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私の夢は冒険者だったのにっ!!  作者: ウニア・キサラギ
最終章 運命を乗り越える者達
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456話 受け入れられない街

 メル達が街の外へと出ようと門へ戻った時の事だ。

 門兵はメル達を見ると前へと立ち……。


「つい先ほど着いたばかりだろ? もっとゆっくりしていかなくて良いのか?」


 と問う。

 それに対しリアスは溜息をつき……。


「奴隷と言っても一緒に居るんだ、彼女達だけ外で休むという事は俺には許可できない」


 そう言うとリアスへと視線を向けた。

 彼は続けざまに……。


「外は壁がないんだ、魔物だって出るかも知れない。今日は偶々掃討作戦が数日前にあったから魔物が少ないが」

「……そうか」


 彼はメルを見て舌なめずりをした。

 メルはまだ幼いが見た目は十分に可愛らしい少女だ。

 折角街の中に入れた彼女をそう簡単に手放したくないのだろう。


「危ないからな、中に居た方がいいんじゃないか?」

「駄目だ。宿の外に置けば彼女を攫う奴が居るはずだ」


 心配する門兵の視線に気が付いたリアスははっきりとそう答えた。

 そして、恐らくメルを狙うのは彼のような人だけではないだろう。

 リアスはそれを理解し門兵を睨むと手で払うような動作をし……。


「外に行く、退いてくれ」

「……そうか、この街で売れば高値がついたのにな」


 彼はそう言うと心底残念そうな表情を浮かべゆっくりと門の横へと移動をする。

 そして、大きなため息と大げさに両手を肩の近くへとあげると……。


「通っていい」


 と口にした。

 メル達が去って行くその背中を見つめながら彼は……。


「外の方が魔物が居て危険だってのにな」


 と残念がっていた。




 メル達は外へと出るとようやくほっと一息をつく。


「こんな事言いたくないけど、嫌な街だね」


 首輪を外し、腕輪を付けたメルはそう感想を述べる。

 それは仲間達も感じた事だ……いや、他の大陸に棲む者なら例え奴隷持ちだったとしても嫌な気分になる者が多いはずだ。

 何故ならヒューエンスは人を人と思わない最低の街。

 そう言っても過言ではないだろう。


「でも、エスイルはどうするんだよ!」


 シュレムの言葉に一同は困っていた。

 実際彼の情報は一切ない。

 エルフに憑りつかれた後、ヒューエンスへと向かうという情報を聞いてから一切なにもだ。


「酒場には行けないし……」


 情報が集まるなら酒場だ

 だが、その酒場へと行くにはメル達は入る事すらできないのだ。

 外で待っている事は出来てもリアスとシュレムは仲間を置き去りなんて事は出来ないだろう。


「精霊に聞いてみるしかないよね」


 メルはそう思い、彼女達に聞いてみる事にした。

 すると氷の精霊であるフアルが首を傾げた。


『ねぇ、フラニスはまだ起きないの?』

「え? それは……」


 メルは答えに困ってしまった……。

 確かにフラニスだけは力を解放していない。

 覚醒の詠唱は唱えた……だが、まだ幼い精霊のままなのだ。


「と、とにかくエスイルの情報はない?」


 メルは話を元に戻すとフアルは考えるそぶりを見せた。


『私はメル達と一緒だったから皆に聞いてみるね』

『私達もそうしますね』


 精霊達はそう言うとその場から去って行く、どうやら情報を集めてくれる様だ。

 しかし、精霊は精霊。

 メルの瞳無くては物を見る事は叶わないだろう。

 だが、それでも今はわずかな情報でも欲しい。

 そう考えたメルは止める事はしなかった。


「……さてと私達は野営の準備を……」

「そうだな……」


 流石にこのまま夜を過ごす訳にはいかない。

 メル達はその場で野営をする事に決めた。

 本当はすぐにでもヒューエンスと言う街を離れたかったが、エスイルが居るかもしれない状況で離れる事は出来なかったのだ。


「なぁ……」


 作業を進める中、一人手を止めたシュレムは首を傾げる。

 どうしたのだろう? とメル達も手を止めると彼女は眉をひそめて疑問を口にした。


「そう言えばこの大陸ってエルフや森族(フォーレ)の大陸だろ? エルフはともかく森族は何処にいるんだ?」

「確かにそうだな……なんで港のやつは知らなかったんだ? 隠れた村なのか?」


 二人は首を傾げますが、メルは頷きかけおかしい事に気が付きます。

 その理由はエスイルの母クルムの存在だ。


「……おかしいよ」


 だからこそそう口にした。


「何がおかしいのかしら?」


 それに対し疑問をぶつけてきたのはライノだ。

 そんなライノの方へと向きメルは口を開く……。


「クルムさんは村で攫われてそれで奴隷になった。だったら、少なくとも襲った人は知ってたって事だよね?」

「そうだな、だけどそれがおかしいのか?」


 帰って来たリアスの言葉にメルは頷く……。

 そう、おかしいのだ。


「じゃぁ何で港町の人さえ知らないの?」


 そう、それがおかしい所だ。

 いくら隠れた村だったとしても、何の情報も得られないのはおかしいのだ。

 襲われたという事は何らかの情報が漏れていたという事だ。


「確かに、おかしいな……」

「いや、出もクルムさんって採取に向かった時に攫われたんじゃなかったのか?」


 今度はシュレムがそう口にし……。


「ならおかしくないだろ? 幻影魔法とか使えば楽勝だろ?」


 とメル達に伝える。

 それは確かにそうだ。

 幻影魔法ならば村を隠す事は出来るだろう……だが……。


「森族の街で? 魔族が居ないのに?」


 そう、幻影魔法も名が現す通り魔法だ。

 森族には扱えない。

 そして、なによりメルは――。


「それに盗賊とか人買いとか……そう都合よくクルムさんを攫える? 村の位置を知っていて、それで攫ったんじゃないかな?」

「つまり……?」

「だからね、森族の村はきっとどこかにあるって事……そして、それを隠されてる」


 メルはそう答えを出したのだった。

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