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328話 崩れた祠

 祠を何とか脱出したメル達。

 しかし、疑問は残った。

 道具は確かに偽物だった……。

 しかし、人の手で盗んだにしては手が込み過ぎている。

 そう考えるメルの耳にシュレムの声が響くのだった。

 シュレムが指を向けた先。

 そこにあったのはぽっかりと空いた穴。

 それも、奥には横穴が続いているようにも見える。


「道があるぞ!」


 シュレムはそこへと指を向け叫び声をあげる。

 誰もがその道を目にはしていたが……。


「……行ってみよう」


 シュレムの言おうとしている事に賛同したのはメルだった。


「まだツタが襲ってくるかもしれんのにか!? なぁ!?」


 シバは慣れない空中に悪戦苦闘しながらも叫び声をあげる。

 しかし、メルはそんな彼を支えつつ頷いた。


「だって、この先に本当の道具があるかもしれない。私達は……皆で生き延びるために此処に来たんだ」


 メルは決意を口にするとリアスの方へと向く。

 すると彼も頷き……。


「出来ればエスイルやライノにも居て欲しいが……これじゃ誰でも入れるからな、急ごう」


 洞窟に入る事には賛成の様だ。

 だが、一人……シバは納得いかないようで……。

 元々道案内として頼んでいた彼にこれ以上無理をさせるのも酷だと考えたのだろう。


「シバさんは此処から街に帰れる? それなら無理しなくて……」


 とメルは彼に告げる。

 だが、その言葉は失礼と言っていい物だった。

 シバは目を見開くとメルの方へとその瞳を向け睨む。


「たとえ老いぼれても子供に心配される筋合いはない、なぁ!!」

「ひゃ!?」


 メルは驚き思わず彼を支える手を離し耳を塞ぐ。

 するとシバは慣れない動きで地上へと降りて行き……先に穴の中へと入ってしまった。


「あ、ちょ……ちょっと待ってください!!」


 そんな彼の後をメルは慌てて追いかける。

 リアス達もメル達を追うべく穴の中へと入り込むのだった。


 中は少し進むと真っ暗になっていた。

 洞窟の中なのだ……同然だ。

 メルはそう思い、一つの魔法を唱える。


「我が行く道を照らせ、ルクス」


 生まれた光の球は当たりを照らし、メルはシバを追いかける。


「不思議な娘だなぁ」


 すると彼はそんな事を口にした。

 メルが何の事だろうか? と疑問に思っていると彼は振り返り……。


「何故魔法を使える? 森族(フォーレ)はエルフの子、魔族(ヒューマ)と違い魔力が無いはずだ、なぁ」


 そう、メルの見た目は何処からどう見ても森族(フォーレ)であり、魔法が使えないはずだ。

 しかし、彼の前で魔法を使った事で疑問に思われたのだろう……。


「私はハーフなの、どうも魔族(ヒューマ)に近いみたい……見た目以外は……」


 そう口にした後、前へと出たメルはふと疑問を浮かべた。


「ここって自然に出来た洞窟じゃない……?」

「ああ、明らかに人の手が加わっているなぁ!」


 自然の洞窟にしては綺麗すぎる。

 綺麗に掘り進められたようにしか見えず、今歩いている場所も道が綺麗に作られている。


「メル先に行くな!」


 するとリアス達も追いつき……。


「おい爺! オレの嫁に何してやがる!!」

「いや、そうじゃなくて、何があるか分からないだろ」


 リアスは呆れながらそう言うと、前と目を向けた。

 洞窟の先は暗くまだ何も見えない。


「魔物の気配はないみたいだな」

「うん、特に変な音も聞こえないよ」


 リアスの言葉にメルはそう答えた。

 事実何か怪しい音が聞こえたという事は無かったのだ。


「それどころか……」


 何か空気が違う……メルはそう思った。

 嫌な空気ではない……洞窟の中、それも地下だというのにまるで森の中で呼吸をしているような気もする。


「不思議……」


 メルはそう言うとリアス達と共に歩き始める。

 前に進むと洞窟はどんどん人の手が加わった事がはっきりと分かる物へと変わっていく……。


「今度は石が積み上げられてる?」

「どういうことだ……一体ここは何だというんだ……なぁ!」


 シバの事は場洞窟の中へ反響し……だが、それに応えられるものは誰も居なかった。


「おい、前! なんか扉があるぞ」


 シュレムは扉がある事に気が付きそれへと近づく。

 横には一つの石像があり、精巧な作りのそれは今にも動き出しそうだ……とメルはその石像に感心を抱き心を奪われていた。

 だからこそ、気が付けたのだ。


「シュレム! 駄目! 石像が動く!!」


 メルの叫びは石像が動くよりも早く届き、シュレムは盾を構え石像の拳を受ける。


「くっ!!」


 だが、彼女は盾ごと壁へと吹き飛ばされてしまう。


「――かっはっ!?」

「シュレム!?」


 相手は石像ではあったが、その攻撃にシュレムが耐えられるとばかり思っていたメルは慌てて彼女の元へと駆けつける。


「くそ!!」


 リアスは石像がメルを狙い始めた事に気が付き、武器を構え前へと躍り出た。

 そのお陰もあり、メルはシュレムの元へと駆けつけることが出来た。


「シュレム、シュレム!! 大丈夫!?」

「な…………な、んとかな……」


 無事である事に気が付いたメルはほっとした。

 怪我もない様だ……。


「思ったより、強くない……だけど……盾がいかれちまった」


 折角新調したばかりの盾は既に使い物にならなくなっていた。

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