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339話 遺伝したこと?

 謁見の申し込みを済ませたメル達。

 後はシュレムが起きるのと謁見の時間を待つだけだ。

 そんな時、エスイルは散歩に行きたいと言い出し、メルは迷ったもののそれを承諾する。

 ただし、もしもの時の事を思い彼へと見ず袋を持つように告げたのだった。

 エスイルが部屋を出て行ってから暫くし……。

 メルは扉を見つめおろおろとしていた。

 理由は簡単だ。

 エスイルが心配なのだ。

 しかし……。


「なんでついて行っちゃ駄目なの……」


 先程のやり取りの事を思い出しメルはがっくりと項垂れる。


「まぁ、エスイルにだって一人になりたい時はあるさ」

「そ、そうね?」


 二人がそう言ってくれるがメルは嫌われたのでは? と不安になった。

 なぜなら……。





「やっぱりついて行こうか?」


 メルは水袋を持って出かけようとしていたエスイルに尋ねる。

 するとエスイルは首を振り。


「僕一人で行って来る!」


 と答えた。

 しかし、いくら安全な街の中とは言え、何が起こるかは分からない。

 更にはメルはこの世界の中で一番安全な街ともいえるだろうリラーグで犯罪に巻き込まれたのだ。

 不安になり……。


「何かあったら大変だよ! だから――」


 拒否をするエスイルに喰いかかるが、少年は変わらず首を横に振るだけだ。


「大丈夫……路地裏とかには入らないよ?」

「そうじゃなくて! 何処に何があるか、どんな人が居るか分からないし」

「知らない人にはついて行かないよ?」


 メルの言葉に段々と不満を持ち始めたのだろう。

 エスイルは頬を膨らませはじめた。

 しかし、メルはそんな事は気にせずに言葉を続ける。


「ついて行かなくても危ないの! いきなり襲われる事って本当にあるんだよ!? リアス、それにライノさん、シュレムをお願い――」


 ついて行こうと決めたメルはそう言うのだが……。

 彼女の言葉を遮りエスイルは憤る。


「大丈夫だもん! メルお姉ちゃんしつこいよ!!」

「――ぅぇ!?」


 いきなり怒鳴られた事でメルは困惑し、呆然とする。

 するとエスイルはすたすたと扉の方へと向かって行った。


「僕もう子供じゃない! ちゃんと戦えるし! ご飯までには帰って来るから!!」


 そう言って部屋の外へと出て行ってしまった。






「ぅぅ~~」


 メルはあまりの衝撃で暫く放心し、仲間達もエスイルが怒鳴った事に驚いていた。

 ようやく意識を取り戻したメルが慌てて扉を開けた時にはもう遅く、エスイルの姿は何処にもなかった。


「どうしよう……絶対に嫌われた」


 幼い頃から一緒に遊んだりし、弟同然の少年エスイル。

 彼がメルに対し怒鳴る事は無かった。

 だが、今日は怒鳴られてしまったのだ……思えばメルだってそうだ。

 心配されているのに両親達に対し酷い言葉を言った事もある。


「ぅぅ……」


 だからこそ、メルはそれ以上追う事は出来なかった。

 一人になりたい時もあったからだ。


「とにかく今日は帰りを待ちましょう?」


 ライノはそうメルに伝える。

 いや、事実、今はそれしかない……探しに行くことは簡単だ。

 しかし……。


「下手に探しに行って更に機嫌を損ねたら帰ってこないかもしれないからな」


 リアスの言葉にメルは不安そうな視線で彼の方へと向く。

 すると彼は慌てたように首を振った。


「ま、待て……別に放って置くって訳じゃない」

「違うの?」


 てっきりそうだと思っていたメルは驚いたが、リアスの性格を考えれば当然だ。

 いくら町の中とは言え、危険が無いわけじゃない。

 そんな所に一人で行かせるほどリアスは愚かではないだろう。

 いや、それは当然とし、リアスの目的はエスイルを守る事だ。


「子供のわがままなんぞ、放って置けば良いと思うが、なぁ」


 だが、シバはその事情を知るはずもなく、そんな事を口にする。

 しかし、リアスは首を振り。


「いや、エスイルは大事な仲間だ。何かあったら困る」


 彼はそう言うとメルの方へと向き直る。


「俺がこっそりつけていく……今ならまだ近くに居るだろうし」

「う、うん! お願い」


 メルは彼の申し出を嬉しく思いつつ彼に頼むと彼は頷き答えた。


「ああ、任せて置け」


 そう言って扉の外へと向かって行ったリアス。

 部屋の中に残されたのはライノとシバ、そしてメルに横たわるシュレムだ。


「やれやれ、子供のわがままにつきあってやるとは、なぁ……」


 彼は呆れつつもそう言うと扉の方へと歩み始めた。


「ど、何処に行くんですか?」


 メルが訪ねると彼は歯を見せて笑う。


「何、さっきは忘れていたが、お前さん達に条件を出しててワシが家に帰ったんじゃなぁ……部屋を割り当ててもらえんか頼んでくるだけだなぁ!」


 そう言えばそうだとメルは思い、彼の心遣いに感謝しつつ。


「分かったわ、ならアタシがついて行く」


 一応の警戒はしておこう、彼はそう考え付いて行く事を申し出る。

 するとシバは笑いながら。


「逃げはせんよ、なぁ」


 そう口にすることは予測できた。

 そして、彼が勝手にどこかに行ってしまう事も無いと分かってはいた。

 だが、シバは仲間ではない……何を考えているかもこの一日で分かるはずもない。

 人を疑うのは気が引けたが、今はそれで盾を失ってしまうのだけは避けたいとメルは考えた。


「それにたかがだか天族(パラモネ)に後れを取るまで老いてはおらんぞ? なぁ!」

「……そうですか、でもライノさんはあなたに負けませんよ?」


 メルはそう言うとライノの方へと目を向ける。


「お願いします」

「分かってるわ、任せて?」


 そして、そう口にするとシバは目を細め。


「なるほど、信頼してるからこそか……良い判断だなぁ」


 メルの判断を肯定するのだった。

 たった今、エスイルに怒られたのに……とメルは思いつつベッドの方へと目を向ける。


「……あれ?」


 するとそこには光る物があり、彼女は首を傾げた。

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