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私の夢は冒険者だったのにっ!!  作者: ウニア・キサラギ
16章 失われた仲間
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350話 再会

 急ぎロクの元へと向かったメル達。

 名を呼び、その扉を叩くもなかなか出てこない彼に対しメル達は不安を感じた。

 しかし、ようやく出てきた彼にほっとしたメルだったが……。

 どうやら彼はもう目があまりよく見えないようだった。

 だが、メルだと理解すると快く迎え入れてくれ、話を聞いてくれるのだった。

 メルの言葉を聞きロクは頷く。


「なるほど、それでこんな夜中に尋ねてきたという訳ですな」

「そうなんだ、すまない」


 リアスは頭を下げるが、ロクは手のひらを見せるように前に出し首を横に振った。


「いや、ワシの方こそ怒鳴ってすまなかったのう」


 彼はそう言うとメルへと視線を戻し、笑みを浮かべた。

 その視線に気が付いたメルは何処か恥ずかしそうな表情をする。


「それにしても、メルお嬢様はお二人の子ですな」

「……え?」


 何の事だろうか?

 メルが疑問に思うと彼は声に出し笑い。


「いや、こんなおいぼれの命を心配してくれたのです。紛れもなくフィーナ様とユーリ様の子ですよ」

「う、うん!」


 二人の子供……当然のことを言われたメルだったが、それでも彼女は嬉しかった。

 何故なら二人はメルにとって自慢の家族だ。

 普段はそんな二人の子だとは思われない。

 当然だ……二人とも女性でその間に子供などできないと考えるだろう。

 しかし、メルは二人の間に産まれた子。

 だからこそ、見た目だけでなくその性格も受け継いだという事だろう。


「さて、今日はもう遅い、休みなさい」


 ロクに促されその場で横になろうとしたメル。

 しかし、はたと止まるとぶんぶんと首を横に振る。


「メルお嬢様?」

「私達はロク爺を助けに来たんだよ!? それなのに見張りもせずに休むなんてありえないよ!!」


 そう言うとリアスとライノは微笑み。


「そうね、その通りね」

「ああ、だけど休まないでいる訳にはいかないだろ? 交代で休もう」


 と口にした。

 メルは頷くと――。


「じゃぁ、先にリアスが休んでね?」

「……分かった」


 再会した知人と話したい事がいっぱいあるのだろう、リアスはそう判断し首を縦に振る。

 するとメルはロクの方へと向き、ロクもまた笑みを浮かべ皺だらけの顔に更に皺を作った。


「立派な冒険者になられましたな」


 その言葉にメルは一瞬きょとんとする。

 しかし、すぐに自分が腕輪を付けていた事を思い出し、慌てて首を振った。


「私はまだ見習い……まだまだだよ」


 メルはそう言うと恥ずかしそうに頬をかいた。

 自分ではまだまだだ。

 そうは思ってもやはり褒められると嬉しい。

 だが、今は浮かれている場合ではない……メルは表情を引き締めると仲間達の方へと向く。


「それじゃ、二人は休んでね」


 自分も疲れてはいる。

 だが、それでもロクと話したい事は山ほどあった。

 リアスとライノは頷き、横になる。


 メルは立ち上がり、辺りを見回した。

 質素な部屋だ……何も無い。

 だからこそ、万が一の時は戦いやすいが、ロクを逃がす場所を探しておこうそう思った。

 入口の他に逃げれそうな場所は窓が一つ。


「なつかしいですな」


 メルが真剣な顔でまずは逃げ道をと考えているとロクはしわくちゃな笑みを浮かべたまま呟いた。


「え?」

「昔、フィーナ様を逃がすために、我々も色々考えた物です」


 メルの母フィーナは元々お姫様だった。

 だが、現在のレライを収める王が攻めて来て国は滅んだのだ。

 そんな亡国の姫がどうなるかは誰もが分かる通りだ。

 奴隷として売れば高値で売れ、そうでなくてもそのまま捕えられてしまい、良くて殺される。

 悪ければ慰み者。

 人間として最低な人生を送ることは間違いないだろう。

 だが、フィーナは無事だった。

 当時街に居た冒険者達……メルの祖母であるナタリア達に目の前にいる老人ロクがフィーナを託したからだ。

 勿論追手はかかったという話は聞いていた。

 しかし……。


「再会した時は森族(フォーレ)という身でありながら、あの様な大剣を身に着けており驚いたものです」

「あはは……確かにそうだね」


 母はメルと違い純血の森族(フォーレ)だ。

 通常森族は力が弱い、だが……フィーナは何故かその逆だった。

 魔族(ヒューマ)でも扱うのが難しい大剣を振り回し、精霊召喚という類稀なる才能を持っていた。

 そんな彼女を見れば当然驚かれるものだ。


「しかし、メルお嬢様……貴女も無理なさらずに」

「分ってる」


 心配された事に少し恥ずかしさを感じつつメルはそう答え、ロクとの話に花を咲かせる。

 昔の母はどんな子だった? とか今まで自分はこんな旅をしてきただとか……。

 色々話していくとロクはうんうんと首を縦に振り、話を聞き行ってくれた。


「それでね……」


 だが、メルは突然会話を止める。

 今自分が何を考えているか……それを口にしようとして辞めたのだ。

 理由簡単。


「メルお嬢様?」

「ううん、なんでもない」


 それは、まず最初に母達に伝えないと……そう思ったからだった。

 だが、それを知らないロクは急に黙ったメルを見て心配そうにする。

 メルはそんな彼を見て……。


「大丈夫、心配されるような事じゃないよ! ただ、最初にママ達に伝えたいの!」


 正直にそう言うとロクは嬉しそうとも寂しそうとも取れる表情を浮かべた。


「それではワシも長生きをせんといけませんな」

「そうじゃなくても長生きしてほしいんだけど!」


 メルは皮肉気に言われた言葉に頬を膨らませる。

 するとロクは「はっはっはっ」と笑い、メルもつられて笑うのだった。

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