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440話 船上での戦い

「シレーヌ!!」


 メルは走りつつ水の精霊であるシレーヌへと声をかけた。

 すると彼女は真面目な表情で頷いた。


『海を荒れさせるんですね』

「うん! だけどその前に!!」


 メルは船上へと飛び出ると剣を構える。


「この人達を追い出さないと!!」


 目の前にいるルーフ兵を睨みメルはそう口にした。


「こ、こいつなにものだ!?」


 兵士たちは中から出てきた少女を警戒する。

 だが、彼らが驚いたのそれだけではなかった。


「メル!!」


 彼女を追って来たリアス。

 そして遅れてシュレム、ライノと中から人が出てくると――。


「あ、あいつらはどうしたんだ!」


 彼らは剣を構えメル達をようやく警戒した。

 しかし、それでは遅い。

 メル達は既に敵へと飛び掛かっており……。


「ひっ!?」


 兵士たちは怯えた声を上げる。

 次々に倒れていく兵の中煌びやかな鎧を身に着けた男性はうわずった声で叫ぶ。


「ル、ルク様!! ルク様を呼べ! 呼ぶんだ!!」


 兵士が叫び、彼らの船へと報告に向かう兵の一人を追うリアス。

 彼は口角を釣り上げるとローブの下から針を取りだし、投擲した。

 すると、報告に向かった男はその場に倒れ……。


「な!? ど、どうした?」

「そう簡単に報告何てさせるとでも思ったか?」


 彼がそう言うと兵士たちは剣を構えながら震え……。


「魔物に絆された邪教徒め……」


 と震えた声で告げる。

 一方シュレムは黙り込み……もくもくと敵を海へと落とす。


「何事ですか!!」


 だが、この騒ぎで気が付かない程相手は鈍感ではない。

 船から降りてきたのは先程の少女だ。


「貴方達……自分が何をしているのか分かっているのですか?」


 そして、兵士たちに目を向けそんな事を口にするとメル達を睨む。

 彼女はまるで汚らわしい物を見るような瞳だ。

 対しメルは彼女を睨み、黙る。


「全く、あの様な獣に負けるとはそれでもルーフの騎士ですか?」


 彼女はそう言うと鞭を取り出し、それを振るうと床へと当たり大きな音が辺りへと響く。


「え?」


 それはただの鞭だった。

 刃などはついていないはずだ。 

 しかし、床には傷がついており……。


「何を驚いているのです? 鞭と言うのは使うものが使えば肉を裂く武器になるのですよ? それに獣を躾けるにはこれが一番」


 そう言って鞭に舌を這わした彼女は妖艶に微笑んだ。


「さて……それでは躾けを始めましょうか?」


 彼女はそう言うとメルへと迫り鞭を振るう。

 メルはそれを避けるのだが……。


「駄目だ! メル!!」


 リアスの叫びが聞こえたと同時にメルは呆然とした。

 避けたはずの鞭は角度を変えメルへと近づいていたのだ。


「っ!? きゃぁぁああ!?」


 右腕に当たったそれはメルの皮膚どころか肉を容易く切り裂く。

 鮮血が溢れ出て、メルはその場に崩れ落ちてしまった。


 あ、熱い!? あつ……い……痛い、痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いっ。


「どうですか? 少し手を抜いてみたから痛みが良く分かるでしょう?」


 それは、たった一撃だったが圧倒的な差だった……。

 痛みにあえぐメルを見て怪しい瞳をした少女は唇に下を這わせる。

 そして……。


「ちゃんと躾けないと、ですよね」


 そう言って何度も何度もメルへと鞭を振り下ろす。

 当然メルは鞭を避けたり、防いだりしようとした。

 しかし……。


「ひっ!? ぐぅ!? ぁぅ!?」


 鞭は予想から外れた軌道でメルを襲い。


「あはは! 良い、その表情は良いですね!! もっともっと苦しみなさい獣! 喘ぎ、苦しんでそして…………」


 ルクは目を見開き、人の物とは思えない恐ろしい顔を浮かべる。

 そして彼女は手を振り上げ……。


「獣は獣らしく、無様に死になさい!!」

「メル!!」


 リアスはメルを助けようと走るが、間に合わない。

 彼の前には兵士が居り、それを倒しながらでは彼女を救う事は出来ない。

 それに気が付いたリアスは表情を歪めた。


 振り上げられた無理はメルへと向かって振り下ろされる。

 その起動は素直な物で簡単に避けられるだろう。

 だが、それを避ける体力はメルには残っていなかった。

 服は無残に裂かれ、そこからは彼女の鮮血が溢れ、血の色に染める。

 その傷一つ一つが痛みと熱を訴え、彼女は動けなかったのだ。

 誰が見ても絶体絶命。

 それは明らかだった。


「シュレムちゃん!!」

「おおおおおおおおおおお!!」


 盾を構えたシュレムは兵士達を押し、退かしながら進む。

 だが、それだとしても邪魔が入る。

 かと思われた。


「ナトゥーリッタァァァアアアア!!」


 何故か叫び声をあげる彼女に驚く兵士達ではあったが、それでも引く事は無かった。

 それを見るまでは……。


「な、なんだ!? あれは……」


 シュレムの構える盾は大きな物だ。

 だが、その盾からは木々が生まれ。

 それはまるで壁のようになり兵士達は悲鳴を上げ、それから逃れようとした。


「な、なん……」


 当然ルクも予想外の現象に驚くが、すぐにメルへと鞭を振り下ろす。

 しかし、その一瞬の隙は彼女にとって十分すぎる物だった。

 木々の壁は消え、視界が晴れると同時にルクへと体当たりをするシュレム。


「きゃぁぁああ!?」


 彼女は流石は騎士と言えるだろう……武器を落とす事は無かった。

 しかし、体勢を崩したのだ。


「押し切れシュレム!!」


 リアスの声を聞き、舌打ちをした彼女はそのまま海へと向かっていく。

 目的は彼女を海に落とす事だ。


「こ、この! 私になんて事を!?」


 叫び声をあげ、焦ってはいるようだ。

 しかし、まだ余裕は見られた。

 だからこそシュレムは手を抜かず。


「落ちろぉぉぉおおおおお!!」


 叫び声を上げ、彼女を船から落とすのだった。

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