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私の夢は冒険者だったのにっ!!  作者: ウニア・キサラギ
14章 お告げを聞く者
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296話 レライの王

 ナタリアと別れたメル達。

 彼女たちは兵士の案内の元、フォーグの城へと向かう。

 果たして王とはどんな人なのだろうか?


 普段なら謁見の手続きが必要なのだろうが、メル達は兵士に連れられ大きな部屋へと案内をされる。


「ただいま謁見中です、暫くお待ちください」


 兵士は頭を下げ、そうメル達に告げるとその部屋から去って行ってしまった。


「なんか、凄いな……」


 メルが高級そうなソファーへと腰を掛けるとリアスはそう呟いた。

 声の方に気を取られていたからだろう、身体が沈む感覚にメルは焦り小さな悲鳴を上げる。

 しかし、それも心地よい座り心地に気が付くと止まり……。


「うわぁ……」


 今度は感心したような声が漏れた。


「え、えっとなにが凄いの?」


 そしてすぐにリアスへと尋ねると彼は柔らかい笑みを浮かべながら。


「ユーリさん達の事だよ、領主や王への謁見に割り込みなんてそうそうできる事じゃない。普通は待つし、国によっては何日も待つ」

「そうなの? だってメルお姉ちゃんのママ達だし……」


 エスイルは信じられないと言った風に驚くが、メル自身よくよく考えてみれば凄いと感じた。

 リアスの言った通り、普通であれば謁見まで何日も待つ者も居るはずだ。

 だが、メル達は案内されるまま此処へと来たが、何日も待てとは言われていない。

 その上、先程の兵士の口調からはもう少し待てば謁見が出来るはずだ。


「…………」


 そう考えるとメルの脳裏に過ぎったのは旅立ちの前、シルトへと謁見した時の事だ。

 その時に言われた事を思い出し、その表情は固まる。

 するとライノは……。


「どうしたの? メルちゃん……」


 心配そうにメルの顔を覗き込む。

 メルは慌てて両手を胸の前へと持っていきぱたぱたと振り……。


「な、何でもないよ!」


 と彼へ伝える。

 だが……。


 また、特別扱いだ。

 今回は待たなくて済むから嬉しいし、ありがたいけど……。

 本当に良いのかな? このまま冒険者になってもきっと私はずっと特別扱いをされる。

 だって……龍に抱かれる太陽の冒険者でママ達の子供だから……。


 そう考えていると、やはりメルの様子が気になったのだろうシレーヌとアリアの二人はメルの目の前へと現れ……。

 メルは彼女達へと微笑むと……。


「大丈夫だよ」


 と答えた。

 だが、そんなメルの言葉……大丈夫には仲間達も精霊達も声をそろえて同じ事を言うのだった。


「『無理をしない事……』」


 呆れた様な声で皆からそう言われたメルは思わずたじろぎ……。


「ぅぅ……何も皆で言う事無いのに……」


 と訴え、がくりと項垂れる。




 メル達が部屋で待たされてから暫くし……扉がノックされた。


「あ、はい!」


 メルは慌てて扉の方へと向かう。

 すると、彼女が手を伸ばすまでもなく扉は空き部屋に案内してくれた兵士が顔を見せる。


「お待たせ致しました」


 彼はそう言うと扉の中へと誰かを誘う。

 その人はきらびやかな衣装を身に着け、立派な王冠を頭へと乗せていた。

 しかし、決して下品な見た目ではなく衣装に負けないぐらいの気品がその身からあふれているように見える。

 そう、彼こそがフォーグ地方の王国レライの王……。

 彼はメル達へと視線を順番に向ける。


「シュ、シュターク王……様、きょ、今日はその――」


 メルは思わず緊張し、言葉につっかえながら話し始める。

 その声を聴き、王のその瞳がメルへと止まると……。


「君か……」


 笑みを浮かべ、一歩二歩と歩み寄る。


「え、えっと……」

「君の母達には世話になった……それも、私の命まで救ってもらった……ぜひそのご息女である君にも会いたいと思っていたよ」


 彼はそう言うと近場の椅子へと座り、手でソファーに座るように促す。

 メルは先程までは座ってたとはいえ、王より良い所に座るのはどうだろうと躊躇するのだが……。


「私に恩人の娘だ……遠慮せずにそこに座って欲しい」

「あ、ありがとうございます」


 メルは礼を告げ、ソファーへと座る。

 仲間達も傍へと座り……満足したような様子の王は頷き。


「それで君達はどうして遥々フォーグへ?」

「それなんですが……」


 メルは王へとこれまであった事を伝える。

 精霊を助ける旅へと出ていた事……。

 精霊達の変化、エルフの対立。

 世界崩壊と世界を救う方法……。

 彼女の言葉を瞳を瞑り静かに聞いていた王は……。


「それで、この大陸に精霊の力を介抱する何かがあるって聞いて……」


 メルのその言葉に王はゆっくりと瞼を持ち上げ……。


「ふむ……なるほど、精霊の力を解放する何かか……初めて聞くが、もしかしたら……」


 王は何か心当たりがあるのだろうか? 考えるそぶりを見せメル達はごくりと喉を鳴らす。

 まさか、レライについてすぐに情報が得られるとは思わなかったからだ。


「もしかしたらではあるが……この頃、よく食物が育つ場所があってな。エルフの加護だと私達は思っていたのだが……」

「本当ですか!?」


 メルは思わず立ち上がり、王の目を見る。

 食物という事は恐らくドリアードが関係しているはずだ。

 なら、そこに行けばドリアードを司る武器があるのではないか? と思ったのだ。


「その場所を詳しく教えてくれないか?」

「でも、良いのかしら? もし武器を取ったりしたら、加護が無くなってしまうんじゃない?」


 食いつくリアスの横でライノはそう呟く。


「あ……」


 するとメルもまた勢いを無くし……。

 そこに行くことを少しためらってしまった。

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