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私の夢は冒険者だったのにっ!!  作者: ウニア・キサラギ
13章 精霊達とメル
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287話 故郷リラーグへ

 一行はフィッツとルーイの協力もあり、無事メルン地方の港町。

 ドイズールへとたどり着く。

 後はリラーグに行き飛龍船へと乗り込むだけだ……。

 港町ドイズール、復興を果たしたその街は活気に溢れ是非とも見て回りたいそう思ったが、残念ながら今は先を急ぎたいメル達は食材をわずかに買い足すとすぐに門の所へと向かう。


「ここを抜けたら後はリラーグに戻るだけだな」


 シュレムはそう言うと肩をぐるぐると回す。


「メル達にとっては慣れた土地なんだろ?」


 リアスはそう言うがメルはその言葉に思わず苦笑いを浮かべる。


「えっと、えへへへ……」


 旅に出る前はメルが外に出る時は決まって飛龍船を使い外出していた。

 だから空から見た事はあっても実際に歩くことは機会が無かったのだ。

 つまり……。


「まさか……」

「えっと、初めて歩くよ? でも話を聞く限り一日かかる……って事は無いから」


 と頬をかきながら告げた。

 するとライノとリアスは苦笑し……鞄の中から地図を取り出そうとするが、空を仰ぎその必要はないと判断した。

 何故なら、まだ遠くではあるが冒険者の街リラーグはそこにあったからだ。


「目的地は見えてるんだ、焦らずに行こう……魔物に会うかもしれないからな」

「分ってる」


 メルは旅の始まりの日の事を思い出す。

 あの時は何もかもが初めてで何とか動けた物の今考えれば生き残れたのは運が良かったと思えるものだった。

 それはシュレムも同じだったのだろう、明後日の方向へと目を向けながらポリポリと頭をかく……。


「ま、まぁ……敵を見つけても駆けて行かない、だったよな?」


 改めて確認するシュレムにたいし、メル達は少し笑みをこぼした。


「今のシュレムならもう大丈夫だよ」


 メルは姉に対し信頼を寄せる言葉を告げる。

 するとリアスは一回頷くものの……。


「だけど、メルが危険な目に遭った時はどうなるか……」


 そう言って笑う彼に対しシュレムは半眼で睨むと舌打ちをした。


「メルはオレの嫁だぞ? 嫁をが危ないってのに何もしない馬鹿が居るのか?」


 とさも当然のことのように言う。


「いや、シュレムお姉ちゃんも女の子だよ!?」


 エスイルはいつもの突込みを入れ最早見慣れた光景ともいえるそれにライノは微笑む。


「さぁ、じゃあ皆……リラーグは目の前よ? 行きましょう」


 そして、そう提案したライノに対しメル達は頷き前へと向く……。

 彼女達の目的は精霊を救う事……しかし、旅の途中であったエルフの助言により今はまだそれが無理だと告げられ、新たなる目的地フォーグへ向け旅立つために故郷へと舞い戻った。

 一歩、そしてまた一歩が旅の始まりと思いが違う。

 そう感じながらもメルは進む……。

 そんな彼女たちの前に現れたのは懐かしい魔物ヴォールクという狼の魔物だ。

 群れをなしたその魔物達はメル達を獲物と判断し囲う。

 しかし、メル達は焦る様子もなく武器を構えると……。


「来るよ! 皆!!」


 彼女(メル)の号令により、仲間達は魔物を双眸で捕らえた。

 相手は狩りを得意とする魔物ではあるものの冒険者にとっては楽な相手と言っても良い。

 しかし、だからと言って油断はできないのだ。

 何故ならその油断が命取りとなり、何人もの冒険者が命を失った。

 だが、それも冒険者になりたての者が犯す失態と言って良いだろう。

 しかし旅になれたと言っても良いメル達も次に失態を犯す危険な時期と言って良いだろう。


「魔物の動きを見て……冷静に!!」


 メルは仲間達に注意を促す。

 その様子からも相手を侮る気配はない。

 そうなれば、相手は格下……冷静に動くメル達にヴォールクは成す術もなく倒されていく。


「まだだ! 数が減ったとは言っても油断するな!!」


 リアスもまた警戒をするように促し……。


「分って…………らぁ!!」


 シュレムは咆哮と共に蹴りを繰り出し、魔物を吹き飛ばす。


「い、今ので終わりみたいだよ!」


 辺りを確認する為に耳をすませていたエスイルの言葉でメル達はようやくほっと息をついた。

 メル達は武器に着いた血の処理を済ませると魔物達を焼き払い先に進む。

 別に死体をそのままにしておいても良かったのだが、血の臭いで他の魔物が寄ってくるのを警戒したのだ。

 そう言った細かい事が冒険者にとって大事な物でもある。

 彼女達は確かに危険な時期ではあった……だが、それを乗り越えることはできるだろう。

 なぜなら決して過信せずに行動ができるからだ……。

 そして、これまでそのおかげで……成長してきた。


 そんなメル達は更に歩きリラーグを目指す。

 もう目には捉えられているそこは日が沈む前には着けるだろう。


「もう少し……」


 近づいて来た故郷にメルは複雑な思いを感じつつそう口にした。

 精霊を助けなければならない。

 だけど、それにはただルーフへと行けばいいわけではなく、今はフォーグを目指す必要がある。

 それは母達に伝えた事だ。

 だが、世界を滅ぼそうとしている者がエルフの一人だと知ったら母達は何と言うのだろうか?

 そんなはずはない! そう言うだろうか? いや、それは無いだろう……だが、エルフは母達の恩人。

 そう簡単に敵だと割り切ることはメルよりも難しいだろう。


 どうにかして、止めないと!


 だからこそ、メルは心の中で強く叫びをあげた。

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