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私の夢は冒険者だったのにっ!!  作者: ウニア・キサラギ
18章 成長した少女
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417話 幼い精霊

 怪我を負っているアベル、呆然とするシスター。

 ルカと言う女性騎士。

 動ける子供や捕らえた盗賊はともかく動けない者を連れての移動は楽ではなかった。


 例え着いたとしても……。


 魔力がもうないメルには精霊ドリアードに力を与える事は不可能だろう。

 何とかして魔力を得なければならない。

 いや、魔力事態は方法があるにはあるのだが……。


 量は少ないよね?


 どの程度回復できるのか?

 そもそも、それで足りるのか?

 それはメルにも分からない事だ。


 しかし、やると言った以上にはやるしかない……。

 彼女は焦っていた。


「ねぇ……顔色悪いけど大丈夫?」


 そんなメルに声をかけたのはレライの宮廷魔術師であるリユだ。

 彼女はアベルが助かったのを知り、感極まり泣いていたが今は落ち着きを取り戻している。


「だ、大丈夫です」


 メルは思わず敬語になり、彼女にそう告げる。


「……嘘、目がしっかりとしてないよ? めまいとかはしてない?」


 彼女はそう言うとメルの前へと来て両頬へと手を当てた。


「メルは無茶をするんだ。どうせ今回も魔力がギリギリなのに壁の事を考えてるんだろう」


 リアスがそう言うとメルは顔を赤くし、ふさぎ込む。


「はぁ……で、めまいは?」


 リユは溜息をつくと胸の前で腕を組む。

 メルは正直に答えようか迷った。

 めまいならしている。

 魔力が少ないのだから当然だ。

 だが、それを言ってしまえば、休めと言われてしまうのも分かっていた。

 今はメル達だけではない。

 レライの街の人も危機に晒されてしまうのだ。

 それだけは避けなければメルはそう思っていたのだが……。


「っ!?」


 不意に視界が大きく歪み、メルは大きくふらついた。

 足取りも怪しくなってきたのだ。


「あ、あれ?」


 おかしい……。

 そう気が付いた時にはメルはリユに支えられていた。


「だ、大丈夫!?」

「お、おかしいな……歩けるぐらいのはず……」


 メルは疑問に思いつつ、そう言えばアリアはどうなったのだろう? と不安になった。


「アリア?」


 彼女の名を呼ぶも誰も来ない。

 頭の上に載っているのは分かっていた彼女はそこに手を伸ばし、そっとアリアを掌に載せる。


「……え?」


 そこには幼くなった精霊が居り……メルは思わず呆然としてしまうのだった。


 また、子供になってる……?

 もしかして、精霊の力を使うとこうなるの?

 だけど、ウンディーネ、シレーヌは……。


 メルは当時の事を思い出す。

 確かにウンディーネも子供のような姿になった時はあった。

 恐らくは精霊の力を使ったからだろう……だが、姿が変わりシレーヌになってからは変わらないのだ。

 そして、シルフもメルが気が付かないうちに姿が変わっていた。

 今までの事から考えるにアリアになったシルフが子供になるわけがないはずだ……。

 なのに姿が変わっていたのだ。


 幼いアリアは眠っていたが、起きてメルの手の平に乗っている事に気が付くと……。

 まるで本当の幼子の様にメルの顔を見て笑みを浮かべ両手を向けてくる。

 どうやら甘えているようだ。


 一体どういう事?


 メルが疑問に思い彼女を見つめる。

 すると表情が固まっていたからだろうか?


『メル!? アリアが泣きそうです!』

「え? ……あ!?」


 構ってもらえない事に傷ついたのか? それとも強張るメルの顔を見てか、顔を歪めて瞳に涙を溜めるアリア。

 彼女を見てメルは慌て始める。

 どうしたら良いのか分からないのだ。


「えと、えっと……!?」

「ど、どうしたの?」


 メルが慌てるも他の仲間達には精霊が見えない。

 どういった状況かも分からないのだ。

 メルは焦りつつも状況をリユへと説明する。


「精霊が小さい子に? それに泣きそうって……」

「もう、ど、どどどどどうしたら良いの!?」


 首を傾げるリユに焦るメル。

 その様子にリユは嘘ではないと感じたのだろう。


「寂しくて泣いてるなら、構ってあげたら? 頭撫でるとか……って相手は精霊か、手に乗せてるの? もし手の平に乗る位じゃ――」

「そ、それだ!」


 メルは彼女の言葉で思い出した。

 自分が良く泣きかけた時の事を……いつも決まって母達が頭を撫でてくれたのだ。

 きっと泣き止む。

 そう思ってメルは恐る恐る指先でアリアの頭を撫でていく。

 すると、泣きかけていたアリアはメルに撫でられた事に気が付くと彼女の方を見上げた。

 一瞬真顔で止まっていた彼女だったが、すぐに笑みへと変えると再び手の平を見せ腕を伸ばしてくる。


「よ、よかったぁ……」


 ほっとしつつも、メルは何度かアリアを撫で続ける。

 するとアリアは指に手を当てころころと笑い始めた。


 でも、一体なんでこんな事に?

 それに……シレーヌの時とは全然違う……あの時は大人しいし、特にこう言った事は無かったよね?


『全く手のかかる子ですね!』


 シレーヌはそう言うとメルの胸から飛び出し溜息をつく。


『メル、私が面倒を見ますから頭の上にのせてあげてください』

「え、……うん」


 メルは彼女の言葉に頷き、首を傾げつつもアリアを定位置である頭の上に乗せ、またふらつかないようゆっくりと歩き始める。

 するとシレーヌは『もう……』とつぶやいた。

 どうやらシレーヌが本当に面倒を見てくれているようだ。


 一体、何が起きたの?


 メルは彼女達の会話を聞きながら、不安と疑問を抱えるのだった。

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