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私の夢は冒険者だったのにっ!!  作者: ウニア・キサラギ
16章 失われた仲間
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348話 新たなる決意

 大切な弟を失った喪失感。

 そして、絶望に飲み込まれたメル。

 そんな彼女を救ったのは破壊の精霊でもある氷の精霊フアルだった。

 彼女の言葉にメルは生気を取り戻し「エスイルを助ける」としっかりと口にするのだった。

 エスイルを助ける! メルはそう意思を固め今一度立ち上がる。

 涙で目は晴れ痛みはあった。

 だが、そんな事で立ち止まっていられない。

 きっとエスイルは自分よりずっと不安なのだから……。


 迎えに行く自分がこうではきっと……もっと不安になってしまうだろう。

 助けに行くのだからこちらはどんっと構えてなければらない。

 きっと、それが自分のすべき事だ。

 メルはそう思い、仲間達を見回す。


「行くのか?」

「うん……」


 辺りはもう暗い。

 だがメルは出発の意志を固めていた。


「でも、その人の家に行くなら迷惑かもしれないわよ?」

「怒られても良い、それよりも早く行って無事を確かめないと!!」


 メルはそう言いつつ、考える。

 もし、ロク爺になにかをしてしまったらその時、エスイルはきっと傷つくだろう。

 それが原因で今耐えている心が崩れかねない。

 そうなってしまったら助けられるものも助けられないかもしれない。

 メルはそう思い、今出発することを決めたのだ。


 そんな彼女を見て、シバは溜息をつく。


「行くのは良いんだがなぁ! その娘はどうするんだ? なぁ」


 その娘とはシュレムの事だろう。

 彼女を連れて行くのは流石に無理がある。

 それは誰から見ても分かる事だった。


「お城の兵士さんに伝えて置く……置いて行った訳じゃないって分ればきっと大丈夫」


 メルはそう言うと心配そうにシュレムを見つめる。

 魔力が減っただけだ。

 早ければ明日のうち、長くても二日、寝ていれば回復するだろう。

 だが、その間にエスイルを操る何者かがロク爺を襲う可能性はある。

 彼女も同等だろうが、此処には兵士が居る。

 そう簡単には襲えないだろう……。


「あと、今回の事を伝える。エスイルが来たら捕えてもらうの」


 メルはそう言うと荷物を手に取り、氷の宝石をポーチへとしまった。


「行こう! ロク爺が無事か確かめないと!!」


 そう言うと仲間達も頷きそれぞれの荷物を手に取った。

 だた一人、シバを除いて……。


「あのなぁ、夜には危険な魔物も――」

「シバさんは此処にいて、さっき言った事を王様たちに伝えてほしいの」

「なに?」


 シバが何かを言おうとした所、メルはそれを遮りそう伝えた。

 当然返ってきたのは疑問の言葉だ。

 しかし、メルはそんな事は気にせずに言葉を続ける。


「シバさんお願い、誰かがここに残って王様に話を伝えた方が早いの、だからロク爺の居場所を教えて?」


 メルは緊急を要する事だと考え、シバへと頼む。


「いや、しかし……なぁ!」


 渋る彼に対し何故そこまで渋るのか? とメルは疑問に思ったが、よくよく考えればこの時間だ彼はそれを気にしているのかもしれない。

 だが、それでもいかなくてはならない。

 メルの意志はもう変わる事は無く。


「お願い……ロク爺が危ないかもしれないの! フィーナママもきっとそうするから!」


 母の顔を思い出し、きっと彼女ならそうする。

 そう確信を得ているメルはそう伝える。

 すると六は溜息をつき……。


「街の外……門から真っ直ぐ西に向かうんだ、なぁ……そこにロクの奴はいる。だが、あいつはもう……」

「ありがとう! 皆行こう!!」


 メルはシバが何かを言いかけているのを遮り扉を潜り抜ける。


「メルちゃん!? 待ちなさいって!!」

「そうだ!! メル一人じゃ迷子になるだろ!?」


 仲間達もまた、メルを追いかけ飛び出していく。

 一人残されたシバは深いため息をつき……。


「話も最後まで聞かんとは、なぁ……大丈夫だろうか、なぁ」


 と呟くのだった。




 夜の街をかけるメル達。

 目的地はロクの居る場所だ。

 急ぎ門の所まで走った彼女達は門兵へと目的を告げると……。


「で、ですが今は夜中ですよ!?」


 彼らは驚いたような表情を浮かべる。

 当然だ、夜中に旅立つ者は少ない。

 夜行性の魔物目当手でもなければ向かう意味が無いからだ。

 しかし、メル達にはしっかりと理由があり。


「とにかく門を開けてくれないか? 駄目って訳じゃないだろう?」


 リアスの言葉に門兵は頷き。


「わ、分かりました。お気をつけて……」


 彼はそう言うと門を開けていく。

 メル達は門を潜り抜け、街の外へと向かうと――。


「早く!!」

「だからメルちゃん!?」

「そっちは南だって……西はこっちだ!!」


 焦るメルの腕を掴んだリアスは彼女が進んだ方とは違う方を指差し、メルは顔を赤くしながら唸り声をあげる。


「急ぎたいのは分かるわ、だけど私達が焦っても駄目なの。メルちゃんは余裕が無い人に助けてもらえると思う?」

「それは……」


 ライノの言葉にメルは言葉を詰まらせる。

 何時も助けてくれた母達は何時だって焦った様子はなかった。

 だと言うのに自分はそうではない。


「助ける側はどんっと構えて安心させたげなくちゃ、ね?」


 片目を瞑り、微笑むライノの言葉にメルは頷いた。

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