表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
343/486

329話 石像

 祠が崩れたその場所には洞窟があった。

 そこへと入りこむメル達はあることに気が付く……。

 自然にできた洞窟ではなく人の手が加わっているのだ……。

 更に歩みを進めると石像あり、それは動き出しメル達を襲うのだった。

 メルはシュレムが無事で会った事にはほっとしつつ、彼女の持っていた盾を見てゾッとした。

 シュレムの言った通り盾はひしゃげてしまい、最早使い物にはならないだろう。

 そして、それが余程ショックだったのだろう、彼女はがっくりと項垂れている。


「シュレム……」

「これじゃ、なんのために来たのか分からないじゃないか……役立たずも良い所だ!」


 彼女はそう言うがメルはそうとは思わなかった。

 もし、盾を持って受けたのが彼女じゃなかったら……リアスや自分だったら……。

 きっと耐える事は出来ずに怪我を負っていた事だろう。

 彼女だからこそ衝撃に耐え、最悪の状況を回避した。

 メルはそう思い、ゆっくりと首を横に振った。


「あんなのに耐えるなんてシュレムじゃなきゃ無理だよ……」


 だが、同時に盾が無くなればそれまでと言う事も理解していた。

 盾を持ったシュレムだから耐えることが出来たのだ。


 何とかしないと……このままじゃシュレムが危ないよ。


 どうにかしないといけない。

 しかし、盾なんてすぐに調達できるものではない。

 だからこそシュレムの合流には時間が掛かってしまったのだ。


 でもシュレムが居ないとあの石像は……。


 メルは未だ石像の気を引いてくれているリアスの方へと目を向ける。

 彼ならば攻撃を避ける事は容易だ。

 だが、石像は彼と違い疲れを知らない……いずれ体力が尽きるのはリアスだと分かっていた。


「…………」


 そうなればメル達だけではない、ここまで案内をしてくれたシバにも被害が及ぶ。

 ならどうする? メルは考える……。

 そして、彼女は一つの考えに行きついた。


「盾……盾!!」


 それは精霊の道具を使うという物。

 あくまで賭けではある。

 だが、この扉の先に盾の形をした精霊の道具があるとすれば……。

 精霊の力を引き出すのはメルだとしても、その道具を扱いきれるのはシュレムぐらいだろう。


「盾はもう駄目になってるんだ……見てくれよ」


 だが、シュレムはその事には勿論気が付くはずがない。


「シュレム聞いて! 私達であの石像の気を引くから、だから……シュレムは扉を潜って道具を手に入れて! 運が良ければ盾だから!!」


 先程、祠に有った偽物が本物そっくりとは限らない。

 ましてや、盗まれていないとも限らない……だが、ここまで厳重なのには意味があるだろう。

 そう考えたメルはこの先に本物があるのではないか? と思いシュレムに頼んだのだ。


「おいおい、待てよ……いくらメルのお願いだからって……あの扉が開くとは限らないだろ!?」


 確かにそうだ。

 扉は開かないかもしれない……石像を倒す事で明く仕掛けなのかもしれない。

 だが……。


「それはあくまで壊さない方法でしょ?」


 メルはそう言い微笑んだ。

 それに対しシュレムは首を傾げる。

 無理もない、扉は頑丈そうで壊すのは苦労しそうだ。

 しかし……。


「いや、嫁の言う事だ! 信じる!」


 シュレムはすぐに考え直しそう口にした。

 するとメルは引きつった笑みを浮かべ……。


「えと、だから……シュレムも女の子だってば……」


 そう口にしつつ、メルは扉へと目を向けた。

 木製の扉だ壊す方法それは単純……燃やせばいいだけだ。

 もし仮に結界のようなものがあっても強力な魔法を使えば良い……しかし――。


 そうすれば……この洞窟は崩れるかもしれない。

 だけど……作りはさっきの祠よりも頑丈そうだから、耐えられるかもしれないんだ!

 だけどまずは……扉は鉄や石じゃない……魔法で守られてないなら――!!


「焔よ我が敵を焼き払え……フレイムボール!」


 メルが解き放つ魔法は炎の魔法。

 それは真っ直ぐに扉へと向かって行った。

 そして、石像が守る扉を瞬く間に焼き……それに気が付いたのか、それとも危害を加える人間を襲う様になっているのかは理解できなかったが、石像はメルへと近づいてくる。


「――!!」


 振り上げられ、振り下ろされた拳を住んでの所で交わしたメルはその瞳をシュレムの方へと向ける。


「――走って!!」


 その声に反応しシュレムは扉へと向かって走る。

 だが、扉はまだ完全には燃え切っていない、だというのに走る速度を更に上げシュレムは扉へと体当たりを繰り出した。


 すると石像は今度はシュレムを狙いに向かおうとし……。


「させるか!!」


 リアスは石像の前へと躍り出る。

 メルも続くように石像に対峙し……睨む。

 先程からリアスが戦っていたというのに石像には傷一つなかった。


「頑丈だね……」

「ああ、岩を相手にしてるんだからな……」


 メルの言葉に頷くリアスは汗を流し、疲労しているのが目に見えた。


「魔法は強力なのは使わないでくれよ」

「うん、分かってる、私だって生き埋めになりたくないよ」


 対峙する石像を前に短い会話を交わしたメル達はほぼ同時に石像へと飛び掛かる。

 洞窟の中と言う状況で強力な魔法を封じられてしまった今、メルに石像を壊す手段はない。

 ましてや石像は扉の中の方が気になる様だ、そちらへと近づく一方でメル達にはまるで興味などないかのようだった。


「何で……!!」


 寧ろ、攻撃されても傷一つ付かないから放って置いても害はないという事だろうか?

 メルは歯がゆさを感じ……思わず魔力をアクアリムに注ごうとするが、それを押しとめ刃を振り下ろす。

 しかし、当たりには甲高い音を響かせるだけだ。


 やっぱり効いてない……!

 魔法が使えれば――。


 そう思うも現状では崩壊の恐れもある、これ以上の魔法は使えないだろう。

 だからこそ、シュレムが早く出来てくれる事を祈るばかりだった。

 彼女さえ出てくることが出来れば、例え石像を倒せなくとも逃げ出せばいいだけなのだから……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ