魔物を見かけないという事はあるが、全くという事ではない。

 だからこそ、この森がおかしいと三人は考えた。


「でも、居ないって事は他に理由があるのか?」

「それは……」


 無い……。


「ソーリオスもそうだったろ?」

「それはナタリアの結界が……」


 メルはそこまで口にしてはっと気が付いた。

 結界。

 そう、メルの曾祖母が住む街ソーリオスには祖母ナタリアが施した強力な結界が張ってあった。

 だからこそ悪意のある者達は入れない街になっており……。

 例えそうでなくても入るにはナタリアの魔紋が必要だ。

 つまり、悪意ではなく本能で動く魔物でも魔紋を持たないどうやっても入る事は出来ない。

 そうやって故郷を守っていたのだ。


「そうするとエルフの結界? じゃぁ、もしかして……」


 もし結界があるとしたらこのまま進んでも何も見つからないのでは?

 そう思ったメルはその場に立ち止まってしまった。


「どうした?」

「え? あ……うん……実は――結界があるなら、見つからないようになってるかもしれないって……」


 そして、その事を仲間へと説明する。

 するとまず食いついたのはシュレムだった。

 彼女はメルに喰いかかる勢いで詰め寄り。


「それじゃ意味がないじゃないか!!」


 と声を荒げる。

 最近メルへの態度が変わって来た姉に対しメルはびくりと身体を震わせた。

 だが、彼女自身思わずそう言ってしまったのだろう。

 すぐに表情を変えゆっくりとメルとは別の方へと目を向ける。


「落ち着けシュレム……メルはエルフと同化したんだろ? なら……この森も抜けれるかもしれない。帰るのは簡単だ……食料も余裕はある」

「そうね、戻るにはまだ早いわ……行ってみましょう?」


 ライノはそう言ってシュレムをなだめ。

 リアスはメルの手を握った。


「ごめん……」

「謝る事じゃない、ここに来るまでどんな場所か聞いた方が良かったのは俺達もなんだ……」


 そう言うと彼はメルの手を引き歩き始めるのだった。


「うん、でもこれだけは信じて、なんとなく、本当に何となくだけど……この先に何かがあるような気がするの」


 メルはそう言いながら、シュレムの方へと目を向ける。

 すると、シュレムは大きなため息をつきつつも、しっかりと頷くのだった。

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