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428話 ライノの行方

 グアンナを倒したメル達はその場を調べる。


「この騎士はグアンナにやられたのかな?」


 メルは疑問に思うが、リアスは首を横に振った。


「なんだよ、違うのか?」


 シュレムもそう思ったのだろう、リアスへと尋ねると彼はゆっくりと口を開く……。


「グアンナの仕業なら腐ってるはずだ。だけどこれは腐って解けた訳じゃない、異臭もしなかった」


 それは確かにメルも感じていた。

 狼族の血を引く彼女だからこそ匂いには敏感だ。

 だが、グアンナが現れるまでは異臭と言う異臭を彼女は感じなかった。


「じゃぁ……」


 メルは騎士の死体を見つめる。

 一体どういう事だろうか?

 メルは首を傾げ地面へと触れる。

 すると物陰からふるふると震えるドリアード達がいた。

 彼女達は幼くなっていた。

 だが、メルの事は分かったのだろう。


『めるぅ……』


 舌っ足らずになってしまった彼女達は一斉にメルの方へと近づく。


「ど、どうしたの? 皆……」


 その怯えようは普通ではなかった。

 メルはまさかここで禁術を使われたのでは? とまで考えたがそれは違った様だ。

 何故なら――。


『えすいるが、えすいるが……』


 メルはそれを聞きはっとした。

 見ればレライの景色にそっくりなのだ。

 建物の残骸が無いだけで、地面の焼け焦げた跡などがそれと同じだった。


「エスイル……」

「なんだって!?」


 ここにエスイルが居た。

 メルはそう確信したが……。


「ライノさんがエスイルに攫われた?」


 そう口にしてもメルは疑問しか思い浮かばなかった。

 いやむしろ、流石にそれは無いだろう、そうとしか思えなかったのだ。

 事実、エスイルがライノを連れ去るのは体格的に無理だろう。

 そもそも、もしそれが可能であれば、操っていることを隠しメルを攫っていればいいだけだ。

 エルフの片割れはメルの身体を欲していたのだから……。

 もし仮にバレたとしてもエスイルの無事を交換条件をだされてはメルは逃げる術を失っていたはずだ。


「流石にそれは無いんじゃないか?」


 リアスもライノが攫われたとは考えづらかったのだろう、そう口にし……。

 メルはゆっくりと首を縦に振る。

 自分で言った事だったが、やはり無理があると感じたのだ。


「なら、エスイルを追って行った? 羽が傷ついてるなら、きっと足跡があるはずだよ!」


 メルがそう言うと今度こそ頷いたリアスはシュレムへと目を向ける。


「足跡を探そう」

「おう! 任せて置け!!」


 そう彼女は意気込むとその場に座り込み足跡を見つけようと必死になるのだった。

 リアスもまた、辺りを見回し足跡などの痕跡が無いかを調べる。

 すると――。


「あったぞ!!」


 シュレムの声が響き、、メル達は驚く。

 慌てて彼女の元へと行くと確かにそこには足跡があった。


「どうだ!?」


 シュレムは期待するようにメルを見つめる。


「これは……どうなのかな?」

「これはライノの足跡だ……ほら、向こう側に向かってる!! シュレム、良く見つけてくれた!」


 リアスが彼女を褒めると彼女は複雑そうな顔を浮かべる。

 どうしたんだろう? そう思ってメルは彼女を見つめると――。


「オレはメルにどうだ? って聞いたんだけどな」

「あ、あはは……」


 そんな事を言われてもメルはそう言った事には詳しくない。

 リアスに尋ねる方が確実だろう。


「と、とにかく急ごう?」


 メルがそう言うと二人は頷き、足跡を追う。

 この先にライノが居るのだろうか?


「無事でいてくれよ、ライノの旦那!!」


 シュレムはそう言いながら前へと進む。







 暫く歩いた所だ。


「これ、血の跡!!」


 メルは落ちていたそれを見つけ悲鳴のような声をあげた。


「…………」


 一同は焦りを覚え、その場から急いで移動する。

 そして……再びエスイルが暴れた後と思われる痕跡を見つけ。

 その少し奥に……。


「ライノさん!!」


 白い翼を赤く染めた青年を見つけた。

 メルは駆け寄り、彼を気遣う。


「…………ルちゃん?」

「――っ!?」


 その顔を見てメルは思わず涙を流しそうになった。

 傷は酷い……だが……。


 まだ顔色が良い、きっとまだ助かる!!


 メルは彼へと手を当て魔法を唱える。


「我が友の傷を癒し、活力を与えたまえ、ヒーリング!!」


 魔力が失われるのを感じ、ライノの傷口を見るメル。

 すると徐々に傷は癒えていった。

 ほっとするメルの手をライノは取り……。


「ライノさん?」

「エスイルちゃんが……」

「うん、分かってる」


 エスイルが助けてくれた。

 そう言いたいんだろうとメルは考えていた。

 だが――。


「殺して――って」

「……え?」


 その言葉を聞いた彼女は思わず魔法を解いてしまった。


「殺、して……?」


 そして言葉を繰り返す。


「おい! メル!! 何やってるんだよ旦那の回復を――」


 シュレムが焦り声を上げる。

 だが、メルにはもう聞こえていなかった。

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