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私の夢は冒険者だったのにっ!!  作者: ウニア・キサラギ
18章 成長した少女
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421話 仲間の誓い

 メルが目を覚ましたのはテントの中だ。

 周りは真っ暗で、メルは途端に不安になった。

 怖くて怖くて涙が溢れ出る。

 だが、どんなに泣き声をあげたくても声は出ない。

 いや、身体が動かせないのだ。


 だからこそ、彼女はなおさら恐怖に支配された。


 リアスはいないのだろうか?

 シュレムは?

 ライノも無事だろうか?

 色々な事がぐるぐると頭の中を駆け巡る。


「メル!」


 リアスの声が聞こえた。

 近くに居てくれたようだ。

 なぜそうしてくれたかはきっと心配してくれたからだろう、彼は灯を付け……。


「良かったやっぱり起きてたか……」


 そう言うとメルの頭を撫で始めた。

 一方メルは唯一動く目で彼の方へと目を向けるだけだった。


「倒れたんだ……」


 彼はそれだけを言うと心配そうな表情を浮かべて。

 メルはメルで言葉を発することもできません。

 これからどうなるのだろう?

 不安に思っていると彼はゆっくりとメルの身体を起き上がらせます。

 痛みはありませんでした。

 突然の事には驚きましたが……それでも抵抗も何も出来ません。


「本当君は無茶をする……約束しても、無駄なのか?」


 それは恐らく前にした約束の事を言っているのだろう。

 メルは答える事は出来ない。

 声が出ないからだ。

 ただ、彼はそれが不安だったのだろう……。


「これまで一緒に旅をしてきたんだ……メルがどれだけ優しいかも分かってる」


 だけど、と彼は続け……。


「今回だってメルが居なければ、孤児院の人は助けられなかった……だけど」


 彼はそう言うとゆっくりとメルを抱き寄せる。


「メルが無理をする必要はなかっただろ? もしかしたらこのまま目を覚まさないんじゃないか? と思ったんだぞ」


 その言葉を聞きメルはまた思い出した。

 今さっき、暗闇で怖くなった時の事を……その理由を……。

 そして、その不安を彼に与えてしまっていた事に気が付くと、メルは更に涙をこぼす。

 だが、声は出ない。


 ごめんなさい。


 そのたった一言が伝えられないのだ。

 もし、自分が目を覚ますことが無かったら……彼はどうするのだろうか?

 悔やみ、苦しみながら、死を迎えるのではないか?

 もうすでにこの世界には見えもしない脅威に晒されているのだ……その時は近いだろう。

 メルは……自分のふがいなさに泣き……。

 リアスは……まるでナタリアみたいにメルの頭の中を読んだかのように……。


「メルが居なきゃ世界は救えない、エスイルもだ……あいつを守る事は出来なかった。だけど君だけは守らせてほしいんだ……悔やむぐらいなら、もう無茶はしないでくれ」


 そう言うと彼は強くメルを抱きしめる……。

 だが、決して苦しいものではなかった。

 不思議と温かく、心地が良いのだ。

 やけに安心し……メルは瞼を閉じると寝息を立て始めるのだった。




 朝になり、目が覚めたメル。

 夜とは違い、身体は動くようです。


「あー……声も、出る」


 体のだるさは相変わらずだった。

 しかし、なんとか窮地は脱したようだ。

 ほっと胸をなでおろすメルだったが、ふとリアスの事が気になり見渡す。

 すると、彼はメルの傍にいた。


「…………」


 昨日の事を思い出し、顔を赤くした彼女は……彼の方へとそっと手を伸ばす。


「あ……」


 彼の頭を触ってみると思ったほかゴワゴワとしている。


「……手入れしてないのかな?」


 彼の赤い髪は綺麗な色だ。

 洗っていないという事は無いだろう。

 しかし、女性と同様な手入れをしている訳がなく……。

 その触り心地は不思議な物だった。


「……うーん?」


 メルは彼の頭を触り続けていたが、はっと気が付いた。


 わ、私は何をしてるの!? 男の子の頭を撫でるって……。


「ん……メル?」

「ひゃい!?」


 彼女が困惑している間、リアスは起きてしまいメルは慌てて手を離す。

 すると当然リアスは眉をひそめ、首を傾げる。


「っぅ!?」


 しかし、メルは急に動いてしまい、身体を変な方向へとひねってしまったのだろう。

 身体が痛みを訴える。


「何をしてるんだ?」

「な、なんでもないよ?」


 メルは若干不器用な返事を返す。

 すると彼は微笑み。


「そうか……」


 そんな彼の態度にメルは頬を膨らませた。

 いくらなんでもそれは失礼じゃないだろうか?

 そう思ったからだ。


「そうかって……」

「昨日は起きても、動けなかったみたいじゃないか……あれで心配しない奴が居るか?」

「ぅぅ……」


 彼の言葉にメルは思わず口を閉ざす。

 まさにその通りだからだ。

 自分が母を心配した時と同じなのだから。


「もう何を言っても無駄なんだろ?」

「そ、そんなことは……」


 無い、とは言えなかった。

 なぜなら、彼女自身、終体が動いてしまうからだ。

 メルの様子を見て、リアスは深いため息をつくと……。


「なら、俺も無茶をするだけだ」

「え!?」


 それは駄目! メルはそう言いたかったが、リアスは笑みを浮かべたまま。


「君を止めるのに無茶をするだけだ」


 そう口にするのだった。

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