426話 壊れた鎖
リアスがそれを見ている時、メル達もまた周りに何かが無いかを探していた。
「うーん、分からないな」
シュレムは頭を掻きむしり、苛立ったように言う。
彼女がそう言うのも無理はない。
他に目立ったものは無かったからだ。
「だけどこっちは分かったことがある」
しかし、リアスはそう言うと赤く染まった羽を手に取っていた。
メルは彼の元へと近づき不安そうな瞳で見つめる。
すると彼は……。
「これは多分ライノの羽だ」
「……多分?」
彼女がそう言うとリアスは頷いた。
そして、先程まで彼が調べていた場所へと指を向け。
「あそこに瓶の破片もあった……。大きな破片が無いのは気になったが、追っている奴が回収したのかもな」
メルは彼の言葉にがっくりと項垂れる。
もしかしたら、何かの間違いかもしれない。
そう思っていたのだ。
しかし、これで何かに追われているのは間違いない。
「……ルーフの騎士?」
「それは分からない、だけど……良い状況じゃないのは確かだ」
「お、おい! 何とかならないのかよ!!」
シュレムはそう叫び、リアスは彼女へと向きなおると――。
「急いで追うしかない」
そう答えた。
「何処に行けばいいんだよ!」
だが、答え位に対し、シュレムは尚喰いかかる。
するとリアスは苛立った表情を浮かべ――それを見たメルは焦った。
このままではまた仲間割れをしてしまう。
そう悟った彼女は――。
「待って! ここで言い合っても仕方ないよっ!」
と二人の間に割って入る。
そして、二人の顔を交互に見ると――落ち着かせるようにゆっくりと口を動かした。
「今はライノさんを探す方が先、リアス……分かる範囲でどっちに行けばいいの?」
すると彼は大きなため息をつき、身体ごと向きを変えた。
「あっちだ……あっちに向かってる。まだライノの足跡が無いって事は飛んでるんだろうが……」
「分かった、そっちに行こう……良いよね? シュレム」
メルがそう言うとシュレムは納得いかない様ではあったがすぐに頷く。
そして、どしどしと音を立てるようにリアスが示した方へと歩き出した。
そんな彼女を見てメルもまた溜息をつくのだったが……。
どうしよう、ライノさんが居ないだけで私達バラバラになりそうだよ……。
おねがい、無事でいて……。
彼が無事でいてくれることを祈りつつ歩みを進める。
そんな彼女は不安からからだろうか?
その尻尾は丸くなってしまい、瞳からは涙がこぼれ落ちそうだ。
だが、歩みを止める訳にはいかないと彼女もまた懸命に歩き続ける。
「大丈夫か?」
途中リアスが心配してくれたが、メルは彼の方へと目を向けると困ったように笑った。
「ど、どうかな? 今、ちょっと……」
「ごめん、仲間が襲われたからって感情的になりすぎてた……俺もあいつも……」
リアスはメルへとそう告げ、メルは乾いた笑いをする。
確かにそうだ。
だが、二人が不安になるのも分かったからだ。
「急ごう!」
だからこそメルはそう言い、足を急がせた……。
日が高くなった頃。
メル達は魔物を避けつつ、前へと進んでいく……。
「なぁ、アレ……」
そんな中、シュレムが指を向けた方へと彼女達は目を向けた。
何やら争った跡があるのだ。
いや、争ったというべきだろうか? 何かが暴れたと言った方が良いのかもしれない。
その跡に倒れている人が見えたのだ。
メルは慌ててそちらへと向かい、確かめるが……。
すぐに立ち止まった。
「この人……」
羽が無いのでライノではないのは分かっていた。
しかし、その人物はメル達の不安をより一層深めるのだった。
「ルーフの騎士だっ!」
リアスは彼の外套を手に叫ぶ。
だが、どうやら彼は死んでいるようだ。
「どいう事だ? それにこれは……」
跡を調べ始めたリアスだが、調べるまでも無いだろう。
「何か分かるのか?」
シュレムの言葉にリアスは首を横に振る。
「ここまでだと、何も残っていない……死体と外套が残っているのが奇跡だ……それが痕跡と言った方が良いのかもしれない」
そう呟くリアス。
メルは――辺りを見回し……気がついた。
「二人共魔物だよ!!」
奥から走ってきたのは興奮している様子の魔物だ。
見た目は牛の様であり、その身体は大きい。
「グアンナか!!」
リアスは叫び武器を構え、メル達も武器を構える。
しかし――。
「ど、どうするの!?」
グアンナと言う魔物は物を腐らせるという特性を持つ。
対抗するには青銅の武器が必要だが、今は手元にはない。
「魔法でなんとか出来るだろ?」
そう言うシュレムに対しメルはぶんぶんぶんと首を振った。
「駄目だよ!?」
そう、グアンナは魔法が苦手だ。
だからこそ、魔力の流れに敏感であり、魔法を使えば真っ先に狙われてしまうのだ。
メル達は迫り来る魔物を睨みどうやって戦うかを悩むのだった。




