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私の夢は冒険者だったのにっ!!  作者: ウニア・キサラギ
17章 止めるために
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383話 再会

「無事でよかった、遅かったから心配してたんだよ?」


 アリアの事を心配していたメルは彼女の手の平に乗せるとそう言って微笑んだ。

 するとアリアは不安そうだった顔を笑みへと変えた。

 しかし、もう一人の精霊は――。


『メルは甘すぎます!』


 憤りを見せる。

 シレーヌはアリアとメルの間に割り込むと彼女はメルへと怒る。

 そんな彼女にメルは微笑み。


「シレーヌも心配してたんだよね?」


 そう言うとシレーヌは顔を赤くし、そっぽを向いてしまった。

 しかし、その瞳はアリアの方へと向け……。


『心配しない訳が無いです!』


 と口にした。

 そんな彼女の言葉を聞きアリアもまた笑みを浮かべ、彼女傍へと寄る。

 シレーヌはアリアの方をチラチラとみているが、やはり怒ってはいるのだろう。

 眉を吊り上げ頬を膨らませるとまたそっぽを向いてしまう。


『シレーヌ、ごめんね?』


 と謝るアリアは本当に申し訳なさそうだ。

 シレーヌもそれは分かったのだろう、それ以上何も言う事は無く、ただ黙っていた。


「それじゃ酒場に行こう?」


 メルはそんな二人にそう言うと酒場龍に抱かれる太陽へと急ぐことにした。






 シレーヌとアリアのお蔭でメルは迷う事は無かった。

 そのお陰で酒場に辿り着くことが出来た。

 店の中へと入るとゼファーが驚いた顔を浮かべた。

 それもそうだろう、彼女はついこの前旅立ったばかりだ。

 それなのに仲間を誰一人連れずに戻って来たのだから……。


「メ、メルちゃん!?」

「ただいま、ね! ゼファーさんママ達は!?」


 だが、メルには目的がある。

 それを伝えるべくゼファーの立つカウンターのへと向かった。

 すると彼は困惑しながらも答えてくれた。


「今は書類を整理してるんじゃないかな? この頃国の事でもやる事があると言っていたよ」

「そうなんだ……じゃぁ、書斎だね!」


 メルは頷くと書斎へと急ぐ。

 とはいえ、メル一人ではいけないだろう……ゼファーはそれを知っていた。


「待って、誰かを――」

「大丈夫!」


 しかし、メルはそう言うと真っ直ぐと走って行った。

 書斎への道は精霊である二人が知っているからだ。

 何も問題はない、そう思って走り抜けていくとすれ違う人達に次々に驚かれた。

 誰もがここにメルが居るはずがないのを知っていたからだ。


『ここ!』


 そんな中アリアが指をさした部屋へとメルは飛び入る。

 すると――瞳を丸め、驚いた様子の母達の姿があった。


「メル? なんでここに!?」


 中でもユーリは椅子から立ち上がり机をたたく。

 すると、積み上げられていた書類は宙に舞い。


「うわぁぁああ!?」


 彼女は慌てて書類をかき集め始めた。


「ど、どうしたの? 他の皆も戻って来てるの?」


 フィーナはメルの元へと近づき扉の方を見るが誰も入って来ない事を疑問に思ったのか首を傾げた。


「実は――!!」


 メルは此処に来た理由を告げるべく、息を大きく吸い、話し始めた。

 するとユーリ達は険しい顔になり……。


「た、大変だよ!? フィー!! 早く行かないと!!」

「で、でも、書類が残ってるよ? それに……ドラゴンの事もあるよ?」


 二人はわたわたと慌て始めた。

 ドラゴンの事はメルも知っている。

 そのこともいおうとおもっていたのだが、この様子では大丈夫だろう。

 だが、問題が山積みなのは変わらない。


 エスイルの事を始めとして、戦争が起こそうとしている者。

 転移門の不審者。

 そして、ドラゴン……。

 どれも、優先すべき事だ。


「クルムさんには伝えたの?」


 そんな中、はっとしたユーリは恩人の名前を告げる。

 メルはゆっくりと首を横に振った。

 言える訳が無い。

 だが、言わない訳にはいかないだろう。


「……そうか、分かった。辛いだろうけどそれはメルが伝えて、シルトさんには別の人を派遣する」


 落ち込むメルに対しユーリはそう口にした。

 …………当然だ。

 メルは木を落としながらもそう考えた。

 何故ならエスイルを守ると約束したのはメルだ。

 リアスもそうではあったが、クルムはメルが居るからとも言ってくれた。

 だというこの結果。


「うん、分かった……」


 辛い報告だ。

 エスイルが死んだという訳ではない。

 だが、敵の手に堕ち、更にはその敵がエルフだというのだから……。


 なんて報告すればいいんだろう。


 メルは悩みつつも、ある事に気が付いた。


「そう言えばナタリアは?」


 母達がここに居るという事は彼女も近くに居るはずだ。

 そう思ったのだが、この部屋には居ない様だ。

 メルが疑問に思ってると二人は顔を合わせて深刻そうな表情を浮かべた。


「実は――」


 そして、母フィーナが口を開くのだった。

 彼女から聞いた事にメルは驚く。

 そう、それは……。


「転移門から魔物!? でも……」


 ありえない、ついこの前までならそう思っていただろう。

 しかし、今は違う……ナタリアだけの特権ではないとすれば、十分に可能性があるのだ。


「何で、今になって? って聞いたんだけどね、ナタリーは人から転移の情報を得たんだって……だから、考え付く人が他に居てもおかしくないって……」

「そうだったの? でも……」


 ナタリアでさえ苦戦したという魔法。

 だというのに、それを使いこなすどころかナタリアの魔法にまで干渉をしているという事……。

 どういう理屈だろうか? 外の転移門は上と下を繋ぐもので今までも魔物が来ていた事は知っていた。

 だが、それ以外となるとまずいのだ。

 その理由は街の中にあり、今までずっと安全だったため兵の数も少ない。

 そこに魔物が現れれば最悪対処が出来ないだろう。


「だから、今ナタリアは転移門を壊してる」

「そう、なんだ……」


 メルはそれが正解なのかもしれない、そう思いながらも……。


「どの位で戻ってくるの?」

「夜には戻るって言ってたから、メルは報告してきた方が良いよ?」


 フィーナに言われ、メルは頷くと部屋の外へと向かう。


「それじゃ、行ってきます」


 足取りは重く、だが、しっかりと前を進むメル。


 クルムさん……なんて伝えよう。

 ううん、もう本当のことを言うしか……ないよね?

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