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私の夢は冒険者だったのにっ!!  作者: ウニア・キサラギ
17章 止めるために
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377話 謎の少女

 冒険者でなくとも戦う事は出来る。

 だから一人で旅をすることは何ら不思議ではない。

 しかし、何も持たずに旅をする愚か者は居ないだろう。


「…………」


 だというのに、目の前の女性は何も持っていない。

 武器は勿論、夜営などに使う道具……いや、それどころか鞄一つすらない。

 身に着けている衣服が唯一の持ち物と言ってもいいかもしれない。


「あの……そんな、睨まれると……」


 メルはその怪しさから彼女をずっと睨んでいた。

 すると彼女は居心地が悪そうに呟く。


「あ、ごめんなさい……」


 思わず謝ったメルだが、取りあえず深呼吸を繰り返す。

 もし、悪人であればもう襲われているはずだと。

 ましてや、あそこ迄バレバレな足音を立てるはずがない、と……。

 何より、他に気配や音はしなかった、つまり彼女は一人だ。


「えと、それで何をしていたか、ですよね?」


 彼女の言葉にメルは頷く。

 そう、彼女は何故ここに居て何の目的があるのか?

 それを聞かない限り安心はできない。


「その、何て言うか……私にもわかりません」

「うん…………え?」


 一度は首を縦に振ったメル。

 しかし、帰ってきた言葉に思わず顔をしかめてしまった。


 何故、本人にも分からないのか?

 メルは疑問に思い、首を傾げると尻尾を揺らす。


「気がついたらここだったんです、罠があったので人が居ると思いこっちの方へと来たんですが……」

「気がついたらって……そんな事」


 あるはずがない。

 メルはそう口にしかけて言葉を詰まらせる。

 あり得るのだ。

 もし、転移魔法に巻き込まれれば本人の意思とは関係なくここにいるだろう。


「もしかして、光の道を進んできたりとかは?」


 メルはその線を疑い彼女に尋ねるが、彼女は首を横に振った。


「そんな道見た事もありません、ただ気がついたらここだったんです」


 彼女の言葉にメルは悩んでしまう。

 嘘を言っている様ではない、恐らくは真実だろう。

 ならどうやってここまで来たのだろうか?

 そもそも……。


「そもそも、貴女は何処の人なんですか?」

「え? 私?」


 自身へと指を向けた女性に対しメルは頷く事で答えを返す。

 すると彼女は――。


「ルーフ地方にある小さな村です、見た所ここはルーフではないですよね?」

「ルーフ!? だってここはメルン地方だよ!?」


 メルは思わず驚き、彼女に告げた。

 ますます転移魔法でなくてはありえない状況だ。

 タリムやリシェスからならまだ分かる、だがルーフからはどうやってもここには来れないだろう。


「一体どうやって……」


 メルはそう口にしたが、最早考えられる理由など一つしかない。


 転移魔法……でも、どうやって?

 ううん、あの回廊で襲ってきた人、あの人が言った通りなら別の人だって転移魔法を使えるって事だよね。

 じゃぁ……この人はその転移魔法で?


 メルはそう思うと彼らの関係者ではないか? と疑うが、そうであればますます武装しない意味が分からない。

 彼らは強く、メル一人では敵わないだろう。

 そして、戦争を起こそうとしている事は分かっている。

 なら尚更、メルの邪魔をしたいはずだ。

 彼女がもしメルの邪魔をするために現れたのなら……とも思うが……。


 でも、目の前の人はどう見たって……。


 非力な女性にしか見えない。

 何故そんな人がここに居るのか? 転移魔法で送られたにせよ、なぜ彼女なのか?

 それは疑問だった。


「ですから、気がついたら……」


 彼女は困った様な表情を浮かべている。

 見捨てる訳にはいかないとメルは思うが……。


 どうしよう、街までは此処から遠いよ。


 そこでふとメルは気が付いた。

 これでは空を飛んでいくなんて事は出来ない。

 魔法自体はかけれるが、彼女がメルと同じように飛ぶのは不可能だろう。


「と、とにかく休もう? 疲れているみたいだし……」


 彼女の顔には疲労が見え、メルはそう言うと休むことを提案する。


「は、はい……」


 彼女もまた頷き、その場に横になろうとした。

 メルはそれを止め自分が先ほどまで使っていた毛布を使う様に告げた。

 幾ら火を焚いているとはいえ、寝冷えしてしまうだろうと考えたのだ。

 お礼を告げてきた彼女に微笑んだメルは彼女が寝入るのを確認し、空を仰ぐ。

 真っ暗な空が広がるそこを見つめながら――。


「考え過ぎだよね」


 ただの偶然、彼女は転移に巻き込まれた。

 そう思う事にしておいた。

 いや、他に彼女がここに来た理由が分からないと言っても良い。


 実験かなにかで、彼女は此処にいる。

 そう考えた方が理由としてもしっかりしているはずだ。

 じゃなければメルが何処に居るかも分からないはず。

 その状況でメルに何らかの影響を与える事は不可能に近いだろう。


「でも……転移魔法はナタリア以外にも使える」


 それは……本当の様だ。

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