337話 合流
ティエラの盾を手に入れるにはそれを持っていても認められる存在ではなくてはならない。
しかし、認める手段が分からなかったメル達に老人シバはロクという老人に会う事を告げてきた。
果たして、ロクとはメルの知るあのロクだろうか?
レライへと辿り着いたメル達。
その足で向かうのは勿論城だ。
盾はシバが気を利かせ布で隠してくれていた事により、誰にも咎められずに向かうことが出来た。
城へと入り、ライノ達が待つ部屋へと戻る。
すると二人は笑みを浮かべてメル達を迎えてくれた。
「「おかえりなさい、メルちゃん」」
二人の顔を見てメルは改めてほっとするが、すぐに表情を引き締める。
「道具は手に入ったのかしら」
「うん……でも……」
メルは頷き答えた。
しかし、その道具はただの道具ではない事を仲間達に伝える。
そして、持ち出すには試練を受けなければならない事もだ。
「でも、メルお姉ちゃんたちが手に入れたんだよね? なんでそれで駄目なの?」
エスイルは気を失っているシュレムを見ながらそう口にした。
少年の疑問は最もだ。
しかし、メルはゆっくりと首を振り……。
「シバさんと出かけてる所は門兵にも見られてる。それに私達が道具を探している事も酒場の人は知ってる」
そう、少なくともその場にいた人々は知っている事だ。
ただ、今まで出向いたところに昔から住んでいる者がシバを除いていなかったのか、それとも黙っていたのかが分からない。
しかし、彼だけというのは考えにくいだろう。
「だから、試練を受けて……私を認めさせないと」
盾を持ちだすのに王に迷惑をかけたくない。
メルはそう思い口にした。
そして、シバの方へと目を向け……。
「それで、今ロクお爺ちゃんは何処に居るの? 呪いの道具がある場所?」
以前聞いたロクの仕事を思い出しメルは尋ねる。
しかし、シバはゆっくりと首を振り……。
「いや、レライにはおらん、なぁ」
「あら? じゃぁその人は何処に居るのかしら?」
レライに居ない。
そう聞きメル達は驚いた。
彼の居場所はレライに違いないと勝手に決めていた事もある。
しかし、そうじゃないと言われ何処だろうか? と考えていると……。
「レライの近くに小さな小屋を建てて住んでいるなぁ」
「え、ええ!? だって、それじゃ……」
魔物に襲われたりと色々と危ないんじゃないか?
メルはそう思い、驚くと仲間達も同じ事を思い浮かべたんだろう、一様に驚いた顔をしていた。
それに対し、シバは豪快に笑うと……。
「驚くのも無理はない、なぁ! だが……旅の小屋みたいなものだ……少しばかりの壁はある、なぁ」
そうは聞いてもメルが知っているロクだとすれば結構な年だ。
心配になった彼女は……。
「す、すぐに行こう!?」
慌てて立ち上がった。
しかし、シバは豪快な笑い声をあげるだけで急ぐそぶりは見せない。
それどころか……。
「お前さん達は王にも何か頼んだのだろ? それは報告しなくて良いのか? なぁ」
それを聞きメルは外に向かいかけていた足を止めた。
「そ、そうだった……」
街の外に向かう。
しかし、先程とは違い仲間達を置いて行く理由はない。
それに目的である盾は手に入れたのだ。
まだ完全にメル達の物になったという訳ではないが、一応の目的は達成されており、そのありかを探してもらっていた王には何かしらの報告をしなくてはならないだろう。
「そうね、ちゃんとお礼も言わないと……」
ライノは頷きそれまで黙っていたエスイルもコクコクと首を縦に振る。
そして……。
「それにシュレムお姉ちゃんはどうするの? このまま寝ててもらうの?」
単純な疑問だったのだろう、しかし、勿論メルは首を横に振った。
最初からシュレムを置いて行く気などなかった。
だが……。
「それなら、俺がまた背負うのか? 流石に無茶だぞ」
リアスにそう指摘され、メルはハッとしつつがっくりと項垂れた。
「そ、そうだった……」
シュレムが倒れる事自体が珍しい。
しかし、今は魔力が回復するまで寝たままだ。
メルの母ユーリであればすぐに目を覚ますが、魔力の回復が遅ければ時間が掛かる。
しかし、一人だけ残す訳にはいかない。
「待つしかないよね」
ロクの元へと急ぎ彼の安否を確認したい。
そう思っていたメルだったが、今は動けない事を考えるととぼとぼと椅子の方へと戻り腰を掛けた。
そして……。
でも、ロクお爺ちゃんが外に居るのは心配だよ。
どうしたら……。
……そうだ!
メルは何かを思いついたように顔を上げると彼女の名前を呼ぶ。
「アリア! お願いがあるの!」
それは風の精霊に伝言を頼みこむという事だった。
『なに?』
メルに名前を呼ばれた精霊はまだ寝ていたのだろう眠そうな目をこすりながらメルの頭から降りてきた。
「お願い、ロクお爺ちゃんに伝言を伝えてほしいの」
そして、これまでの経緯と無事かどうかを尋ねるよう頼んだメルは窓を開け、風の精霊は笑みを浮かべながら旅立っていった。




