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私の夢は冒険者だったのにっ!!  作者: ウニア・キサラギ
13章 精霊達とメル
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290話 フィーナへの報告

 メル達はシアの後をついていき龍に抱かれる太陽へと向かう。 

 しかし、怒られないことを良しとしたのか、シュレムは逃げようとし……。

 彼女は母からは逃げれないことを知った。

 そして、酒場へとたどり着いた一行……メルは母フィーナと再会するのだった。

「それで、エルフにそうお告げを貰ったの」


 メルはエルフの事を言うか迷ったが、手を貸してくれたエルフ。

 そして敵対した方のエルフ。

 どちらの事も包み隠さずに母へと告げる。


「そんな事があったの?」


 母の言葉に頷くメル。

 ここに来たらいくら隠しても無駄だ……そう判断したのだ。

 何故ならこの街にはナタリアが居る。

 彼女にかかれば嘘などはすぐにばれてしまう、隠していたとしても心の中で呟く駄目で知られてしまうのだ。

 そうなってしまえばきっと母ユーリにも伝えられてしまうだろう。

 彼女はエルフの使者とも呼ばれる女性ではあるが、エルフには特別な感情があった。

 そう……大事な人を救ってくれた。

 助けてくれたという恩が……。


「これはユーリママには」


 言わないで……メルはそう言葉を続けようとした。

 しかし、フィーナは首を振る。


「フィーナママ?」

「駄目だよ……きっとナタリアはユーリに伝えるし、私だってメルが襲われたのに黙ってられない」


 そう、祖母ナタリアならば言葉にせずとも考えていることを読み取ってしまうだろう。

 メルはその事実を知っていたからこそがっくりとうなだれる。

 するとそっと頭にのせられた感覚がした、その手は暖かく……思わず目を細めてしまいそうになる。

 しかし、メルは首を横に振ると……。


「だって! エルフが魔力をくれなかったらユーリママは魔法を使えなかったんでしょ!?」


 エルフは母の恩人なのに! そう伝えようとした。

 しかし……。


「私の恩人はユーリだよ? いくらエルフに魔力を貰ったってユーリじゃなきゃ……ソティルの力を使えるユーリじゃなきゃ助からなかったんだからね?」

「……そうは言ってもメルの言う通りなら、やっぱりエルフは恩人なんじゃないのか?」


 その場に居たリアスはそう口にする。

 それにはフィーナは首を縦に振った。

 だというのに意見は変えるつもりはないのだろう……。


「その時はその時……今は私の大事な子を傷つけた敵だよ? でも……」


 母であるフィーナは悲しそうにメルを見つめる。


「もう一人のエルフが言う事が本当なら……私じゃ駄目なんだね?」


 駄目……とは恐らく精霊の覚醒の事だろう。

 姿が変わった精霊達を見てフィーナは……。


「シルフが変わって驚いてたらまさかウンディーネもだなんて……それに」


 彼女が目を向けた先、そこには本来温暖なメルン地方に入るはずのない精霊の姿が見えた。

 グラネージュ……いや、今の名はフアル。

 彼女はフィーナの事を覚えていたのだろうが、メル達の傍から離れようとはせずに辺りの様子を窺うように見渡していた。


「久しぶりだね?」


 フィーナに声をかけられた彼女は一瞬ビクリと身体を震わせる。

 しかし、すぐにいつもの様子へと戻ると……。


『こ、此処が貴方たちの住む場所なんだね……熱くて仕方がない』


 そう一言口にした後、彼女は再び周りを見回す。


『ケ、ケルムは居るの?』


 そして、明らかに警戒したような素振りを見せフィーナに問う。

 それを見てメルは初めて理解した。

 精霊グラネージュとして彼女はケルムと一緒に冒険していたのだ。

 母達の話からは「ケルムは変態」と言っていたという事は聞いていたが、それでも傍にいた。

 精霊は嘘はつかないが、同時に特別な理由以外で裏切る事もない。

 一緒に居たという事は彼女の力を頻繁にケルムは借りていたのだろう、つまり……。


「ケルムに会えると思って緊張してるの?」

『そ、そそそそそそそんな訳ないでしょ!? 変態で変態で! 変態なんだよ!?』


 声が聞こえるメル達三人は乾いた笑い声を上げる。

 しかし、今のやり取りでメルは分かった。

 本当はケルムと会いたいんだと……それだけ信頼を寄せていたのだろう。

 メルの視線に気が付いたフアルは――。


『変態……だけど、真面目だった……ユーリに負けた後、絶対に力になるんだって……頑張って……うん、凄く……頑張って……それで本当について行っちゃう程だったからね』


 まるで恋する乙女の様に両手を前で組みくねくねと踊る様は妙に愛らしい。

 そんな彼女を見てフィーナは……。


「た、確かに頼りになる……けど、どうしたの!? 精霊のあなたがそんなことを……」

「多分個人として行動してるから、色々な感情が出てるんだと思う……」


 普段の精霊は恋愛感情などはない。

 ただ、相手を信頼できるかできないかの違いだけだ。

 しかし、今のグラネージュ、いやフアルはそうではない。

 明らかに好意を持っている。

 それはその場に居た森族(フォーレ)の三人には理解出来た。


『で、でも! ケルムには内緒だからね!! その! 絶対!』


 焦った様子も自然であり、メル達は微笑む。


「和んでるところ悪いが、それで船は借りれるんだよな?」


 そんな中、リアスは申し訳なさそうにそう言うとフィーナは微笑みながら頷き。


「うん! 大丈夫だよ」


 と笑みを見せる。

 そして――。


「多分もうそろそろ戻ってくるだろうから、その前に……お昼ご飯食べようかー? 今日はメルの好きな物を私が作るよ?」

「フィーナママが!? やったぁ!!」


 メルはシアやユーリの料理が好きだったが、フィーナの料理は特別だった。

 見た目は二人ほど良い物ではない、寧ろ不格好と言った方が良いだろう。

 だが、味は見た目に反し美味しいのだ。

 母曰く愛情がこもっているからと言うが、メルは半分それは関係ないのでは? と思いつつもだからこそ美味しいのかも? とも思っていた。

 だからだろう、フィーナの料理が大好きなのだ。


「えへへ~楽しみだなぁ……!」


 メルはそう言いながらどんな料理が出てくるのか考え、その表情をへにゃりと崩した。

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