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私の夢は冒険者だったのにっ!!  作者: ウニア・キサラギ
18章 成長した少女
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412話 猛攻

 メル達より先に進むリアス。

 彼の目にはアベルが見えていた。

 怒りに我を忘れたという青年は速かったが、なんとか追いつけそうだ。


「それにしても……」


 リアスは彼の背を見る。

 彼自身速い方だと思っていたが、目の前の青年はそれ以上だ。

 だというのに、彼は迷いなく進んでいる。

 そこに不安を感じずにはいられないのだ。


「……一回足跡を見ただけで、その後は何も確認していないな」


 リアスは時折立ち止まっては辺りにあの足跡が無いかを確認はしていた。

 しかし、目の前の青年はそれをしないのだ。

 それこそがリアスがアベルに追いつけない理由でもあったのだが……。

 そんな事よりも彼が不気味に思うのは――。


「道は合っているか、まさか……」


 まさか、彼は自分達に偽っていた?

 リアスはそう考えるもすぐに首を振った。

 そんなはずはない、と……。


 もし、そうであればこんな所で初歩的な失敗をするはずがないのだ。

 リアスはそう思うと前を見て考えられることを思い浮かべる。

 それは彼が走りながら足跡を見つけ、進んでいるという単純な事だ。

 しかし、それ以外に方法は無いと彼は察すると……。


「レライの騎士ってのは凄いんだな」


 と感心したような声を発する。

 そして、彼が立ち止まった事に気が付いたリアスもまた警戒するように立ち止まる。

 彼が見つめる先は崖だ。

 リアスはおそるおそるといった感じで崖を覗いた。


「――っ!!」


 崖下には男達が酒盛りをしているのが見えた。

 そして、その近くには縄に繋がれた子供達。

 はりつけにされたシスター。

 そして、ボロ布をかぶせられ、ぴくりとも動かない知らない女性。


 恐らくはあの知らない女性がアベルの部下だろう。

 そう思った時にはもう遅く、リアスの視界にはアベルが崖を下って行くのが見えた。


「嘘だろ!? シュレムよりも面倒だ……」


 リアスは仲間の少女の事を思い出し思わず口にする。

 だが、事実彼女より厄介者だった。

 だからと言って見捨てる訳にはいかないとリアスは死角を探す。

 せめて数人ぐらいは被害の出ない所に避難させようと考えたのだ。

 そして、彼は気が付いた。

 まず子供達は盗賊たちの近くに居る、助けることは困難だ。

 シスターも同様。

 だが、あの女性だけは目につかない所に居る。

 恐らく何かをされ、汚れたから離れさせられているのだろう。

 被っている布の所為で良くは見えないが拘束はされてはいるだろう……しかし、助けられなくはない。

 だが、子供達は無理だ。

 アベルを追って行く事は出来るが、一人ではあの人数を避難させるのは至難の業だ。

 いや、それどころか盗賊が近くに居るのだ。

 人質に取られてもおかしくはない。


「クソ、どうする? ここからなら支援を……って、弓はないしな」


 そう呟いたリアスではあったが、彼自身弓が使える訳ではない。

 寧ろ弓であれば妹の方が上手かったのだ。

 だが、今は此処に居ないし、道具も手元にはない……。


 彼は死角となる様に女性の方へと近づいていく……。

 その前にちらりとアベルの方へと目を向けたが、盗賊達はアベルに気が付き武器を手に声をあげていた。

 いずれ子供達を人質に取るだろう……早く女性を助け、自分も戦わねば……。

 そう彼は思いつつ急ぐのだった。


 死角から崖を下ったリアスは女性へと辿り着く事は出来た。

 女性がおぞましい行為を受けたであろうことは想像できた。

 だからこそ放って置く訳にもいかない。


「今ここから助けてやる、立てるか?」


 彼女に問うも返事はない。

 目は開けてはいるが虚ろな表情で何を見つめているのかが分からないのだ。

 リアスは仕方がないと彼女を抱き上げ緩やかな場所から上がっていく……。

 女性は抵抗する力も声を上げる力も最早残っていないのだろう。

 異様におとなしかった……。


「…………」


 盗賊に何をされたのか? それ位は理解出来、同時にリアスの中には怒りが溢れかえった。

 何の罪もない孤児院を襲い、挙句女性に対しての暴行。

 アベルでなくても怒りに狂う者が居てもおかしくはない。

 何とか崖の上に彼女を避難させたリアスは再び崖下を睨む。

 そこには剣を持ちまるで、いや狂人は盗賊たちを切り倒していく……。

 子供達は怯え、彼を見ていた。

 だが、多勢に無勢だ……アベルは強かったが徐々に追い詰められていた。

 このままでは危ない、リアスはナウラメギルを手に崖を下る。


 彼としてはメル達と合流したかったが、どうやらまだここには来れないらしい。


「やるしかないか……」


 そう呟くと彼は背を向けている盗賊にその刃を振るう。


「――っ!? な、な……」


 背中からでは分からないが、彼からはやけに粘着質なごぷりという音が漏れた。

 恐らくは血かなにかを吐き出したのだろう。


「こいつ仲間が居やがった!」


 盗賊たちは叫び、リアスを彼の仲間だと認識したようだ。

 リアスは何も言わずに刃を引き抜くと……盗賊たちを見回すのだった。 

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