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私の夢は冒険者だったのにっ!!  作者: ウニア・キサラギ
18章 成長した少女
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388話 ルーフの騎士

「ルーフの騎士……だと?」


 ナタリアはメルの報告を聞くと驚きの声をあげた。


「馬鹿な、あえりえん……」


 そして、そんな事を言い始めたのだ。

 当然、メルは彼女の言葉を聞き信じてもらえなかった事にがっくりと項垂れた。


「あ、いや、メルが嘘をついているとは思っていない。だが……」


 彼女はそう言うと……。


「ルーフは小さな地域なんだ……確かに森族(フォーレ)だけが住んでいる訳ではない。国が出来てもおかしくはないだろう」


 ナタリアはだが……と付け足し、言葉を続ける。


「あの地域は最も精霊の加護が強い地域だ。ほんの少し狂ってしまっただけで作物は育たず、水も汚れてしまう」

「……え?」


 それはメルが知らない事だった。


「だからこそ、精霊、そしてその生みの親であるエルフへの信仰は厚いはずだ。だが、奴を思い出せ……エルフを信仰しているように見えたか?」


 メルはナタリアの質問に首を振ってこたえた。

 見えるどころの話ではない。

 あの騎士達はエルフを敵として見ているのはメルが知っている事だった。

 だからこそ、メルも信じられないことでもあった。


 ルーフが小さい地域と言うのは良い。

 エルフの加護が強いというのもクルムの話で精霊を生み出す儀式をする地域と言うのを知っているから理解出来た。

 だからこそ、エルフへの信仰が強いというのも納得が出来る。


 そうなるとあの騎士達は異常だ。

 何故精霊をエルフを目の敵にするのかが理解できない。

 メルもまた、そう思い……。


「じゃぁ、あの人達は別の地域の騎士ってこと?」

「いや、実際にそこに国はあるのだろう……嘘を言っている訳ではないはずだ。奴は私をルーフへと連れて行こうとしていた」


 ナタリアの特別な力である思考読み。

 恐らくそれを使ったからこそ分かる事なのだろうとメルは理解した。

 だが、そうなると……。


「だからこそ、奴が何者なのか気になったのだが……メルの話だとますます良く分からない存在だな奴らは……」

「うん……何が目的なのか、って言うのは分かるけど……」


 何故、ルーフに彼らの国があるのか? 何故、精霊信仰の厚いルーフで国が建ったのか……。

 彼らに対しての謎は深まるだけだった。

 しかし、メルの障害として立ちはだかるのは分かっている。

 それだけではない……今回はレライとリラーグに戦争を起こそうとしているのだから……。


「分からない事ばかりだよ……でも――!」


 メルはそう言うと顔を上げてナタリアを見つめた。

 すると彼女は頷き……。


「そうだな、放って置く事は出来ん、すぐにシルトに知らせよう」


 ナタリアはそう言ってくれたが辺りはもう暗い。

 しかし、このまま放って置くには危険だとナタリアも考えたのだろう。


「すぐにフィー達と行くぞ? エスイルの事と……転移門の件も伝えなくてはならないな」

「うん!」


 メルは頷き、ほっとした。

 レライの王もシルトも戦争は望まないだろう。

 なら、これでもう戦争になる事は無い。

 メルはそう感じたのだ。


「急ごう!」


 そして、メルはすぐに話を伝えなくてはとナタリアを急がせる。


「分っている、だが焦りは禁物だ……先ほどの女の事もある」


 彼女はそう言うと怪訝な表情を浮かべた。

 何かを考えている様子だったが、メルがそれを尋ねると……ゆっくりと首を横に振る。


「あ、いや、何でもない」

「……?」


 メルは首を傾げ、ナタリアの顔を覗き込む。

 すると彼女は――。


「きっと気のせいだ……だからメルは気にしなくてもいい」


 彼女はそう言うと部屋の外へと向かって行った。


「ナタリア、待って!」


 そんな彼女を慌てて追うメル。


「急ぐぞ、まだ日が暮れてそんなに時間が経ってはいないが、あまり遅いと迷惑になる」


 彼女はそう言うとメルを急がせるのだった。

 当然メルは急ぐのだが……。


 さっきのナタリアの表情、どうしたのかな?

 何かあったのかな……。


 と気になり。


 もしかして、やっぱりあの女の人に心当たりがあるとか?

 でも、初対面みたいだったしそんな事無いよね?


 と疑問を思い浮かべる。

 だが、それに応える者は何を考えていたのか教えてはくれない。

 その上、メルが思い浮かべた疑問をもう知っているかもしれないというのに何も言わないのだ。

 メルに内緒事と言うのは少し不安になって来た。

 すると……。


「大丈夫だメル、私はメルの味方だ」


 祖母は振り返り、歳相応とはとても思えない美しい顔に笑みを浮かべた。

 その笑みは不思議とほっとするもので……メルもまた笑顔を浮かべ……。


「うん、信じてるよナタリア!」


 祖母へと伝える。

 何も疑う必要なんてない。

 祖母ナタリアが自分を裏切るはずなんてないんだから……。

 メルはそう自信を持ち、考えると今度はシルトへの報告の事を考え始めた。

 早く伝えなくてはと焦る気持ちを抑え、メルとナタリアはフィーナとユーリを呼びに行くのだった。

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