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450話 ルーフ大陸

 メル達は船を居り、ルーフの大地に立つ。


「ここがルーフ……」


 そこは小さな港町だった。

 目立ったものは何もない。

 港にその近くにある宿屋に酒場。

 小さな小さな町……村と呼ばれないのがギリギリかもしれない……。

 メル達はそう思いながらも船の方へと振り返る。

 そこには積み荷を降ろす船乗りたちの姿があり、彼らは今日の食事が楽しみなのだろう。

 その話でもちきりだった。


「どうした?」


 船長はメル達に気が付くと近づいて来て笑みを見せる。

 彼らには悪いと思った。

 だが、メルは頭を下げ……。


「先を急ぎたいと思います……ありがとう!」


 彼に礼を告げると船乗りの何人かは今の言葉が聞こえたのだろう。

 慌てたように寄って来て……。


「お嬢ちゃん行っちまうのか!?」

「また、男だらけになっちまう!」


 彼らは心底残念がっている様だ。

 だが、メルは微笑むと――。


「またお願いします」


 と口にする。


「お嬢ちゃんの5年後が楽しみだな」

「そうか? 今のままで十分だ」


 なんて事を口にされメルは思わず乾いた笑いをあげた。


「お嬢ちゃん、気を付けるんだぞ? ここからは森族(フォーレ)天族(パラモネ)は――」


 それに関してはメルも十分理解していた。

 ヒューエンスという国は何故か魔族(ヒューマ)にこだわっている。

 何故そうなのかは分からない。

 だが、彼らの口ぶりから特例でなければ他種族は人権が無い。

 そう言っても良いだろう。


「メルには俺達がついてる」


 リアスはそう言うとメルの頭を撫で、メルはそれを受け入れると顔を赤らめながら俯いた。

 

「……うん、信じてる」


 心から紡いだ言葉にリアスもまた顔を赤らめ――。


「チッ……」


 シュレムの舌打ちがメルの耳に聞こえた。

 不安になり彼女の方へと目を向けると彼女は明後日の方へと顔を向けたが、どうやら以前とは違う様だ。


「ほら、行くぞ?」

「うん!」


 彼女の言葉にメルは元気よく頷くと船乗りたちに頭を下げた。

 ここから先はヒューエンスに向かいエスイルを助け、精霊を助け、家に帰る。

 いよいよ手に届きそうになった目標にメルは足を速めた。


「……行こう、エスイルが待ってる」


 そう彼女は口にし、前に進んだ。


「待て、メル!」


 そんな時リアスに止められメルは首を傾げる。

 するとリアスは溜息をつき……。


「場所、分かるのか?」

「あ……」


 当然の疑問を投げかけられ、彼女はぴしりと音を立てるかのように止まった。


「「「…………」」」


 仲間達はそんなメルを見つめてため息をつくと船長の方へと向き直る。


「ヒューエンスと言うのは何処にあるのかしら?」


 ライノが訪ねると一瞬目を丸めた船長は大笑いをし……。

 それにつられて船乗りたちも笑う。

 そして――。


「この港を出て北だ! 北に真っ直ぐ……大きな山が見えるだろ? あれを目印にすると良い」

「助かる、それと森族(フォーレ)達の森は何処にあるか知ってるか?」


 リアスは当初の目的の場所を尋ねるがそれに関しては彼が首を傾げた。


「ルーフにあるって言われてるのは知ってるが、何処の森だかは分からないな」


 何故、新しい国のヒューエンスは分かっても元からあるであろう村は分からないのか? 気にはなったが、知らないと言われた以上どうする事も出来ず。


「分りました、探してみます」


 とメルは彼らにお礼を告げた。

 船乗りが知らなくともこっちの大陸の人々は知っているだろう。

 なら、彼らから聞けば良い。

 そう考えたのだ……。


 今度こそ別れを済ませたメル達。

 彼女達は真っ直ぐと港町の出口へと向かう。

 その途中の事だ。


「嫌だわ……臭い」

「本当に臭うわね」


 その言葉はやけにはっきりと聞え、メルは何かあったのだろうか? と彼女達の方へと目を向けた。


「っ!」


 すると彼女達は明らかに嫌悪の視線でメルを睨み……。


「何でこの街に獣が居るのかしら」

「ああ、臭い、鳥畜生まで居るわ……飼ってるなら首輪ぐらいつけたらいいのに」


 その言葉を聞き、メルはこの街の異常に気が付いた。

 確かに普通に歩く森族や天族(パラモネ)は居た……だが……。

 まるで奴隷の様に首輪をつけられ引っ張られる者達も居たのだ。

 共通の港だからだろう、その数はすくなかった。

 だが……。


 それは十分に異様な雰囲気を持っており……。


「嫌な大陸だな」


 シュレムはそれを感じ取ったのだろう、低い声でそう呟いた。

 そんな時だ、小さな子供が目の前で転んでしまったのだ。

 メルは慌てて子供に駆け寄り、声をかけようとした。

 ただ、それだけだった。


「触らないで!!」


 手を伸ばした時、そんな怒鳴り声が聞こえメルは思わず身を縮こませる。

 それと同時にリアスが声の主とメルの間に割り込み……。


「っ!?」


 苦痛に顔を歪めた。


「リアス!?」


 彼はどうやら腹に何かが当たったようだ。

 彼の腹の位置は丁度しゃがんだメルの頭がある場所でもあった。


「メル、子供にかまうな……早く行こう……」

「で、でも……」


 転んだ子供が気になったメルはそちらを向く。

 しかし、メルは見てしまった。

 子供さえ……。


「…………っ」


 メルを睨んでいたのだ。

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