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私の夢は冒険者だったのにっ!!  作者: ウニア・キサラギ
13章 精霊達とメル
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289話 龍に抱かれる太陽へ

 故郷に無事たどり着いたメル達。

 彼女たちはその足で追うシルトの元へとは向かわず。

 一旦メルの実家「龍に抱かれる太陽」へと向かうことにした。

 すると、彼女たちを出迎えてくれた人物がいて……。

「貴女って子は……本当にいつまで経っても!!」


 そのままそこでお説教が始まるっという事は無かったが、それだけは口にしたシア。

 それに対しシュレムはいつもの彼女からは想像がつかない程怯え……。


「あ、いや……だって嫁を守るのは……」

「貴女はまだ子供でしょう!?」


 その声は張り上げた物ではない……しかし、逆らえない何かがある様でメル達も思わず黙ってしまう。


「さ、メル様も皆様も屋敷へと行きましょう、ご案内いたします」


 しかし、シアはシュレム以外も威圧されている事など、分からないのか、それとも分かっていてそう装っているのかは判断が付かなかったが、そう言うとすたすたと歩き始める。

 その後ろをメルは慌てて追いかけると他の仲間達も続き……。

 唯一ついて来なかったのはシュレム一人だ。

 彼女は後ろを向いたシアに対し、何故かほっとした様子でそろりそろりと歩き始めていた。

 勿論、メル達にも分からなかった事なのだが……。


「シュレムローネ、逃げようとしているなら無駄です」


 それを聞き始めて後ろを振り返ったメルは確かにシュレムが逃げようとしているのを目にした。

 何故わかったのだろう? と疑問に思う彼女だったが……シュレムも同じ事を考えたのか、驚いたような顔を浮かべていた。


「私は貴女の母ですよ? それでもまぁ、黙って出て行ったのはびっくりしましたが……この場で逃げようとするのは分かっています」


 その顔には笑顔が張り付いていた。

 しかし……。


 笑ってない!? シアさんが全然笑ってないよ!?


 メルはその笑顔には何もない事に気が付き唯々顔を引きつらせていた。

 その理由は簡単だ。

 メルはシアの雇い主であるナタリアの孫。

 しかし、シアに怒られた事が無いという訳ではない。

 実はシアはメルの母フィーナとも仲が良く、彼女の願いあって悪い事は悪い事と叱られた事は多々あるのだ。

 だからこそ分かるのだろう。


 うん、逃げようとしたと思った勘が当たってて更に怒ってる……。


 最早、シュレムには逃げる術がないと理解した彼女は何も出来なかった事を心の中で謝り、大人しくシアについて行くことにした。


 がっくりと項垂れたシュレムを連れ一行は屋敷へと戻る。

 大きな門をくぐるとまだ昼間だというのに賑やかなそこはリラーグにおいて一番と言われるほどの酒場だ。

 来客……いや、戻って来たメル達に気が付いた店主ゼファーは柔らかな笑みを浮かべる。


「メルちゃん、シュレムちゃん、エスイル君もお帰り」

「ただいま! ゼファーさん!」


 メルは笑顔で答えるのだが、シュレムはそんな余裕なんてないのだろう。

 エスイルさえも怒っているシアに驚き言葉を失っているぐらいだ。

 だが、ゼファーは日頃から見ていたから分かっていたのだろう……。


「シアさん、此処には皆が居る。怒るなら……」

「分っています!」


 眉を吊り上げたシアはゼファーにそう言うとシュレムの手を取り引っ張っていく……。

 普段なら声を上げるだろうシュレムは何も言わずにつれていかれ……それを見たリアスは驚きの声を上げた。


「あのシュレムがあそこまで大人しいとは……」

「う、うん……」


 メルは笑う事も出来ず、ただただ彼女を見送る事しか出来ない事に心の中で謝りつつ頷いた。

 今回の事は皆、相当怒っているという事だろう……メルは大人しくして置いた方が良いかもしれない。

 などと考えていると……。


「メールー?」

「ひゃい!?」


 懐かしい声が聞こえ、メルは油の切れた人形のように首を声の方へと向ける。

 そこには笑顔のまま彼女を迎えてくれた人が立っており……メルは慌てて両手を振った。


「あ、ああああああの! も、もうユーリママにはそれにフィーナママだって!!」

「うんうん、頑固だから戻って来ないって思ってたからね? でも、怒ってない訳がないよ?」


 近づくもう一人の母に、メルは助けを求めるように周りを見る。

 だが、見慣れた冒険者達は勿論、リアス達さえもその威圧感に気圧されたのか黙り込んでいる。

 そうこうしている内にいよいよ母が手を上げ……。


「ご、ごめんなさい!!」


 叩かれる! そう思った彼女は慌てて謝罪の言葉を口にした。

 だが――。


「――――え?」

「謝る前に、ちゃんと相談してほしかったな?」


 メルが感じたのは優しく包み込んでくれる腕。

 怒られるんじゃないのか? そう思った彼女は疑問を浮かべつつ母の顔を窺うと……。


「怒ってない訳じゃないよ? だけどユーリがちゃんと怒ってくれたって言ってたからね? もう、相談しないでこんな事はしない事!」

「……ぅぅ……はい」


 先程の様子を隠す事は無い母に注意をされ、今姿の見えないもう一人の母に対し感謝しつつメルは頷いた。


「じゃぁ、部屋に行こうかー? 君達も、ね?」


 リアス達もまたフィーナに気圧されたのか無言で頷き、メル達は部屋へと向かう。

 そこには祖母ナタリアやもう一人の母ユーリが居るのだろうか?

 メルは期待を膨らませつつ、懐かしいその場所へと向かう。

 しかし、部屋を開けると其処には誰の姿もなく……。


「あ、あれ?」

「ユーリ達なら今船の整備をしてるよ?」


 笑みを浮かべ答えたフィーナ。

 だが、彼女はすぐに表情を引き締めると……。


「それで、どうしてルーフにはいかないの?」

「それは……」


 返ってきた当然の質問にメルは……ゆっくりと語り始めたのだった。

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