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私の夢は冒険者だったのにっ!!  作者: ウニア・キサラギ
18章 成長した少女
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414話 救出戦

 メル達は息も絶え絶えになっているリユを連れ、進む。

 すると目の前に布を被った女性の姿が見えた。


「ル、ルカちゃん!!」


 リユはその女性の名を呼ぶとすぐに苦し気に咳込んだ。


「ルカって確か……」


 その名前には聞き覚えがあった。

 いや、つい先ほど聞いたばかりの名だ。

 孤児院へと派遣されたというその女性は虚ろな目をしている。


「大丈夫ですか!?」


 メルが彼女に声をかけるも、彼女は何も答えない。


「リアスは――!?」


 そして、仲間である彼が居ない事に気が付くと辺りを見回した。

 あるのは崖だけだ……。


「メル! おい、アレ!!」


 すると崖を覗き込んでいたシュレムはメルの名を呼ぶ。

 彼女の方へと目を向けると焦った様な表情をしていた。


「まさか――!?」


 リアスに何かあったのだろうか?

 メルは慌ててそちらへと向かい、崖下を見下ろした。

 そこには……。


「リアス! それに……」

「あ……」


 よろよろと近づいて来たリユと共に見下ろす結果となったメル。

 その瞳に映っていたのは……。

 見た事もない武器に囲まれるリアスの姿と小さな矢らしきものに貫かれ地へと伏せるアベルの姿だった。


「アベル……?」


 呆然とするリユ。

 当然だろう……その状況から察するに彼は無事ではない。

 このまま何の手当てをしないままで居たら死は確実だろう。


「まだ助かるわよね?」


 ライノはメルへと問う。

 メルは首を縦にも横にも振れなかった。

 診てみない事には何も言えないのだ。


「でも、急がないと……」


 メルはそう呟くと、横でなにかがふらついたのに気が付いた。

 慌てて彼女を抱きとめるメル。

 どうやら、現状を見てリユは気を失った様だ。


「その子は私が見てるわ、シュレムちゃん、メルちゃん、お願いね」

「はい!」

「おう!!」


 二人はほぼ同時に頷き、シュレムはメルの方へと目を向けた。


「まずはあのへんな武器を持ってるのから止めるから……シュレムは隙が出来たら突っ込んで!」

「分かった!」


 だが、メルは迷った。

 隙を作るとは言った……しかし、場所が悪いのだ。

 リアス達は盗賊に囲まれており、シスターはその長に掴まっている。

 怖いのだろう微かに震え、盗賊は手も足も出ないリアスやシスターに満足しているのだろう彼女の顔を舐めまわし……。

 その手でおぞましくも身体を撫でまわしている。

 きっとルカという騎士もひどい目に遭ったに違いない。

 メルはそう思うとすぐに助けなければと考え――。


 この手しかない……出来るかは分からない。

 でも――!!


「アリア! 詠唱を――!!」

『うん!』


 それは望みだった。

 首飾りは今メルの手元にはない。

 だが、もし、首飾りが関係しないのであれば……もし、メルの力に関係するのであればアリアは力を貸せるはずだと……。

 そして、アリアはしっかりと頷いた。


「『風の精霊よ! 我願うは吹き荒れる風の裁き……我と我が友を傷つける者達へ風の恐怖を与えん! 我が願いを聞く精霊(モノ)よ、今ここに風の王の力を示せ!!』」


 シルフが詠唱を先に唱え、メルは後を追う様にその言葉を紡ぐ……。

 すると、瞳が熱くなるのを感じた。

 恐らく、傍にあるというのはそう言う事なのだろうと察した彼女はゆっくりと目を開ける。

 目標はもう決まっている……。

 やる事は二つ、リアスの周りにいる盗賊を吹き飛ばし、リアスとアベルへと近づけない風の壁を生み出す事だ。


「アリア!! お願い敵を吹き飛ばして、そして二人を守って!」


 シスターを守れと言わなかったのは単純だ。

 盗賊が近すぎ、彼を吹き飛ばすとシスターまで怪我を負う可能性が高かった。

 だが、それに関してはメルはそれほど気にする事ではないと考えた。


「メルちゃん! リユちゃんを見ながらも支援できるように、あれを見て作ったわ」


 そう、それは視野の端でなにかを作っていたライノの姿が映ったからだ。


「通り道はちゃんと開けておいてね?」


 彼は()()を構え、笑みを浮かべる。

 メルは彼の言葉に微笑み頷くと――。


「アリア! ライノさんの手伝いもお願い!!」

『ぅぅ、今日のメルは注文が多いよ! この後疲れちゃう!』


 文句を言いつつも、アリアは拒否はしない様だ。


「ごめんね、今度綺麗な景色がある場所ママ達に聞いておくから」

『約束だからね!!』


 メルの言葉にやる気を出したのだろうアリアは笑みを浮かべ、喜んだ。


「行くわよ……」


 同時にライノはそう言い、メル達の攻撃は始まった。

 アリアの風は見事に敵を吹き飛ばした。

 そして、敵が持っていたものを模して作ったライノが持つ錬金術のボウガンは盗賊頭へと向かい真っ直ぐに飛んでいく……。

 だが……。


『ごめん、メル……思ったより辛い……』


 アリアはそう言うと具現化させた身体で地面へと座り込む。

 それはメルも分かっていた……妙に体がだるいのだ。


「リアス達が……!!」


 まだ風で守られていない。

 吹き飛ばされた盗賊の中には武器を手放さなかった者も居た。

 彼らはすぐにリアスへと向かいその矢を撃ち……。


「駄目――!!」


 メルは小さな声で悲鳴を上げる。

 それとほぼ同時だろうか?


「ナトゥーリッタァァァァァアアアアア!!」


 そんな叫び声が聞こえ、メルが見た光景は……。


「あ、あれって……別に叫ばなくてもいいのよね?」

「た、多分……魔力の籠め方が分からなくて叫んだ……だと思う」


 そこにあった光景。

 それは新たな精霊の武器を地面へと突き立て、リアス達を守る様に木々を急成長させるシュレムの姿。


「な、なんだお前は!? それに強襲で叫ぶとは馬鹿か――っ!?」


 盗賊頭がシュレムに対し驚いていた所にライノの放った矢は見事に肩を撃ち抜く。

 思わずシスターを手放してしまった彼はすぐに手を伸ばすが……。


「させるかよ!!」


 彼からシスターが離れた所を見逃すはずもないリアスは既に針を放っていた。


「シュレム――!!」

「おう!!」


 そして、仲間の名を叫ぶと彼女はシスターの元へと走り、抱きかかえるた。

 しかし、針が当たってもなお動こうとする盗賊頭の手が彼女へと迫り……。


「こりゃいい、もう一匹増えやがった」


 どうやら彼女がお気に召した様だ。

 だが、その油断が命取りだった。

 すでにもう彼は孤立させられていた……。

 その事には気が付いていたはずだ……いや、それだからこそ冷静さを失ったのだろうか?

 気色悪い笑みを浮かべた男の脳天に一本の矢が刺さったのだった。

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