表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私の夢は冒険者だったのにっ!!  作者: ウニア・キサラギ
18章 成長した少女
430/486

413話 危機

 状況は良い物ではない。

 剣を持ち怒りに狂っているのはアベルだ。

 しかし、彼の剣は無意味に振り回されている訳ではない。

 だからこそ、読みやすく避けやすいと言えるが……。


 それはあくまでまだリアスを敵だと見ていないからだろう。

 もし、その敵意が向けられたら?

 見切れても避けきれる自信は彼にはなかった。

 あの怒りようでは下手に声をかけるのは危険だ……リアスはそう考え、残るシスターと子供達を助けようと考えた。

 しかし、その手段はどうしたものか? と迷ってしまった。


「ちっ!!」


 迫りくる盗賊を切り倒し、ナウラメギルの刃を血に染めながら対処をするリアス。

 時間の問題だ。

 幾らナウラメギルとて血に濡れ過ぎれば切れ味は落ちる。

 メルの持つアクアリムであればそれは関係ないだろうが……。

 いっそ炎を使ってしまうか? とも考えたがそれはすぐに案から外れた。

 現状できなくはないだろうだが……それをしてしまえば人を巻き込むことになる。


「メル……早く来てくれ……」


 彼女さえ来てくれれば彼女の魔法や剣。

 シュレムの盾……そしてライノの錬金術に薬と戦う手段が増える。

 しかし、彼女達はまだ来ない。

 そうこうしている内に盗賊は――。


「はんっ! 大方女子供を助けに来たらしいが……それを人質に取られるとは思わないのか?」


 彼らの頭らしき男はシスターを拘束から解くと抱きしめ彼女の顔を舐めまわす。


「……っ」


 目を塞がれた彼女は声をもらさずにただ、その不快な行為に耐えていた。

 だが、目隠しの布は濡れ始め……その奥で涙を流しているのだろう。

 リアスはそんな彼女を見て嘗て敵に操られてしまった自身の妹を思う。


「リリア……」


 きっと彼女も不安だったのだろう。

 だからこそ、助けてくれたメルに懐いたはずだ。

 リアスはそれを思い出すとナウラメギルを握る手に力を籠めた。

 根本的にはこの武器はメルの持つアクアリムと同じはずだと……ならばできる事はあるはずだと……。


「な、なんだその武器は……!?」

「その人を離せ……」


 熱気を感じ、アベルは振り返る。

 そこには信じられない光景があったからだろう、彼もまた呆然とする。

 リアスの持つナウラメギルはその刃に焔を纏わせている。

 だが、地面も彼自身も燃える事は無い。

 一体なにが起こっているのか彼らには理解が出来なかったのだ。


『よし! 何だか分からないけどアイツむかつくな! やってやろうぜ!!』


 恐らく、メルが居たならその声は聞こえていたのだろう。

 だが、リアスは魔族(ヒューマ)……精霊の声は聞こえない。

 しかし、彼女達が力を貸してくれているのは理解していた。


「マジックアイテムか!」


 盗賊は冷静さを取り戻し、いやらしい笑みを浮かべる。

 彼らが考えている事はすぐに分かった。


「そいつを寄越しな! そうしたら女子供は考えてやる」


 リアスはその言葉を聞きニヤリと笑みを浮かべた。

 いくら優しいメルでもそんな言葉は信じないだろう。

 そもそも武器を渡すはずもないとは思ったが、リアスは目の前の盗賊が酷く滑稽に思えたのだ。


「何を笑ってやがる……」

「いや、なんでも?」


 挑発するのは危険だ。

 それは分かっていた……だが、彼ははっきりとこう言ったのだ。

 考えてやると……騙すなら解放してやると言い切った方が信じやすいだろう。

 しかし、彼らはそうしなかった。

 自分達が優位だと考えているのだろう……。

 いや、実際に優位ではある。

 だが……。


「この剣を渡す訳にはいかない、その人達も解放してもらう」


 リアスはそう言うと剣を構え直した。

 そして、大地を蹴り……その軌跡をナウラメギルで焼いて行く……。

 狙いは頭であろう男だ。

 彼はシスターを人質に取っているが、刃物は腰にある。

 まだ刃を抜いていないのならば隙は十分だと考えた。

 だが――。


「愚かってのはお前のような奴を言うんだろうな」


 彼は嫌らしい笑みを浮かべたままシスターを抱き寄せ彼女の体に手を這いずらせる。

 助けなければという思いと同時にその余裕な態度にリアスは悪寒を感じた。

 咄嗟に彼はナウラメギルを地面へと突き立てる。

 同時にアベルの方へと向かうのが間に合わないと判断し――。


「アベルさん! 伏せろ!!」


 と叫んだ。

 そのすぐ後だ、リアスの周りには炎の壁が現れ――男性の悲鳴が聞こえたのは……。

 油断をした……。

 リアスはすぐに反省をするが、どうにもならなかった。

 だが、彼の目に弓兵はいなかったのだ。

 一体、今の状況で何があったのか?

 疑問は深まるばかりだ……。


 しかし、その疑問はすぐに晴れる事になる。

 炎の壁が解かれるとリアスは見慣れない小型の弓を持つ男達に囲まれていた。


「ボウガンって言ってな……小型で使い勝手がいい」


 それは利いた事もない武器だった……。

 アベルの方を見ると彼は複数の矢に貫かれている。

 幸い急所を外したのか、それともわざと外されたのかは分からなかったが、どっちにしろ危ない状況であるのは変わらない。

 リアスもまた……複数のボウガンに囲まれてしまい危機的状況に見舞われるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ