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325話 偽物?

 ついに祠へとたどり着き、そして目的のご神体を見つけた。

 しかし、近づこうが何も起こらない。

 更には動かされた跡があり、それが偽物である可能性が高くなったのだった。

 それを見てシバはメル達を怪しむような鋭い瞳を向けた。


「ツタを切るだけなら誰だってできるなぁ? それに動かされた後だって偽装しようと思えば出来る、なぁ!!」

「確かに、爺さんの言ってる通りだな」


 シュレムは珍しくメルの言葉に頷く事は無く、シバの言葉に同意する。

 メルの気にしている場所を見てみるが偽装しようと思えば誰でもできるだろう。

 だが、メルは静かに首を振った。


「偽装する意味がある? だって、これはご神体なんでしょ? 昔からずっと信仰してる人は手を出さないと思うの」

「ああ、そうだな……ここって他に知っている者は居るのか?」


 リアスはメルの意見に頷くとシバへと尋ねる。

 するとシバは少し考えるそぶりを見せながらも警戒を怠らず……。


「いいや、此処を知っているのは、戦争前からの住人だけだ……なぁ!」


 メルはその言葉を聞き頷くと……。


「それなら尚更、こんな崩れかけた場所に誰かが入り込むことはそうそうないと思うの、なら……」


 静かに辺りを見回すメル。

 誰も居ない事は精霊達を通し分かってはいた。

 ただ、もしご神体を偽装したのであればそれは此処にそう言った道具がある事を知っているものだけだ。

 そして、恐らくそれはレライに住む者達じゃないだろう。

 わざわざ偽装する理由。


「エルフ……エルフがここに私達を誘い込むために道具を取り換えた」

「……何を言っているんだ、なぁ! エルフ様がそんな事をするはずないだろう! なぁ!!」


 その怒鳴り声は祠の中へと響き渡る。

 だが、メルはそうとしか思えないのだ。

 都合よすぎた……そう、あの夜エルフが現れ、メルにフォーグへ行けと言ったエルフ。

 あれが敵だとはメルは思えない。

 しかし、分かることが一つだけあった。


「エルフは恐らく別々の感情を持ちつつも記憶を共有してるのかもしれない……」


 あのエルフからは恐怖などは感じなかった。

 感じたのは母達に似た優しさ……だから信じられる……いや、信じたい。

 だからこそ、メルは何故ここに本物が無いのかを考えた。

 そう、此処に道具がある事を知り、尚且つもう一人のエルフさえも敵だと錯覚させようとさせる。

 そして、メルがその情報を得た事を知る人物。

 更にはツタを急に成長させる力を持つであろう存在。

 そう……。


「私達を襲ったエルフ……世界を滅ぼそうとしている方のエルフが、ここに来たんだ!」

「……だけど、メル……」


 リアスの訴えるような視線にメルは首を横に振った。

 彼の言いたい事は理解してたからだ。


「精霊は嘘をつかない、それはエルフだろうと同じだと思うよ……」


 断言できない理由は自身でも分からなかった。

 だが、それでもメルは信じようと思い――。


「だから、きっとこの道具は……」


 そう言ってメルは精霊の道具へと手を伸ばす。

 すると……ツタは急に伸び、メルの腕へと絡みつく。


「な!? 何が起きているんだ、なぁ!!」

「真っ赤な偽物だよ……」


 しかし、罠と警戒していたメルはそう告げるとリアスの方へと目を向ける。

 リアスはメルに問いかけてはいたものの万が一の事を考えていたのだろう……すでに刃を見せたナウラメギルによってそのツタはあっけなく断ち切られた。


「メメメメメメメル!? 大丈夫か?」


 まさかツタが動くとは思っていなかったシュレムは慌ててメルの元へと駆け寄る。


「大丈夫だよ」


 メルは笑顔で答えるが、すぐに表情を変え……台座を睨む。


 もう一人のエルフの仕業だとしたら、本当に精霊の道具が必要って事だよね。

 でも、取られてしまったなら望みは……。


 メルは盾を睨みながら大きなため息をつく……。


 もうエルフに言われた通り、道具を手に入れる事は出来ない。

 そう思ったからだ。

 しかし――。


「ご神体が偽物なんてありえん、なぁ!」


 シバはそう言うとご神体と呼ぶ盾をまじまじと見始める。


「ワシはずっとこれを見てきたんだ、見間違えるはずがない、なぁ!」

「……え?」

「メル、爺さんの言う事を信じてみよう」


 リアスはそう言うと剣を握りツタを切り始めた。

 メルはというと黙ってその様子を見守る。

 確かに偽物と決めつけるにはまだ早い。

 もしかしたら動かした細工をした……という事も無くはないだろう。


 でも何のためにそんな面倒な事……。


 メルは顎に手を添え思考する。


 もしかして、盗られたと思わせて諦めさせるため? ううん、それなら最初から取ってた方がエルフにとっては都合が良いはず。

 なのにわざわざそんな事をするとは思えないよ。

 それともこれが元々の試練? にしてはあのツタは仲間がいれば何とかなる物だよ?

 特に意志を示すとかは関係ない。


 そうこう考えるうちにもツタは見る見るうちに減っていき……。


「っと、これで最後だな」


 リアスは最後のツタを切ると盾へと手を伸ばす。

 しかし、その伸ばした腕をシバに掴まれてしまう。


「なんだ?」

「ワシが取る……万が一偽物だとしてもご神体を他人に触らせる訳にはいかない、なぁ!」


 すでに道具を手に入れようとしている事を知られてしまったからだろう、より一層警戒するシバによりリアスは台座から遠ざけられてしまう。

 そして、メル達が来ない事を鋭い瞳で確認したシバはゆっくりと盾へと手を伸ばしたのだった。

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