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425話 ライノは無事か?

「……だとしたら一体どこに?」


 メルは空から見た風景を思い出す。

 しかし、ライノが辺りには居ない事は分かっていた。


「なら、あの谷から探してみるか?」


 メル達が悩んでいるとシュレムがそんな事を言った。


「あの谷?」

「ほら、孤児院の奴らがさらわれてた方だよ!」

「あ、そっか、そこからレライに行ったんだから……」


 後を辿れば手掛かりがあるかもしれない。

 彼女はそう考え頷いた。


「なら、早速行ってみよう」


 リアスに促されメル達は頷く……。






 先日行った谷は特に変わった様子はなかった。

 そこから孤児院へと歩いて戻った訳だ……何か特別な物がある訳ではない。

 しかし、メル達はあの時ライノが飛び立った方へと目を向ける。


「確か……」

「メル、そっちじゃない、こっちだ」


 注意をされたメルはがっくりと項垂れるが、すぐに気を持ち直し瞳をライノが向かった方へと向けた。


「ここから、空を飛んだ……レライまでは真っ直ぐだ……」

「谷に沿って行ったのか?」


 シュレムが言った通り、目の前にある谷はどうやらレライの野営地にも伸びている物だ。

 メル達はその谷に沿って歩き出す。


「あ……あれ……」


 暫く歩いた所でメルは気が付いた。

 焚火の後だ……。

 リアスはそれに近づくと座り込みなにやら調べている。


「……冷めてる。けど……古い物じゃない」


 彼の言葉は此処に誰かが居たという事をしめすものだった。


「それで、リアス……旦那とは関係あるのか?」


 シュレムは首を傾げながらリアスに問う。

 しかし、リアスは首を横に振った。


「いや、まだ分からない。ただ……」

「ただ……?」


 メルは彼の言葉を繰り返し、尻尾を大きく揺らした。

 すると彼は振り返り……。


「盗賊たちのじゃない、奴らのねぐらは谷の底だ……わざわざここに出て来る必要はない。例え見張りだったとしても……離れすぎだ」


 彼の言う通り、盗賊たちのねぐらからは少し離れている。

 だからこそ、彼らの焚火の後とは考えにくいだろう。


「じゃぁ、別の誰かが使ってたって事だね」


 しかし、すぐにライノと結びつけることはできない。

 そう判断したメル達は焚火を後にしレライの方へと向かう……。



 暫く歩いた所。

 メル達は風によって目の前に運ばれた物を手に取る。


「ねぇ……これって……」


 鳥の羽にしては大きなもの。

 それは真っ白ではなく赤く染まっていた。


「ライノの羽か?」


 頷きかけたメルだったが、すぐに首を振る。

 そうとは限らないのだ。

 ライノの羽は確かに美しい白だった。

 しかし、天族(パラモネ)は白鳥の様な白い羽根か蝙蝠の様な黒い羽根を持つ種族だ。

 つまり、天族であればだれでも当てはまる。

 これがライノの物である可能性は否定できないが、そうだとも断定できないのだ。


「もし、ライノさんのだったら……」


 その羽は赤くなっている……。

 何かあったのは間違いないだろう。


「とにかく急いで探さないと!」


 メルが不安を感じそう言って走り出すのと同時。

 リアスは彼女の手を取り留める。


「お、おい! リアス何やってるんだ!!」


 そうするとたまらず叫んだのはシュレムだった。

 メルも首を傾げ彼の方へと目を向けた。

 一体なにがあったのか?

 そう思って彼を見てみると……。


「目の前に足跡がある。踏んで分からなくなる前にそれを確かめないとな」


 メルは彼の言葉を聞き自身の足元を見た。

 すると彼の言う通り確かに目の前に足跡があったのだ。

 もし、そのまま走っていたら踏んでいただろう。

 自分が焦っていた事に恥を感じ、メルは赤くなると尻尾を丸めた。

 しかし、リアスは咎める様子もなく、メルの頭をぽんぽんと叩くとすぐに足跡を調べ始める。


「あっちに続いているようだな……」


 それは小さな林へと向かっていた。

 彼はそれを確認すると改めてメルの方へと目を向けた。


「行こう、皆!」


 メルは彼の瞳を真っ直ぐと受け、林へと目を向けるとそう口にした。

 あの林は身を隠すには丁度良さそうだ。

 だが、もしそこにライノを襲った誰かが居るとするならばメルも警戒しなくてはならないだろう。

 何より……。


「あれってレライから離れるよな? やっぱり誰かが襲ったんじゃないか?」


 シュレムが言う通り、そこはレライから離れていく……。

 メル達は頷き、急ぐのだった。


 ライノは無事だろうか? そう考えながら彼女達は……進む。

 林は近く日が上がり切る前にはたどり着くだろう。

 だが、彼が見つかるとは限らない。

 メルはただただ――。


 お願い、早く見つかって!


 と祈る……。

 そんな彼女の願いは叶ったのだろうか?

 いや、叶ってはいなかった。

 ただ……そこには。


「ライノの服の切れはしか?」


 見覚えのある服の切れ端が落ちていた。

 それだけではない。

 また赤い色に染まった羽も落ちているのだ。

 それが意味するのは恐らく……。


「やっぱり、ライノさんが!」


 メルはリアスへと目を向ける。

 今度は冷静だった。

 リアスは頷き、その場に残る証拠を調べ始めたのだった。

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