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私の夢は冒険者だったのにっ!!  作者: ウニア・キサラギ
18章 成長した少女
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404話 レライ王の元へ戻ろう

 メル達は光の消えた魔法陣を念のために崩し、レライの城を跡にする。

 帰り道に考える事は勿論、これからの事だ。

 現状、まずは戦争を止めなければならない。

 両国の王は事実を知ってはいるが、民はそうではない。

 もし、民からの声が上がれば……どうなるか分からないのだ。


「…………」


 ここにはリラーグの冒険者……龍に抱かれる太陽に所属しているメル達。

 そして、レライの騎士……アベル。

 両国にとって重要な立ち位置に居る者達が集まっているのだ。


「戦争なんて……起こしたくない」

「そうだね、私もそう思うよ」


 メルの呟きにリユはそう返す。

 彼女達は共に頷き合い……そのやり取りを見ていたアベルは――。


「絶対に起こさせないさ、その為に君は戻って来てくれたんだろう?」

「……うん!」


 彼の言葉にメルは表情を明るくし頷いた。

 そう、その通りだ……。

 ルーフの騎士達はきっと母達が対処してくれているだろう。

 だが……それでもメルには不安があった。

 確かに彼女は普通の少女ではない。

 年齢からみれば一つ頭が抜けているだろう。

 母達はそれよりもはるかに強いのだ。

 負けるはずはない……そう信じられる。


「けど……」


 彼女は思わず呟き空を仰ぐ。

 リラーグは空の都市だ。

 逃げ道は無い……。

 攻め込むのも難しいとされている都市だが、いざ責められてしまえば……。


「大丈夫だって! 親父達が居るんだぞ!」


 メルの不安を感じ取ったのかシュレムはそう口にした。

 そんな彼女の言葉を聞きメルは微笑むと……。


「うん、そうだね」


 と答えた。


 そうだよ、だって……だって! ママ達なんだもん!

 絶対に大丈夫! そう信じられる。

 だから……。


「私達は私達に出来る事をするんだ!」


 まずは民の誤解を解くところからだ。

 メルはそう思い、野営地へと向かい歩き始める。

 その足取りはしっかりとしており、最早迷いなど微塵も見られなかった。


「っておい!? メル!?」


 しかし、仲間の一人リアスに呼び止められるとメルは首を傾げ振り返る。


「そっちは違う、こっちだ!」

「ぅぅ……」


 どうやら彼女はまたもや道を間違えていた様だ……。

 がっくりと項垂れるとトボトボと仲間達の元へと戻るのだった。





 野営地へと向かう際、メル達は一つの疑問があった。

 魔物に出会わないのだ。

 街道は人が通る事もあり、魔物はさほど多くはない。

 しかし、居ないとは限らないのだ。

 なのに見かけることが無い……一体どうしたというのだろうか?


「……魔物は?」


 メルは思わず呟くと辺りを見回す。

 だが、何処にもいない。

 野営地に向かうには街道も少し使う、その街道で見かけないというのもおかしい。

 何かあるのだろうか?


「ここまで魔物が居ないとなると不安だな」


 魔物と言えどこの世界に住む生物だ。

 自分達が恐ろしいと感じるものがあればその場から逃げていくだろう。

 事実、その所為で生態が変わっていくという話はメルも聞いた事がある。


「おかしいな、ここまで魔物が居なかった事は無い、討伐はしていたものの……何もいない訳がないんだ」


 アベルも立ち止まりどうやら疑問を感じているようだ。


「一体どうしたんだろう?」


 リユも辺りを見回すが、辺りに広がるのは静寂だけだ。

 歩いているのもメル達だけ……。

 この先にあるのはレライとその野営地だけだ。

 そこに行く人など最早少ないだろう。

 ましてや攻めてきたルーフの騎士はエスイルが壊滅させたというのだから……。


「…………もしかして、魔物も?」


 メルは思いつく理由を口にした。

 野営地となれば壁なんてない。

 そうなれば当然魔物の脅威にさらされてしまう。

 それを知らないはずのないエスイルが守る為に魔物を倒しているというのは理由が付く。

 しかし、そうなると一つ疑問があった。


 エスイルがエルフの依代にされていて、それに抗って力を使っているとしても……。

 いくらなんでも魔物を倒して回る力なんてあるの?

 そうだとしたら、私達は本当にエスイルを助けられるの?


 メルは、別の不安も感じるのだった。

 だが、此処で立ち止まる訳にはいかない……。

 彼女達は野営地へと向かう。


 そんな彼女達の背中を物陰から見るのは小さな人影。

 影は長い耳を持ち、虚ろな表情を浮かべながら大粒の涙を流した。

 そして、ゆっくりと彼女達とは別の方へと向かうのだった。


 メルは何かの視線を感じ振り返る。

 だが、そこには何もなく、彼女は首を傾げ改めて前へと向く。


「どうしたんだ?」

「ううん、気のせいみたい」


 そう言いつつもメルは先程の視線が気になった。

 だが、すぐにそれは――。


「とにかく王に報告をしよう、国の闇もだが魔物の事も気になる」

「うん……」


 アベルの言葉により、片隅へと追いやられるのだった。

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