302話 合流
孤児院の情報を求めるメル達。
しかし、得られた情報は大して変わりがなかった。
一旦メル達はシュレムの様子を確かめるためにナタリアにリラーグへと戻ってもらうことにしたのだが?
港へと辿り着いたメル達。
彼女達は港で声をかけた兵士に頼み転移陣の元までやって来た。
「これがその転移陣か……」
リアスは出来あがっている魔法陣を見つめ感心する。
「簡単な物ではあるがな……本来であれば魔力を持った者が門を開ける。しかしこれはおそらく私にしか開けん……」
「なんか、そっちの方が難しそうだよ?」
ナタリアの説明を聞きエスイルはそう感想を漏らす。
しかし、メルは首を振り……。
「それが、そうじゃないの……これは皆が使えるように調整されてないんだよ。だからナタリアにしか動かせない」
「そういう事だ、全員が使えるようにすればより大がかりになる。まぁ似たような魔力だと開ける可能性はあるが、そんなのは差異だ今回の目的はシュレムがこちらに来るためだしな、そこまで大掛かりな物は要らない」
それに……とナタリアは付け足すと。
「簡単に開けるようしてしまっては国への出入りが自由になってしまうからな、管理がまた大変になってしまうだろう?」
「そうね、そうなってしまえば事故や事件なんかも増えて行ってしまうわ……」
ライノは頷き、頬に手を当てると魔法陣を見つめる。
「それでナタリア、これ……」
「ああ、分かっている、今動かそう……ではまたな、メル」
「うん、ありがとうナタリア」
ナタリアはそう呟くと笑みを浮かべ、魔法陣へと足を踏み入れる。
そして――。
「我望む、安全な旅路を……その光によって示さん事を……ゲート」
魔法を唱えると、魔法陣は光を帯びやがて辺りが眩い光で包み込まれる。
思わず目を瞑るメル達はその光が収まると瞼を持ち上げるが……そこにはもうすでにナタリアの姿は無かった。
「…………」
ナタリアの事だすぐにシュレムを連れてくる。
それか、まだ無理であれば本人が帰って来るだろう……。
メル達はその場で待ち……暫くすると、魔法陣は再び眩い光を発し。
「っ!?」
前触れもなく訪れた変化にメル達は目を覆う。
ようやく光が収まり、薄く瞼を開くとそこには……。
「ふ、やっとメルと合流が出来たな! 嫁を待たせるなんて悪い事をした」
胸を張り、どこかカッコつけた様子の少女は真新しい盾を背負っている。
「……いや、シュレムお姉ちゃんも女の子だからね」
そして、エスイルのお馴染みとなった突込みを聞くなり彼女は頷き……。
「分ってる、分かっているさ……メルを守るのはオレだけだ」
「……いや、分かってないだろ……」
呆れ声のリアスは腕を組み、ため息をつく……もはや見慣れた光景がそこには広がっていた。
しかし、それはたった数日見れなかっただけで、懐かしくも感じ……。
メルはシュレムの方へと歩み寄ると嬉しそうに尻尾を揺らす。
そして、笑みを浮かべ……。
「おかえり、シュレム」
と告げる。
するとシュレムも笑みを浮かべ少し顔を赤らめると……。
「へへへ……ただいま、メル!」
言葉を返し、歯をむき出して笑う。
その姿はメル達にとっては頼りになる姿だ……。
「それがシュレムお姉ちゃんの新しい武器?」
「ん? おお!」
エスイルはわくわくしているような声で尋ねる。
するとシュレムは親指で盾を示し……。
「そうだ! って言っても……トーナの魔物の骨は加工できなかったらしくてな……それに急ごしらえで十分な材料が無かったって言ってたからな! 前のよりは良くない! らしい!」
なんとも中途半端な言葉に一行は思わず不安そうに顔を歪める。
そんな仲間達の様子を見てからか、シュレムは慌てた様に……。
「で、でもお袋も師匠も言ってたぞ! 武器がって理由を付けてたら誰も護れないって! だから、オレは――急いできたんだぞ!?」
きっと恐らく、意味は同じでももう少し深みのある言葉だったのだろうそれは……シュレムが言うとどこかおかしく……。
メルは思わずくすりと笑ってしまう。
「わ、笑うなよ……メル……」
シュレムは笑われた事で少し不機嫌になるが、怒る様子はなく……ただじっと何かを待っていた。
「ごめんね……シュレム……でも、ありがとう……シュレムが来てくれて助かったよ」
メルは素直にそう告げるとシュレムは嬉しそうに笑い。
「ああ! 任せておきな! オレが来たからには誰にも負けないぞ!!」
「まぁ……確かに、シュレムが居てくれると安心感はあるな」
リアスもまた笑い。
メル達は再会を喜ぶ……。
そんな中、メルはふと魔法陣の方へと目を向け……光を失っていくそれに……。
「ありがとう、ナタリア」
魔法陣を作ってくれた祖母に対し感謝を告げた。
メル達は再会の後、すぐに街の中……城の方へと向かう……。
目的は勿論、王へと旅立つことを告げるためだ。
もしも本当に精霊の道具があったとしてだが……それを失った後の事も気にはなった。
だが、そのまま何もしないという訳にはいかない。
メルは自分の意思が揺るがない事を感じ、ほっとしつつも焦る気持ちがある事に気が付いた。
それもそうだろう、その幼い身体には世界の命運がかかっているのだ。
だが、メルは逃げる事はしない……自身の意志で立ち向かう事を決めたのだから……。




