354話 謎を解き先へ……
シュレムへと事情を説明したメル達。
こんな時ぐらい泣いてもいい……その言葉にメルは自分の感情を抑える。
そして、試練へと挑むのだった。
階段を降りていくと……そこには謎が書かれていたのだが?
「フラニス……?」
メルは辺りを見回すが其処にフラニスが好みそうな住処は無い。
しかし、この場にはフラニスは確かに居た。
「炎の精霊だったよな?」
リアスが問うとメルは頷く……そして、その視線は彼の背負う剣、ナウラメギルへと注がれる。
そう、そこにフラニスが居るのだ。
しかし、当の方人は首を傾げていた。
「うーん?」
どうやら精霊に道を聞く……という方法ではない様だ。
しかし、壁にはしっかりと導かれと書いてある。
「なぁ……あれじゃないか?」
シュレムは首を傾げるメルの肩を叩き、目の前にある燭台へと指を向ける。
メルはその燭台の方へとルクスの光を飛ばす。
すると奥にも燭台があるようだ。
「そう、なのかも……」
「やってみた方が良いかもしれないわね」
近づいて見てみると燭台には
布が置いてあった。
これに火をつけろという事だろう。
「油はあったっけ?」
メルは鞄の中を探り、油壺を取り出すとそれを布へと染み込ませた。
続いてリアスはナウラメギルへと手を伸ばすが、すぐに考え直し……。
「リアス?」
「あ、いや……まだそんな器用な真似は出来そうにない」
そう呟くとメルはくすりと笑った。
そして、火打石を取り出すと布へと火をつける。
ボッという音と共に瞬く間に燃え上がっていく炎は暖かい夕焼け色だ。
どこか安心する色であるそれを見つつメルは油壷へと目を落とす。
「うん……油はまだ十分ある」
「じゃぁ燭台に火つけて回ろうぜ!!」
シュレムはメルの言葉を聞くと歯を見せながら笑い口にする。
メルもまた彼女の言葉に笑みを見せつつ頷いた。
「そうだね、フラニスって事は火の事を言ってるんだと思うし」
メルはそう言うと次の燭台の所へと行き布へと油を染み込ませた。
燭台を辿っていくと確かにその火が道の様になっていく……やはり、導かれとはこの事なのだろうか?
メルがそう考えていると……。
「メル、こっちだ! ここをルクスで照らしてくれ」
「うん!」
リアスに言われ敢えて消さなかったルクスをリアスの指す場所へと向ける。
するとそこにはまた文字が書かれていた。
「シルフはフラニスと手を取りて、舞い上がり……?」
シルフと言う事は今度は風だろうか?
しかし、舞い上がりとはどういう意味だろう? メル達は再び疑問を持った。
周りを見渡してみると燭台がまだある、それへと火をつけた後、改めて見てみるのだが……。
「どういう事?」
風は一切吹いていない……。
だが、その部屋らしき場所はやけに広く……メル達は辺りを見回した。
あるのは何に使ったのかすら分からない、ボロボロの布だけのようだ……。
「天井も高いみたいだな……」
リアスの言葉を聞きメルはルクスの光を天井へと向ける。
するとどうやら上には足場があるようだ。
「ちょっと見てくるね」
メルがそう言い魔法を唱えようとするとライノの手により彼女は詠唱を遮られた。
「むぐ!?」
「まって、魔法を二つ使うのは疲れちゃうでしょ?」
彼は微笑むと自身の羽へと指を向ける。
「アタシなら飛んでいけるわ、照らし続けてくれるかしら?」
メルはこくこくと頷くすると彼は羽を羽ばたかせて飛び上がった。
瞬く間に足場の方へと辿り着くと……。
「何かあるわ! 何かしらこのでっぱり……」
「旦那! 触ってみたらどうだ!?」
シュレムがライノの言葉に答えるが、それに対しメルとリアスは慌てたように叫ぶ。
「だ、駄目!」
「そうだ! まず周りに何がある確認してくれ!!」
「なんでだよ?」
シュレムのがっかりしている様子に二人は慌てて説明をする。
こういった洞窟の中では変なものに触るのは危険なのだと……。
事実、昔の人は罠を仕込んでいる事が多く……例え、それが試練だとしても油断はできないだろう。
「とにかく、危ないの!」
メルの言葉に頬を膨らませつつ「分かった」と答えるシュレムにホッとするメルは近くにある燭台へと火をつけた。
「何かあるわ! 文字ね? ウンディーネ……ドリアードと共に……あら? 石板が光ってるのかしら? 続きは……?」
彼が何かを読み上げるのとほぼ同時だろうか?
部屋の中に暖かな火が灯る、すると……ガタンっ! という音と共に何かが動き始めた。
「きゃ!?」
メルの可愛らしい悲鳴が聞こえると共に周りに起きた変化……。
「見る者を魅了する……?」
それはどういった理屈なのだろうか? メル達には理解が出来なかった。
しかし、メル達の目の前には階段があり……。
「メル、危険だから不用意に触るなって言ってなかったか?」
「だ、だって……今まで何も」
「そうだな、危険はない……多分全部に火を灯す事で動く仕掛けだったんだ」
その階段へと近づいたメル達は上へと昇る階段へと足をかけた。
「とにかくライノの所に向かおう」
「うん!」
そして、上で待つ仲間の元へと急ぐ……当然来るとは思ってないライノには驚かれたが事情を説明すると……。
「あら、そうだったの……それよりもこのでっぱりどうする?」
それはどうやら何かが嵌められているようにも見えた。
メルは微かにカタカタと震えるそれを見て首を傾げると……壁に記された文字を見る。
今までも危険な事は無かった。
だけど、何かが起きないって訳じゃない……。
『メル! メル! 水です! 水ですよ!』
不安に思うメルの服の中から顔を見せたシレーヌははしゃぎ始めた。
それが意味するのはつまり……。
「皆壁から離れて……」
メルはそう言うと燭台に火を灯し、ルクスの魔法を切る。
そして……仲間達がそのでっぱりから離れた所で自身も正面から動き横に立つ。
「我が意に従い……意思を持て! マテリアルショット」
そして、魔法を唱えたのだった。




