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私の夢は冒険者だったのにっ!!  作者: ウニア・キサラギ
14章 お告げを聞く者
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311話 シスター

 孤児院へとたどり着いたメル達は子供たちと話を市、管理者に会いたいと告げた。

 すると出てきたのは若い女性だ。

 彼女は出てくるなりとても「シスター」という呼び名に似つかわしくない言葉を使い始めたのだった。

 しかし、彼女は何かを勘違いしたみたいで言葉を直すのだが……。

「さぁさぁ、どうぞ? 立ち話もなんですから」


 そう言ってボロ屋に案内をしはじめたシスター。

 どうやらメルの言葉を信じてくれたようだ。


「アタシはあのシスターって人が嫌いだわ……」


 怒ってはいるものの口調が戻っているライノをなだめつつメル達はシスターの後に続く。


「それにしても、ゴブリンって名前を聞いても子供達は慌てなかったな?」

「だってゴブリンだろ?」


 リアスの疑問にシュレムはそう答える。

 確かにゴブリンとは最弱の魔物……確かに怯える必要はない、そう口にする者は多いだろう。

 しかし、この世に絶対に勝てる相手と言うのは居ない。

 油断をすればいつか足元をすくわれる。

 そうして命を落とした冒険者をメルは知っている。

 自身の生まれた龍に抱かれた太陽というリラーグにおいて、いやメルン大陸一の酒場でも決して無いとはいかなかったのだから。


「……確かになんでみんな慌てなかったんだろう? だってゴブリンは怖い魔物ってお父さんから聞いたよ?」

「……ふふふ、確かにゴブリンと言えど侮ったらいけません……ちゃんと、物言わぬ肉塊にしなければ安全を確保したとはいえませんからね」

「そ、そう……ですね?」


 メルは綺麗で美しいシスターからその言葉が出てきた事に再び笑顔を引きつらせる。

 言っている事は何となくだが分かる。

 数日前、メル達も実際にゴブリンと戦い、その命を奪ったからだ。


 とは言っても……言い方って大事だと思うな……。

 なんかすごく怖く感じるよ……この人。


 メルは乾いた笑いと共にそう考えつつもあまりにも怖いと思ってしまったからだろうかその耳は垂れ下がり、尻尾は丸まっていく。


「さ、そこに座って?」


 そして、シスターはそんな事を全く気にもせずメル達に座るように勧めた。

 メル達は恐る恐ると椅子に座るのだが、その椅子もボロボロで座るときしむ音が聞こえる。


「それで、ゴブリンでしたっけ?」

「は、はい! このままだともしかしたら……」


 話を切り出すシスターにメルは頷き、話し始める。

 するとシスターはうんうんと頷き、先程外で出会った子供達を手招きで寄せる。


「アーチ、エレリー……二人共お客さんにお茶を淹れてくれますか?」

「「うん!」」


 二人の子供は元気よく頷き、奥の方へと走っていく……。

 そんな様子を見守りながら、メルの方へと向き直るシスター。


「すみません、お茶の事を忘れておりましたわ」

「い、いえ……それよりもゴブリンが……」


 メルは慌てて話を戻そうと切り出すが、シスターは微笑み。


「それでしたら、もう始末しましたわ。今は大きい子達が掃除をしているはずです」

「……ちょっと待て、ゴブリンって一匹二匹で来るわけじゃないぞ!? それを……」

「はい、子供達にちょっかいをかけるのであれば容赦はしません、そうじゃなくても魔物は倒すべき、そうでしょう?」


 リアスの言葉を遮り、平然とそう言ってのけるシスター。

 その張り付いた様な笑顔にメル達は何とも言えない恐怖を感じる。


「子供を守っている事には文句はないし、自由だけど死体を処理させてるですって? アタシから言わせれば教育者には向かないわね、貴女……」


 ただ一人、ライノはシスターを睨みそう告げる。

 するとシスターは細い目を薄く開け……。


「自分でも理解していますわ……ですが、私がやらなかったらあの子達は何処でどうやって生活をすればいいというんですか? 誰一人田畑の作り方も、火の起こし方も雨風を防ぐ家の建て方も知りませんでした。そこら辺で野垂れ死ぬならまだまし、生きたまま魔物に喰われる可能性もありますが? 万が一それで生き残ってしまったら? いずれ死に至るでしょうが苦しみますね」

「…………」


 彼女の言っている事は本当なのだろう。

 そして、彼女が子供達を大事に思っている事も……だからこそ、此処で孤児院を作ったのだろう。


「街の者達に迫害された子はどうなりますか? 奴隷として働かせられる。それは肉体的にも精神的にも殺されてしまうのですよ?」

「…………それは」


 メルにはその言葉に対する返答が無かった。

 彼女が捕まったあの日……もし、そのまま助けが来なかったら? 相手の懐にゼッキという冒険者が入り込んでいなかったら?

 迫害された訳ではなくともメルは……奴隷になっていただろう。


「もしかして、貴方達は王かなにかの使いで話とは此処に孤児院を立てるな……という事でしょうか? 今まで訪れたどこの国でも勝手に建てるなここは国の土地だ、と言われましたからね」


 ため息交じりの声は何か恐ろしい物があり……メルは恐る恐るシスターの瞳を見る。

 そこにはメル達を睨む女性の姿があり……。


「その事に関しては王様……シュターク王は何も言ってませんでした。ちゃんと申し出れば支援も受けられるはずです」


 少しでも誤解を解かなければ精霊の道具に関して聞けることが無いそう感じたメル。

 それに続くようにリアスもまた……。


「追い出されるような事はされないはずだ……ただ、あの王様のことだ……もう少し街に近づくか、街の中に作れとは言われる可能性はある。此処じゃ兵を派遣するのにも時間が掛かるからな」


 その言葉を聞き、少しは安心したのだろうか? シスターの雰囲気が少しだけ柔らかくなるのを感じた。


「口ではどうとでも言えますからね……」


 だが、本当に信じている訳ではなさそうだ。

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