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私の夢は冒険者だったのにっ!!  作者: ウニア・キサラギ
17章 止めるために
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374話 リラーグへと向けて……

 翌日、メルは朝起き食事を済ませると旅立ちの準備を済ませる。


「もう行くのか? もう少しゆっくりしていっても良いんじゃないか?」


 そう言うのは昨日出会ったガルグと言う冒険者だ。

 彼は心の底から残念がっているように見えた。

 そんな彼に対しメルが答えようとしたら。


「その子にはその子のやる事があるんだから邪魔したら駄目だって!!」


 アイビーにそう言われ、彼は店主の方へと顔を向けた。


「で、でもよ?」

「そりゃ……寂しいし、居てくれればって思うけど……」


 店主はそう言うと優しい瞳をメルへと向け……微笑んだ。


「やる事しっかりこなしておいで」

「はい!」


 メルは頷き、答える。

 ドラゴンは気になる……だが、昨日決めたばかりだ。

 自分は自分のすべきことをし、待っている仲間達の元へと戻る。

 そして、もし……。


 もし、間に合うようならここに駆け付けてドラゴンを!!


 倒すのに手を貸す。

 メルは新たな目標も決め、荷物を背負うと……アイビーへと礼を告げた。


「ありがとうございました」

「良いんだよ、前は迷惑もかけちゃったし、ね?」

「め、迷惑何てかけられてないですよ! 寧ろ私達が……」


 メルは彼女の言葉を否定すると彼女は笑い始めた。

 当然メルは困惑するのだが、彼女は一向に旅立たないメルに対し……。


「ほら、早く行きな!」

「は、はい!」


 一括を入れられたメルは慌てて酒場の出入り口へと向かった。

 振り返り手を振るとその場にいた人達は彼女へと向かって手を振ってくれる。

 メルはたくさんの人に見送られ、旅立つ。


 嘗て、リラーグからそうやって旅立ったように……。

 ほんの少し前、レライからそうやって旅立ったように……。

 メルは一歩一歩を踏みしめ、前へと進んだ。

 街の出入り口へと辿り着いた彼女は外へと出て深呼吸をする。

 流石に魔法を使っても一日で飛び切る事は不可能だ。

 途中、野営は必要だろう。


「よし!」


 一人意気込んだ彼女はゆっくりと魔法を唱え始めた。


「我らに天かける翼を!」


 エアリアルムーブ! と続けて口にした彼女の身体はゆっくりと浮き始める。


「シレーヌ!」

『はい、あちらですよ』


 声をかけられた水の精霊は微笑みながら真っ直ぐと指を向けた。

 メルはそちらの方へと向かい飛び始める。

 空は雲がかかり、雨が降って来るのでは? と心配になったが、メルは進む。

 立ち止まっている訳にはいかないからだ。

 空を舞いリラーグを目指し手からどのぐらい時間が経っただろうか?

 ポツ、ポツ……とメルの肌に冷たい雨が落ちてきた。


「えっと……」


 何処かに休める場所はないだろうか?

 メルは空から周りを見下ろす。

 このまま進んでも彼女自身は構わないと思っていた。

 しかし、風邪を引いたら大変だ。

 それでもリラーグに着ければ問題はない。

 だが、それまでが大変になってしまう、ましてや熱が出たら動けなくなってしまうかもしれない。

 そうなってしまえば今よりも時間がずっとかかってしまう。


「あ……!」


 メルはようやく雨宿りが出来そうな洞窟を見つけ、そちらへと向かう。


『メル? どうしたのですか?』

「雨だから止むまであそこで休もう?」


 水の精霊であるシレーヌにとっては雨と言うものは何でもないのだろう。

 彼女は首を傾げるが、メルの意見に反論する気は無い様子で、彼女の服の中へと隠れた彼女は大人しくしていた。

 メルはそれを確認し、微笑むと目的の洞窟へと入り込む。

 中は真っ暗だ……。

 人の気配はしないが、もしかしたら魔物や動物がいるかもしれない。

 そう考えた彼女は――。


「我が行く道を照らせ! ルクス」


 魔法を唱えて洞窟の中を照らす。


「足跡は……ない?」


 不思議な事に足跡が無い洞窟だった。


『嫌な感じですね?』


 シレーヌは顔をしかめており、メルは彼女の言葉に頷いた。


 動物とかが出入りしていないって事だし、かといって足跡を消したって感じもしない。

 何か危険な洞窟なんだ……雨が止むまで、って思ったけど……。


 ここに居たら危険だ、そう考えた彼女はその場を去ろうとした。

 しかし――。


「嘘でしょ……」


 雨音が大きくなり、大雨になってしまった。

 この雨では外に出た瞬間ずぶぬれになり、風邪を引いてしまうだろう。


「……はぁ」


 メルががっくりと項垂れ、どうしようか迷っていると……。


『後ろの道を塞いだらどうでしょうか? 全部塞がなければ呼吸も問題ないはずです』


 というシレーヌの提案が聞こえ、メルはその手があったと顔をほころばせる。

 そう、後ろが心配なら塞いでしまえばいいのだ。


「そうだね、そうしよう!!」


 メルは後ろへと振り返り右腕を真っ直ぐと伸ばす。

 そして――。


「具現せよ強固なる壁、アースウォール!!」


 魔法で岩壁を作り出すのだった。

 これならば安心だろうと彼女は一息つく事にし、焚き木の準備をしはじめた。

 雨の所為で若干寒くなり始めていたのだ。


「よし……っと」


 あらかじめ買っておいた薪を並べると一本の薪をナイフで薄く削っていき屑が付いたままの薪を作ると火打石で火をつける。

 昔ドゥルガから習った火を早く安定させる方法だ。


『凄い! 羽みたいです』

「私も最初そんな事言ったよ」


 シレーヌの言葉にメルは微笑み返し、火のついた焚き木を見つめた。

 思わぬ足止めだったが、すぐに洞窟を見つけられてよかった……と考えながら……。

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