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私の夢は冒険者だったのにっ!!  作者: ウニア・キサラギ
16章 失われた仲間
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343話 待ち人は

 メルは仲間たちの帰りを待つ。

 ようやく扉が開き、リアスが帰ってきたのだと思ったメルが目にしたのは先ほど出て行ったライノとシバだった。

 エスイルじゃなくてわるいなぁなどというシバに対し首を振ったメルだったが、やはり不安はぬぐえないのだった。

 メル達はエスイルとリアスの帰りを待つ。

 しかし、夜になっても一向に戻らない。


「………………」


 当然メルは落ち着かなく、部屋の中をうろうろとしはじめた。

 やはりついて行けばよかっただろうか?

 そう思いつつ、この場で待っていても埒が明かないと気が付いた彼女は――。


「探しに行ってくるね!」


 とライノへと告げる。

 だが、ライノはそれを首を横に振る事で止めた。


「ライノさん?」

「今メルちゃんが行って探せるの? 街の中迷って戻ってこれなくなるわよ?」


 彼にそう言われメルは「うぅ!?」と呻き声の様な物をあげた。

 悔しいがその通りだ。

 城に戻るまでの道、城から出て行った後……どちらにせよ迷子になることは間違いない。

 目印があるのだから飛んで帰ってくれば良いが、帰る前に変なところに迷い込んだら意味がない。


「そ、そうだ!!」


 メルはある事を思いつき、水瓶の方へと目を向ける。

 そこには顔をのぞかせている精霊が居り、彼女は視線が合うとピクリと震えた。


『…………』


 それを目にしたシレーヌはどこか悲しげな表情を浮かべている。

 しかし、メルは心の中で彼女に謝りつつ、声をかけた……。


「ウンディーネ、エスイルが何処に居るか調べて欲しいの」


 彼女に尋ねるのだが、ウンディーネは困惑したような表情をする。

 どうしたのだろうか? メルは初めてそこで疑問に思うと……。


『あの……分からないです』


 ウンディーネは申し訳なさそうな表情を浮かべてしまった。


「わ、分からない? だってエスイルは……」


 水袋を持って行っているはずだ。

 そうメルは思うがウンディーネはぶんぶんと横に首を振った。


『エスイル、怖い……仲間じゃない!』


 そして、紡がれた言葉は信じられない事だった。

 エスイルが怖い、そう言うウンディーネは震え、水瓶から飛び出すとメルに抱きつくようにしてきた。

 精霊は嘘をつかない、感じたままを伝えてくれる。

 つまり、ウンディーネは何かしらエスイルに恐怖を抱いていると言う事だ。

 そして、シレーヌが聞いた仲間ではない! という言葉は本来エスイルに向けられたものではないか? メルは疑問を思い浮かべつつそう思った。


 何故――?


 メルは意味が分からず呆然とした。

 そんな時だ、がちゃりと扉は空き……部屋の中に入ってきたのは……。


「リ、リアス?」


 エスイルを追って行ったリアスだった。

 彼が入ってきた時、メルはその表情に疑問を感じたが、すぐに笑顔になり尻尾をゆらゆらを振り始める。

 そして、彼の後ろを確認するが……。


「エスイルは?」


 少年が居ない事に気が付くとリアスに尋ねた。

 だが、リアスはだんまりと沈黙を保っている。


「ねぇ……エスイルは?」


 もう一度訪ねるもリアスは眉をひそめて唇をかみしめるだけ……。

 そんな彼を見てメルは色々と浮かび上がって来た。


 珍しくエスイルに怒られた事。

 何故か氷の精霊を司る宝石があった事。

 エルフとの会話……。

 神子を見つけたと言う事。


 そして……。

 リアスの表情……帰ってこないエスイル。


 まさか――!!


 メルは不安を胸に部屋から、城から飛び出す。

 仲間達が呼ぶ声が聞こえた……だけど、そんな事はもう気にしていられなかった。

 飛び出したメルを見て門兵は驚き、声をかけるがそんなのも聞こえても聞こえなかった……。


「エスイル!!」


 右を見て、左を見る。

 だが、少年の姿はない。

 夕暮れではなくすっかりと日の落ちた街の中をメルは駆けた。

 迷子になる、そんな事も考えられない程に彼女は必死だった。

 弟の名を呼び、叫び……言葉を待つ。

 エスイルは兎の森族(フォーレ)の血をひいている聞こえないはずがない!

 そう思いながら、メルは探した。

 必死に……夜の街をかけながら。


 どの位走っただろうか? 息が上がり、両手を膝に付き呼吸を粗くする。

 夢中だった彼女は気が付かなかった……夜中を可愛らしい少女が一人でうろついている。

 そうなれば当然、狙う者も居る。

 下卑た笑みを浮かべた男性達がメルの目の前に来たのだ。

 だが、メルは冷静ではなかった……だからこそ、彼らに声をかけてしまった。


「あの! このぐらいの男の子……見かけませんでしたか!?」


 相手もまさか声をかけられるとは思っていなかったのだろう、一瞬驚くがすぐに嫌らしい笑みを浮かべ。


「いやぁ……しらんなぁ」

「そんな事よりお嬢ちゃん可愛いね」

「――っ!」


 メルは彼らが知らないと言うとすぐに走って行こうとする。

 逃げようと思った訳ではなく、エスイルを探すためだ。

 だが、疲れている彼女はあっさりと掴まってしまい。


「どこに行くの?」

「は、離して!?」


 そこまで来てメルはようやく失態を犯したと気が付いた。

 だが、もう遅い……周りを見てみればどうやらここは人通りのない道。

 夢中で走ってきた所為でメルはこんな所に入り込んでしまったのだ。


「同じところをぐるぐる走ってたよな……」


 笑う男の言葉を聞き、メルは愕然とした。

 探していたつもりがまた迷っていたのだと……そして、此処は人通りもなく助け何か来ないと……。


「…………」


 何故あの時エスイルを外に出したのだろう?

 メルはそう思いながらがっくりと項垂れた。

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