表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私の夢は冒険者だったのにっ!!  作者: ウニア・キサラギ
14章 お告げを聞く者
318/486

305話 向かう先には

 王からもらった肥やしを持ち孤児院へと向かうメル達。

 彼女たちの目的は精霊の道具を集めることだ……。

 しかし、それを手に入れてしまえばどうなるかは分からない。

 不安を覚えつつ、メル達は足を動かすのだった。

「うわぁ……」


 メルは目の前の光景に思わず声をもらす。

 彼女だけではない、他の仲間達も同じような声を出したい気持ちだった。

 何故なら目の前には……。


「ゴブリンの群れか……」


 そう、彼女達の目の前にはゴブリンの群れ……。

 ゴブリン自体は強い魔物と言う訳ではない。

 しかし、知能が高くまるで軍の様な魔物達は厄介だと聞いていた。

 賢く人間との戦いを避けるはずの魔物は狩りの途中なのだろうか?

 手には武器を持ち、何やら会話をしている。


「どうする? 森に逃げるか?」

「逃げる? いやまぁ……面倒そうだけどよ」


 リアスとシュレムは戦いを避けるのには異論はない様だ。

 だが、森に入れば当然他の魔物も居るだろう。


「……ううん、倒そう?」


 だがメルは目の前の魔物を睨み告げた。

 その言葉に怪訝な顔を浮かべたのはライノだ。


「ゴブリンと言えど厄介な魔物なのよ? 数もいるようだしここは……」

「駄目だよ、……あの数、それに武器防具、下手したら人を襲うよ。私たちがここで倒さないと!」


 そう、いくら弱い魔物と言え、武器を持っているのには理由があるだろう。

 何より賢いゴブリンは勝てない相手には手を出さない。

 しかし、相手がそれほど脅威と感じなかったら……?

 当然攻撃を仕掛けてくる可能性はある。

 ましてやフォーグ地方は未だに作物が育たない場所が数多くある。

 他の魔物もいて危険だろうにこの場所に居るのはもしかしたら食料を求めてかもしれない。

 魔物といえど成長はするし、学習もする……そうなれば、街などを襲うのは時間の問題だ。


 メルはその可能性を考え、仲間達に討伐を告げた。


「…………確かに、そう言われれば近いわね……」

「うん、倒さなくても、知らせた方が良いかもしれないよね?」


 ライノとエスイルはメルの言葉に頷き。


「メルが言うならオレは従うぜ!」


 シュレムは胸を張り、そう言うと盾を構えた。

 しかし、ただ一人……。


「いや、避けた方が無難だ……アリアに連絡を頼んで別の冒険者に討伐してもらう方が良い、俺達はあくまで……」


 リアスはメルの案を否定する。

 しかしメルは……。


「それじゃ間に合わないかもしれないよ!」


 メルはそう小さな声で叫ぶ。


 だって私達の足跡は残ってる。

 ここで戦いを避けてもゴブリンなら最悪の状況を考えてもおかしくない。

 そうなればきっと隠れてやり過ごされちゃう……まだ、街を襲うとは決まってないけどそれでも……!


「今倒した方が良いと思うの」

「でも、メルお姉ちゃん流石に数が……」


 だが、エスイルも戦う事を渋っている。

 それもそうだろう……ライノとリアス以外。

 つまり、シュレムとエスイルの二人が戦う事を避けようとしているには理由があるのだ。

 ゴブリンと言う魔物は大して怖い魔物ではない。

 道具を使う知識がある反面、弱く……今までもずっと人間との戦いを避けてきた。

 襲われるなどの事があったとしても食料をほんの少し盗まれるなどの事ぐらいだ。

 だが、集団となれば違う。

 人が統率を組むのと同じようにゴブリンもまた統率を取る事があるのだ。

 そうなればいくら弱い魔物でも油断はできない。

 事実、リラーグはその軍の様なゴブリン達に襲われかけた事がある。


 その事は街の人から何度も聞かされたことでもあり、だからこそ二人……いや、メルを含めた三人はゴブリンに対し、警戒をしていた。

 だが、メルがそれでも倒そうという理由には別の理由もあったのだ。


「ここからならレライが一番近いよ? でも、多分そこにはいかない……」


 そう、メルが一番心配していたのはレライではなかった。

 彼女が危惧していたのは……。


「孤児院が狙いだと思う」

「……え?」


 メルの言葉にリアスは呆けた声を出す。


「いや、孤児院ってここからじゃ、離れてるだろ? それに移動するそぶりもない」

「多分あれは陽動の為なんじゃないかな? 簡単に見つけられたし、目立ちすぎゴブリンがそんな失敗をするとは思えないよ! きっと他のゴブリンたちが孤児院に向かってる……だって考えてみて? 街を襲うより、孤児院を襲った方がゴブリンにとってずっと安全だよ?」


 メルはそう考えたのだ。

 孤児院と言うからには子供が多いのだろう……大人も勿論居るだろうが、戦えるなんて言う可能性は低い。

 街の外で経営している事を考えるとそれなりの実力はあるのかもしれないが、実際に見た訳じゃないので何とも言えない。


「……じゃぁ……」

「だから、あのゴブリンを倒して急いで向かおう!」


 メルはそう言うと剣を引き抜き、仲間達の答えを待つ。


「……分かったわ、ただ無茶は駄目よ?」


 彼女の真剣な顔と思いは仲間達に伝わったのだろう。

 ライノを始めとし、首を縦に振る。


「皆!」


 メルは笑みを浮かべ再び魔物の方へと目を向けると……。


「行こう!」


 と、声をかけ走り始める。

 同時に飛び出したのはリアスとシュレムだ。

 二人はそれぞれの武器を構え、ゴブリン達の方へと走っていく……。


「あの数だ……何か考えがあるのか?」


 リアスは愚直なまでに魔物に向かっていくメルに対し、質問をすると……メルは彼の方へと視線を向け、笑みを浮かべた。


「大丈夫、きっとなんとかするから!」


 そう言うとアクアリムへと魔力を通わせ水の刃をゴブリン達に向け放つ……魔物達はそれに気が付き慌てて避け、何やら騒ぎ立てると一斉にメル達の方へと向かって来るのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ