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私の夢は冒険者だったのにっ!!  作者: ウニア・キサラギ
17章 止めるために
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382話 故郷へ

 村長には泊って行く事を進められたメル。

 だが、先を急ぐ彼女は首を横に振り、今旅立つことを決めた。

 イヴとの別れを済ませたメルは少し進んだ所で浮遊の魔法を唱え、空を駆ける。


「急ごう、シレーヌ!」


 そして、水の精霊に語り掛け、空を進んだ。

 どの位進んだだろうか?

 それは分からなかった……だが、地上を歩くよりははるかに楽だ。


 難点と言えば……。


「あ、暑い……」


 温厚な気候であるメルン地方では日を避ける物が無く、メルの言った通り暑いという事だ。


『メルが真っ黒になりそうです』

「ぅぅ……」


 シレーヌの言葉にメルは思わず、嫌そうな声をあげた。

 肌が焼ければ確かに健康的であり、魅力的だとは言われている。

 だが、同時に活発な印象があり、男の子みたいだと言われることもあるのだ。

 普段は気にしなかった事だが、もしリアスに再会した時、肌の色が変わっていたら……。

 彼はどう思うだろうか?

 いや、時間が掛かっている以上、メルに何か起こっているのは察してくれているだろう。

 その上で肌が焼けていても何も思わないだろう。

 それは分かってはいたが……。


「…………」


 それでも、遊んでいた……などと一瞬でも思われるのは嫌だ。

 メルはそう思い、がっくりと項垂れる。

 尻尾も垂れ下がり、空を飛ぶ速度は徐々に落ちて行った。

 しかし、すぐにそんな事を考えている場合ではない! と考え直し、前を見据えると再び空を駆け始める。


『メル! 頑張ってください』

「うん、ありがとう! シレーヌ!!」


 シレーヌに励まされつつメルはリラーグへと向け急ぐ。

 彼女の中には先ほどの悩みはもうなかった。

 だが、新たに浮かんできた不安はあった。

 エスイルの事はどう、説明しよう……。

 メルはその事を思い出すと迷いは見せたが、それでも先を急ぐのだった。


 クルムさん……きっと心配する。

 それに……私が守るって言ったのに……約束守れなかった。


 その事を悔やみつつ、メルは――飛び続けた。



 村を出てから数日。

 メルは起きている時は空を飛びリラーグを目指した。

 迷子になりやすい彼女ではあったが、シレーヌのお蔭で道には迷わなかった。

 出会う魔物もあのドラゴン以外特別危険な魔物はおらず旅は順調だ。

 そして――日が落ちそうだという時……。


「着いた!!」


 メルは地上に降り、転移門へと近づく……。

 そこを抜ければリラーグだ。

 メルは息を荒げつつ走り、転移門へと乗ると浮遊感を感じた。

 続いて門へと向かった彼女を出迎えたのは大きな龍デゼルトだ。


『ぐるぐるぐる……』


 メルを見ると途端に甘え、喉を鳴らす龍。

 勿論、リラーグへと入国しようとしている人は多く、突然のデゼルトの反応に驚く者は多かった。

 ざわつく中、そんな事を気にする様子もないデゼルトはメルへと首を伸ばす。


「ただいま、デゼルト」


 メルはそんな彼? いや、彼女もかもしれないが、龍の首を撫でてやった。

 すると嬉しそうに目を細めた龍はまるで猫のように喉を鳴らす。


「メ、メル!?」


 デゼルトの様子が気になり、見に来たのだろう門兵は彼女を見つけると驚いた声をあげた。

 当然だ、メルがこの場に居るはずがないのだ。

 だが、確かにメルはそこに居てなによりデゼルトが懐いている。

 彼女を知る人物であればメル本人であることは誰も疑う事が出来なかった。


「あの、急いでるの! 早くママ達に知らせなきゃいけない事があって!!」


 メルは入国待ちの人が居る中で門兵へと告げる。

 すると彼は……。


「急いでるって、言われてもな」

「お願い! レライのシュターク王が……」


 その話を聞くと険しい表情へと変えた兵士。


「……レライ? 何かあったのか?」


 頷き答えると彼はやなむそぶりを見せていたのが嘘のように……。


「分かった、そういう事ならこっちに……」


 とメルを案内してくれた。

 笑みを浮かべ礼を告げたメルはすぐに彼の後をついていく……すると――。


『メル!?』


 聞きなれた声が聞こえメルはそちらへと目を向けた。

 彼女はメルの元へと急いできたが、その足は途中で止まってしまう。


『アリア!!』


 シレーヌが彼女の前へと飛び出したからだ。


『え、えっと……』


 しどろもどろになった風の精霊アリアは明後日の方を向く。

 するとシレーヌはそちらへと移動し彼女に指を突き立てた。


『なんでまだリラーグに居るんですか!? レライに帰ってないのは何故ですか!?』

『そ、それは……』


 心配したのだろうシレーヌは目に涙を溜めていた。

 そんな彼女に申し訳なさそうな顔を浮かべたアリアは……ゆっくりと頭を下げ。


『その、遊んでたら伝言を忘れて……ご、ごめんなさいメル、シレーヌ!!』

「わ、忘れた!?」


 以前ならあり得ない事だが、力を得た分、人間に近くなってしまったのだろうか?

 メルはそう疑問に思いつつ彼女の言葉を繰り返す。


『ごめんなさい!』


 それを怒られると思ったのだろうアリアは、もう一度謝罪をするのだった。

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