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私の夢は冒険者だったのにっ!!  作者: ウニア・キサラギ
最終章 運命を乗り越える者達
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455話 追い出される街

 買い出しの最中もメルとライノは汚らわしいものを見るような目で見られていた。

 そんな中でもリアスとシュレムは情報を集めてくれようとしたのだが……。


「……そんな獣は知らないか……」

「それに野良って犬や猫じゃねぇんだぞ!!」


 メル達は勿論だが、二人はより一層苛立っていた。

 それもそうだろう。

 仲間を動物扱い。

 いや、仲間だけではない。

 街に居る他の種族は皆、彼らにとって害獣と言っても良いだろう。


「嫌!!」


 そんな声が聞こえメル達が振り返る。

 するとそこではボロボロの服をまとった少女が手入れの行き届いていない髪を引っ張られているのが目に映った。

 その光景は先日港町で見た風景と同じだったのだ。


「テメェは何処まで飼い主様を怒らせるんだ!!」


 するとその奴隷の主なのだろう、男はそう叫び手をあげようとしているのだろうか?

 拳を握っていた。


「っ!!」


 メルは思わず助けに入ろうとしたのだが、リアスはそれを止める。


「リアス!?」


 彼の行動にメルは思わず頬を膨らませ、尻尾を立てる。

 だが、彼はそれでも助けに行く事を許可はしてくれなかった。


「周りを見て見ろ」


 メルが言われた通り周りへと目を向けると、そこには大勢の人。

 彼らは一様に奴隷と男のやり取りを見ており。楽しんでいる様だ。


「やれ! やっちまえ!!」


 はやし立てる者も中にはおり、男は少女へと向かって拳を振るう。

 メルは思わず目を逸らし目を瞑る。

 殴られる音とくぐもった声だけがその場に響き、メルは悔しい気持ちになった。

 だが、どうする事も出来ないのだ。

 ここで暴れてしまえばきっとリアス達にも迷惑が掛かる。

 そう理解してメルはただただ耐える事を選んだ。


 ごめんなさい、ごめんなさい!!


 心の中で謝罪を告げるメル。

 何故そうしたのか? 理由は簡単だ。

 彼女には助けるだけの力があった。

 だが、この街……人が見ている前で自分が前に出る事は危険だ。

 仲間達にまで危害が及ぶ可能性がある。

 いや、可能性ではなく、確実だ。


「……おい」


 そんな中、聞き覚えのある声にメルは顔をあげた。


 彼女は冷や汗をかき、その人物を見ると……。


 シュ、シュレム!?


 彼女の姉代わりの少女シュレムは苛立った様子を隠す事無くそう言うと……。


「なんだ?」


 男はシュレムの方へと向くとその表情を歪める。

 そして、動かなくなった少女へと目を向け……。


「テメェ何してるのか分かってるのかよ?」


 と地を這うような声を出したのだった。


「勿論だ、聞き分けの無いペットを躾けている」


 その言葉を聞くとシュレムは前へと一歩足を踏み出した。

 それを慌てて止めようとしたメルだったが、リアスの行動によりそれは踏みとどまった。

 自分が止めた方が良いのは分かっていた。

 きっとその方がシュレムも止まってくれる。

 そう思ってはいた……。

 だが、此処は魔族……そう魔族(ヒューマ)の街だ。

 メルが変な行動を取ればそれは仲間であるリアス達に迷惑をかける事になる。


「待つんだシュレム」


 だからこそ、メルは彼に任せようと考えた。


「何でだよ!!」


 当然反発するシュレムだったが、それを後ろへと下がらせると……。


「仲間がすまない、俺達は今日この街に着いたばかりで……」

「ふん……そういう事か……道理で獣風情に良い服を着せているわけだ」


 彼はそう言うと首輪から伸びている紐を引っ張り――。


「ほら! 行くぞ!! ちゃんとついて来い!」


 シュレムを睨みながら去って行く……。


「あ、おい!!」

「やめろ!!」


 納得がいかない彼女を何とか抑えつつ、メル達は男が去って行くのを見つめる。


「何で止めたんだよ!!」


 シュレムはリアスに文句を言うが、リアスは溜息をつくだけだ。

 そして――。


「とにかく外に出てから説明をする」

「……チッ」


 シュレムは舌打ちをした。

 だが、その場で答えを得られないという事は理解したのだろう、黙ってリアスについて行きメル達はヒューエンスの外へ出る。

 そして、暫くは慣れた所でリアスはゆっくりと口を開いた。


「この街は最低な街だな……」


 その声は苛立っている様で、メルは黙り込む。


「だったら何で止めたんだよ!!」

「暴れて彼女を助ける事は出来た。だが、俺達が暴れてもメル達が暴れたと話が作られる可能性だってある」


 そう、リアスが彼女を止めた理由。

 それは、メル達の為だ……。


「はぁ? どういう事だよ?」

「今言った通りの意味だ……罪は俺達じゃない、メルとライノにかけられるって事だよ」


 ため息をつき言い放った言葉にシュレムは呆然とするのだった。

 それもそうだろう、何故おとなしくしていたメル達に罪がかかるのか?

 だが、メルは簡単に想像できた。

 あの街はメル達他種族の扱いが家畜並み……いやそれ以下だ。

 それに対し人が助けに来たとすればそれは奴隷たちにとっては好機だ。

 逃がす事は出来ない。

 だが、それは魔族側にも分かっている事だ。

 だからこそ、情報操作をするに違いない。

 そう考えたメルは……。


「本当に魔族の事しか考えてない街なんだね……」


 と悲しそうに口にするのだった。

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