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私の夢は冒険者だったのにっ!!  作者: ウニア・キサラギ
最終章 運命を乗り越える者達
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457話 眠る炎の精霊

「メル、一つ聞きたいんだが……」


 野営の準備を終え精霊達を待つ中、リアスは話を切り出す。

 彼は真剣な顔をしており――。


「どうしたの?」


 メルが首を傾げると辺りを見張っていたシュレムへと目を向ける。

 そして、メルへと少し近づき――。


「ふぇ!?」


 メルは急に近づいて来たリアスに驚きつつもその顔を赤くした。

 するとリアスは自身の口元に人差し指を当て「シィー」っと言い、メルは慌てて自分の口元を手で覆う。


「ど、どうしたの?」


 声を潜め、今一度尋ねるとリアスは迷いを見せつつ、メルにだけ聞えるような声で疑問を口にした。


「エスイルを追って来たのは良い、助けないといけないからな。だけど、どうやって助けるんだ?」

「それは……」


 精霊の力を使って……メルはそう言おうと思ったが、言葉を止めた。

 精霊の真の力を目覚めさせる。

 その為にメル達は精霊の道具を集めてきた。

 しかし、具体的にエスイルをどうやって助ければいいのかは分からないのだ。


「その顔、どうやるのかは分からないんだな? それにエルフも現れない……疑り深いとは思うが……」


 その事はリアスもうすうす感じていたのだろうか?

 難しい顔を浮かべている。


「な、なんとかできるよ……」


 そう口にしたメルだったが、自信が無かった。


 エスイルを正気に戻す? どうやってやるんだろう?

 だって憑りつかれている訳だし……。

 でも、精霊のエルフが嘘を言うはずもないよね?

 一体、どうしたら良いんだろう?


 メルは悩み尻尾は大きく揺れる。

 だが、解決策が思い浮かぶわけでもない。

 ましてや現状、手が無いのは変わりないのだ。


「フラニス……ううん、イグニスの覚醒……」


 メルは炎の精霊の名を口にする。


 でも、リアスの言う通り……。

 本当にエルフを信じて良いの?


「……でも他に手掛かりはない」


 メルはそう口にするとまだ幼い精霊へと目を向ける。

 リアスの剣ナウラメギルに抱きつく様に眠る炎の精霊、彼女はメルの視線に気が付くことなく寝続けている。


 どうして、ずっと?


 メルは疑問に思いつつも不安を覚えた。

 しかし、これ以上メルに何かできる事も無く……。

 自分の無力さにメルは歯がゆさを感じた……。


「メル?」

「ううん……きっとどうにかなるよ……」


 そう口にした。

 だが、それはあくまで希望だ……。


 精霊をすべて解放した時、何が起きるかはエルフは深く語っていない。

 だからこそ、メルは不安なのだ。

 例え嘘を言う事は出来なくとも黙秘する事は出来るのではないか? と……。


 ……何を考えてるんだろう私……。


 メルはすぐに思い直し、首を横に振る。

 確かに黙っている事は出来るかもしれない。

 だが、他に何か手掛かりがある訳でもないのだ。

 エルフは精霊の道具をすべて集め、精霊を解放するように言って来た。

 そして、言葉にしたものはすべて嘘ではないだろう……。


 そう思う事にしメルは空を仰ぐ……。


「どうしたんだ?」

「ううん……ちょっと考え事をしてただけだよ」


 そう口にすると彼女はリアスへと微笑んだ。

 するとリアスは少し顔を赤くする……。


「リアス……?」


 メルが彼の名を呼ぶと彼はそっとメルの頬に手を当ててきました。

 思わずドキッとしたメルはリアスの顔をじっと見つめ……。


「何があってもメルは守る……」


 彼の言葉を聞き心臓が跳ねました。


「え、あ……ぅ……」


 そして、変な声が出てしまい、おろおろとしてしまうメル。


「うん……」


 どうにか首を縦に振り彼女は笑みを浮かべる。

 普段から親であるユーリ達には守ってもらっていた。

 だが、異性からその様な言葉を受けたのはリアスだけだ。

 それが嬉しくてメルは思わず笑みがこぼれたのだ。


「えへへ……なんか恥ずかしいね?」

「……それは、俺の言葉だ……」


 リアスはそう言うとメルの頭を撫でる。

 家族以外には振れて欲しいとは思わなかった自慢の髪だったが、彼だけは特別だ。


 これが……やっぱり好きになるって事なのかな?

 だとしたら、これ……暖かくて好き、だよ……。


 メルは気持ちよさそうに目を細め、彼の手を受け入れていた。


「私もリアスを守るから……ね」


 そして、そういう風に口にするとリアスは頷き……。


「ああ、それにエスイルも皆で……」

「うん! 絶対に助ける」


 二人は誓い合い、同じ空を見上げるのだった。

 すると――。


「誰か来るぞ!!」


 見張りをしていたシュレムが声を上げる。

 一体なにが起きたというのか? メル達は立ち上がりシュレムの方へと歩み寄る。

 そして、その誰かを見て驚いた。


「あれって……」

「森族だな? それも全員か?」


 そう、そこに居たのは森族の人が3人。

 彼らはメル達の方へと真っ直ぐに歩いて来ていた……。


「もしかして村の人?」


 メルが疑問を浮かべると彼らはメル達の目の前まで歩いて来て頭を下げるのだった。

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