401話 隠された部屋
嘗て隠されていた部屋へと入り込んだメル。
先程シュレムが言っていた宝箱らしきものが見えた。
レライにとっては一番見られたくないものだったのだろう。
勿論今の王にさえ……。
なら、どこかに隠してあるはずだ。
メルはそう考えると部屋の中を探し始めた。
仲間達も部屋の中を探し……。
「やっぱり見える所にはないわね」
ライノはそう言うと隠された場所が無いかを探る。
仲間達で探していけばすぐに見つかるはずだ。
そう思っていたメルだったが……。
「無い?」
それは見つかる事無く、途方に暮れてしまう。
「なんで……あの日記はあったのに」
血に塗られた日記はあったのにその部屋に何も無い事を疑問に感じた。
だが、無い物はない。
メルはどうしたものかと考えるも……。
「どうするんだよ……」
シュレムはそれを口にし壁へと寄りかかる。
すると彼女の足元でなにかが動き。
「うわ!? あっぶないなぁ!」
シュレムは驚いた声を上げる。
どうやらネズミが入り込んでいた様だ。
「それでどうしようか?」
メル達は精霊の力の手掛かりが無い事を受け入れ。
次はどうするかの話を始めようとしていた。
すると――。
「待ってくれ、おかしいぞ」
だが、そんな時に疑問の声をあげたのはアベルだ。
「おかしいって?」
メルは聞き返すと彼はシュレムをじっと見つめ……。
「何でこんな所にネズミが居る?」
「入り込んだんだろ?」
当然の答えを告げるシュレム。
だが、アベルは首を横に振った。
「ここは入口から魔法で守られていたんだ。それにネズミが求めるような食料も無い」
「そういえば……」
確かにそうです。
本ならありますが本は巣の材料にされることはあっても食料にはなり辛い。
レライが崩壊してから入り込んだというのも考えたが、それはアベルが言った通り入口から魔法で守られているので難しい。
何せネズミが入り込むような隙間などないのだ。
なら、何処からネズミは入り込んだのだろうか?
メル達はまだこの部屋に何かがあると感じ探し始めた。
今度は本ではない、ネズミが入り込める入口となる場所だ。
「どこにあるの?」
メルは必死になって隙間を探していたが、ふとある事を思い出す。
転移魔法はナタリアの特権ではないという言葉だ。
だが――それは……。
「まさか、だってそうなったら……ナタリアよりも前に……」
メルは恐る恐ると広い場所へと目を向け始めた。
「嘘……」
すると……一見気が付きにくい様に作られてはいたが――。
一部の床では使われる材料の色で魔法陣の様にも見えるのだ。
「メル……どこを見てるんだ?」
シュレムは彼女へと尋ねる。
するとメルは模様を目で追って行き……。
「魔法陣……」
と呟いた。
そう、そこには巨大な魔法陣が描かれていたのだ。
だが、メルの知るナタリアの魔法とは違う。
一体誰が作ったのだろうか?
「「……魔法陣?」」
リアス達はメルが見つめる床を見るが、どう見ても模様のある床にしか見えない。
だが、事実そこには魔法陣があるとメルは理解し――。
それを読み進めていく……そして、彼女は立ち上がりゆっくりと右手を魔法陣へと向けた。
「幻影より作り出されし、旅路よ我らをかの地へと迎え入れん、テレポート」
聞いた事も無い魔法だった。
だが、確かにこの詠唱で会っているはずだ。
メルのかざした右手の先……つまり、魔法陣の様に見えるそれは光を帯びていく……。
「なっ!?」
大昔の魔法は文字を実際に書き込んで行っていたとされている。
だが、目の前の魔法陣は文字を書き込んでいる訳ではない……。
しかし、確かにそれは魔法陣であり、メルは信じられないと言った風に驚いた。
何故なら彼女が唱えた魔法。
それは――。
「転移魔法……これも別の所に送る魔法だよ」
と口にした。
「な、なんですって!? じゃぁ、これはナタリアさんの?」
「ううん、違う、この魔法はテレポート、ナタリアのは……ヴェークポールト全く違う魔法なの」
メルはそう言うと目の前の魔法陣を睨んだ。
これは一体どこに通じているのだろうか? 魔法は使えたが、そこが分からないのだ。
むやみに飛び込むのは危険だと考えた。
「じゃ! この先に行けば何があったのか分かるのかもな!」
だが、シュレムはそんな事を考えず我先にと魔法陣へと飛び込んだ。
「「「――へ?」」」
一同は呆けた声を出し消える彼女を見送る。
しかし、すぐにはっとすると――。
「なっ!? 馬鹿何やってるんだ!?」
「シュレム!?」
彼女を慌てて追いかけるのだった。
テレポートと言う魔法で転移した先では真っ暗だった。
辛うじて魔法陣からあふれる光で周りは見えたが、どうやら本などがあるようだ。
放置されてどのぐらい経つのだろうか? 埃の臭いがした……。
「ここ、何処だろう?」
メルはそう言うとルクスの魔法を唱え、辺りを照らす。
すると、灯に驚いたのかネズミが散って行った。
先程あちらに居たネズミもここから来たのだろうか?
メルがそんな疑問を感じてると――。
「誰だ?」
という声が聞こえ、彼女達はびくりと身体を震わせるのだった。




