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私の夢は冒険者だったのにっ!!  作者: ウニア・キサラギ
16章 失われた仲間
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366話 光へ!

「はぁ、はぁ……はっ!」


 僅かに見えた希望。

 メルはそれにすがり付くように走る。

 当然後ろからは彼女を追って来る男が居た。

 メルはまだ子供で男は大人。 

 背の高さも違えば足の長さも違う。

 当然追いつかれてしまい……。


「行かせるかよ!!」


 男の手はメルへと迫る……だが、怯えているとはいえ、恐怖を感じているとはいえメルはただの少女ではない。


「っ!! 我が行く道を照らせ!! ルクス!!」


 咄嗟に口にした魔法は攻撃の魔法ではなかった。

 しかし、突然男の目の前で生まれた光は強く――。


「ぐっ!?」


 男は思わず目を瞑り、自身の目を守る様に腕で隠す。

 その隙を逃さずメルは表へと出た。


「はぁ……はぁ、はぁ……はぁ……」


 外の空気を吸い、少女は荒い呼吸を落ち着けようとする。

 だが、男が居ってくるかもしれない。

 その場は危険だと判断したのだろう移動をしようとした。

 その時ある事に気が付いたのだ。


「こ、ここ何処?」


 メルは辺りを見回した。

 だがそこは見たことの無い部屋だ。

 誇り臭く、真っ暗……見た事無いというよりか、知らない臭いの部屋。

 メルは不安になりつつも後ろの魔法陣を見る。

 光は消えており、男はそれ以上追って来れないのは分かった。

 だが、不安を感じたメルはその場にある魔法陣へと一文字くわえた。

 これでもう此処からは出ることが出来ないはずだ。


「我が行く道を……照らせ」


 ルクスと言葉を続ける。

 すると新たに光の玉が生まれ、辺りを照らす。

 周りを見ると朽ちた鍛冶道具、机、そして食料や水が入っていたであろう樽。

 そして……。


「魔法陣? でも、これ……壊れてる?」


 さらに見回してみると上にあがる階段を見つけた。

 メルは警戒しつつ上へと昇っていく。

 他に道らしきものが無かったからだ。


「ここ、何処? なんでここに?」


 メルは呟きながら外へと出る。

 そして……そこが何処だかようやく理解した。


「ここ、此処って……」


 上へと昇った所でそこが地下室である事に気が付いたが、建物の中ではなく直接外につながっていた。

 そして、そこは嘗てメル達が訪れた場所だ。


「タリム……」


 そう、そこはタリムという村。

 一体なにが起きたのか彼女は理解できなかった……。

 何故、タリムに出た? 彼女は分からず辺りを見回す。


「どうして?」


 メルは思わず疑問を感じつつ口にする。

 回廊の中に閉じ込められたのが原因かは分からない、しかし辺りはもうすでに暗く……。

 メルはシレーヌへと目を向ける。


「ねぇシレーヌ、前に泊まった酒場に道案内頼めるかな?」


 メル一人では酒場に辿り着く事は不可能だろう。だが、精霊が居れば話は違う。


『分かりました、すぐに案内しますね』


 シレーヌの案内で依然と舞った酒場へと向かうメル。

 そこにはまだ明かりがついていており、メルはほっとしつつ扉へと手をかけた。

 中に入ると……。


「いらっしゃ……お、お嬢ちゃん!? 戻って来てたのか!」


 店主は嬉しそうに笑うがメルはその表情を困らせた。


「も、戻ったというか、そうじゃないというか……」


 メルはそう言うとポリポリと頬を描いた。


「リアス達はどうした?」

「その今はバラバラで……」


 メルはそう言うが……。


「リラーグに行くはずだったんですけど……」

「リラーグに? おいおい、まさか一人で船に乗って来たってのか?」


 メルの言葉に驚く店主。

 それもそうだろう、タリムからリラーグに行くには数日かかる。

 普通なら仲間も一緒に来るだろう、なのに居るのはメル一人……。

 実際にはシレーヌと言う心強い仲間も居るのだが、店主には分からない事だ。


「何やってるんだもしかして、喧嘩でもしたのか?」

「そ、そう言う訳じゃないです」


 勿論喧嘩をした訳ではない事を伝えるメル。

 しかし――当然店主は首を傾げたままだ。


「実は――」


 メルは此処に来るまでの話を店主へと告げる。

 すると――。


「騎士? 騎士が襲って来たってのか? その光の回廊って場所で……転移魔法の回廊?」

「はい……それで、道が閉ざされていたのに、此処につながって……」


 何故そうなったのかは分からない。

 メルはそう思っていたが……。


「ゼルの奴か?」

「え?」


 店主は腕を組み呟いた。


「いや、月夜の花……お嬢ちゃんが出てきた場所はその酒場があった場所だ……転移陣って言う物があったから、エルフの使者達は此処に来てくれた」


 彼は当時を思い出すように語り始める。


「ゼルのお蔭で早く辿り着く手段があったんだ……だからこそ、俺達はそれを残しておいた……下手に触って魔法が暴走したら嫌だというのもあったがな」

「それじゃ、ゼルさんが魔法陣に細工を?」


 そんなはずはない、メルは自分で言った事を心の中ですぐに否定した。


 だって、転移陣はナタリアの魔法。

 他の人に扱えるほど簡単な物じゃない……ましてや改造何て……。


「出来る訳が無い……」


 メルはそう呟きふと気が付いた。

 そう、ナタリア以外に出来る訳が無いのだ。

 つまり、ナタリアであれば改造できるだろう……いや、ナタリアでなくとも……。


「もしかして、ユーリママ?」


 そう、母ならばできるはずだと……。

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