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331話 シュレムとナトゥーリッター

 エルフの問いかけにシュレムは迷うことなく、答え。

 精霊の道具であるナトゥーリッターを手に入れた。

 そして、メル達の元へと戻った彼女は早速その盾を使うのだった。

 新たな盾を構え、石像の拳を防いだシュレム。

 彼女の言葉にいつもなら突込みを入れるだろうメル達は……驚いていた。

 いくらあの盾から生えるツタが魔法で強力な物になっていたとしてもその衝撃までは殺せないだろう。

 だが、シュレムは平然としているのだ。


 凄い……あんな盾があるならどんな魔物だって……。


 怖くない! メルはそう考えた……しかし、世の中はそんなにうまくいかないのだ。


「………………」


 その場から動こうとしないシュレムに疑問を感じ始めたメル。


「シュレム!! 盾を手に入れたなら早く逃げるぞ!!」


 そして、リアスもそう叫ぶ。

 事実この場で石像を壊す手段はない。

 盾はシュレムにとっては武器ではあるが、本来は身を守る物だ。

 武器として扱えるのかも分からないのだ。


「…………シュレム?」


 この場では戦わない方が良い、そうリアスもメルも考えていた。

 だが、シュレムは戦う意志を見せた訳でもないのにその場から動かないのだ。

 これにはシバも疑問を感じたのだろう。


「小娘!! 声が聞こえんのか、なぁ!」


 叫ぶが、ようやく帰ってきた声は……。


「う、腕がしびれた……それに、これどうやって取るんだよ!? 動かないぞ!?」


 そう、地面へと伸びたツタ。

 それが頑丈なのは分かった……しかし、衝撃を完全に消せるわけもなく、シュレムは腕がしびれていたのだ。

 おまけに伸びたツタを戻す方法が分からず動けないでいた。


「ま、魔力を切って!! 早く!!」


 問題はまだあったそれは勿論、石像の事だ。

 いくら魔法かなにかで動いている石像だとしても同じところを永遠と殴り続けるなんて言う間抜けな真似はしなかった。

 確実にシュレムを捉えるように角度を変えたのをメルは察し、叫ぶ――。


「クソ!! 魔力ってどうやって切るんだよ!? わからねぇぞ!?」


 だが、シュレムはそれに気が付かずメルに言われた通り魔力を切ろうと試みるが、魔法を使った事が無い彼女は魔力の流れなどが分かるはずもない。

 いや、そもそも魔力を切るという事自体が難しいのだ。


「――ッ!! それから離れて!! 早くこっちに!!」


 もう間に合わない、そう判断したメルは魔力を切らせることよりも盾から離れさせることを考えた。

 しかし、シュレムは――。


「折角手に入れたのにか!? ってうぉぉぉぉ!?」


 顔を上げ叫んだ時、ようやく石像に狙われている事に気が付いた。

 慌ててその場から逃げ事なきは得たのだが、石像に盾を取られてしまった。


「おいおいおいおいおい!? 何で取れるんだよ!!」


 ツタごと引きちぎった石像に思わず突っ込みを入れるシュレム。

 しかし……石像は当然それに応える事は無い。

 折角手に入れた盾は呆気なくシュレムの手から離れていく……その事に焦る彼女は慌てて追いかけると、石像に張り付き盾へと手を伸ばす。


「シュレム!? 何をしてるの!?」


 確かに精霊の道具は必要だ。

 しかし、そんな事をしては危険が伴う、誰だってそう思うというのに予想外の行動に出たシュレムの名を呼ぶメル。

 慌てて呼び戻そうと追いかけようとするもリアスに止められてしまう。


「駄目だメル!! 俺が行く!!」


 彼はそう言うと駆け始め、シュレムの所へと急ぐ。

 その間もシュレムは石像から盾を奪い返そうとするも……石像はそれをさせないと暴れ始めた。

 当然危険が伴うその行動にひやひやとするメル。

 しかし、魔法で援護する訳にはいかない……ここは先程いた祠よりもずっと下、崩れでもしたら今度こそ逃げ出すことはできないだろう。

 洞窟に支えを生み出すためにドリアードを精霊召喚を行うにもメルにはできない事だ。

 この場でそれが出来る人間は居ない。


「お、おいお嬢ちゃん、大丈夫なのか!? なぁ!!」


 シバはメルへと尋ねるが……。


 このままじゃシュレムが!! リアスだって危ない。

 ここには水が無い、水さえあればううん、駄目だ……シレーヌの力を解放したらここが崩れちゃうかも……。


 メルは内心焦るばかりだ。

 だが、落ち着かないと駄目だと自身に言い聞かせると……深呼吸を繰り返し。

 ふと気が付いた。


 あの精霊の道具はドリアードの物。

 あのツタをはやしたことからそれは確実だよね。


 冷静さを少し取り戻した彼女は先程ツタが生えた場所を見る。

 そこには大きな穴がぽっかりと空いており……気が付いたのだ。


「シュレム!! 盾を奪い返すんじゃなくて触れて!!」


 頑丈な石像相手に魔法無しは愚策だ。

 剣等の武器の方がまいってしまうからだ。

 しかし、もし……もしもそんな頑丈な石さえも砕く何かがあったら?

 岩は水の流れに乗り徐々に削られ丸くなることがある。

 だが、もう一つ岩をも砕く強い力があるのだ。

 それは――。


「その盾の力を上手く使えば石像は壊せる!! だから奪い返すんじゃくて手に持っている今が石像を壊す好機だよ!!」


 メルは解決策を叫ぶ。

 だがそれは同時にうまくいくかも分からない策だった。

 何故なら、その盾を使うことが出来るだろうシュレムには……魔力を込める方法が分からないのだから。

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