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448話 釣りの結果は?

「リアス?」


 糸を垂らしじっと見つめるリアス。

 時折、竿を揺らすが大体は動かない彼に対しメルは首を傾げた。


「動かないけど……大丈夫?」


 彼女がそう心配したのは理由がある。

 ちらりと横を見ると歓喜の声を上げ、次々と魚を釣り上げる船乗りが居た。

 魚が居ない訳ではない。

 だが、釣りを始めてから時間は経ったというのに未だに釣れないのだ。


「…………」


 リアスは溜息をつき釣り竿を持ち上げる。

 すると……。


「虫、居ないね?」


 投げ込む時にはちらりとしか見ていないためどうついていたのかは分からない。

 だが、確かにそこに居たはずの虫はいなかった。


「食われたな……」

「え、ええっと……」


 冷静にそう言うリアスに対しメルは苦笑いをした。


「釣りやったことあるんじゃ?」

「あるが……」


 釣れた事は無い。

 まさかそういうんじゃ? とメルは疑うが、彼は悪戯っぽい笑みを浮かべると……。


「川と海じゃ結構違うんだな、師匠は川の方が難しいって言ってたんだけどな」

「そう言うものなの?」


 メルの質問にリアスは頷く。

 そして、手早く虫を取り付けると――。


「あたりさえ分かれば釣れるさ」

「う、うん」


 やけに自信満々な彼に対しメルは不安を覚えつつ頷くと、またもや隣から歓喜の声が聞こえる。

 負けた所でどうなるという訳ではないが……。


 なんか、何となく残念な気持ちになりそう。


 そう思いながら釣れた魚を見つめるのだった。





 それからさらに時間は過ぎ……。


「よし! 今日はそこまでだ!」


 船長の声が聞こえ、釣りを止める船乗りたち。

 勿論リアスも竿を上げるのだが……。


「うん! 随分と釣れたな……て」


 桶の中に居る魚を見て回る船長がリアスの桶を見て苦笑いをした。


「何だ釣れてねぇじゃねぇか」

「すまない……」


 彼が申し訳なさそうに謝ると船長は豪快に笑う。


「気にするな、気にするな! ま、たまには魚に餌くれてやったほうが、ここには餌があるって魚が酔ってくるはずだからな」

「…………リアス……」


 メルはリアスの名を呼び肩を叩く。

 勿論責めている訳ではない、それは彼にも伝わったのだろう。

 少し微笑んだ彼は――。


「明日は釣って見せるさ」

「う、うん」


 だめかもしれない。

 メルはそう思ったのは心の隅へとしまい込み――。


「頑張ってね?」


 と彼を応援するのだった。

 結局、初日の釣りの結果はメル達の横で釣っていた船乗りが一番だった。


 彼の名前はシュルドと言うらしい。

 彼は桶を持ち喜ぶとメル達の方へと目を向けた。

 そして、近づいてくると……。


「坊主もうちょっと誘いを入れた方が良いぞ」

「そうか、参考にする」


 助言らしきものを告げるとその場から去って行く……どうやら調理場に魚を持っていく様だ。






 その日の夜は魚尽くしだった。

 焼いた魚にスープに入った物。

 色々とあったのだが……。


「うん……」


 調味料も満足に使えない現状では美味しいというよりは……。


「生臭いな」


 口に入れた時の生臭さが目立った。

 しかし、食べない訳にはいかない、メル達は我慢し魚を口に運ぶ。

 何とか食事を終えたメル達。

 しかし、口の中にはいつまでも残っている違和感があった。

 やはりどうしても生臭いのだ。


「どうにか出来ないかな?」


 メルはそう呟くと鞄の中をあさるのだが……。


「香草や匂い消しに使えそうなのは無いよ……」


 がっくりと項垂れる。


「こればっかりは仕方ないわね」


 そう言ったライノは鞄の中からなにかを取り出した。


「ライノさん、それなに?」


 メルは気が付くと彼へと尋ねる。

 黄色い根っこの様な物を手に彼は微笑み。


「一応ね、腹痛の薬を作っておこうかって思ったのよ」

「なるほどな、それは助かる」


 彼の言葉に対しリアスは頷く。

 メルは首を傾げたままだったが、それがすりおろされると匂いで何を使っていたのかが分かった。


「ショウガ!」

「ええ、そうよ」


 特徴的な匂いにメルは嘗て雪国で飲んだスープの事を思い出す。

 ブランシュが作ってくれた体が温まるスープだ。


 そういえば、あれにも少しだけどお魚が入ってた……入って……。


 その味を思い出そうとするとメルはある事に気が付く。


「あれ?」


 匂いだ。

 確かにあのスープには魚も入っていたのだ。

 だけど、生臭さなどは無かった。

 ハーブなどを使った様子も無い……なら、どうやって臭みを消したのか?


「ショウガ……」

「ええ、そ、そうよ?」


 メルが食い入るようにそれを見つめるとライノは困ったように笑う。


「これだけを食べても美味しくないわよ? そもそも食べ物じゃ」

「もしかしたら使えるかも! ライノさんそれ、余ってないですか?」


 ライノが食べ物ではない、と否定しようとした時、メルは目を輝かせてライノが手に持つショウガを指差すのだった。

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