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私の夢は冒険者だったのにっ!!  作者: ウニア・キサラギ
13章 精霊達とメル
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283話 針路変更?

 ルーフへとまだ向かってはいけない理由。

 もう一人のエルフそれに対抗するには精霊の道具を集め、力を蓄えることが必要だという。

 メルは翌日そのことを仲間に話すのだが?

「フォーグ!?」


 それに驚いたのはフィッツだ。

 実際に舵を握る彼はその大陸の名を聞くといよいよメルへと詰め寄り……。


「おいちょっと待て! ここからフォーグに向かうとか言うんじゃないだろうな!?」


 そう慌てたように尋ねた。

 勿論メルも彼のその慌て様には当然だと考える。

 何故ならここからフォーグへ行くには針路を大きく変えなければならず、その上今積んでいる食料では到底足りるはずもない。

 飛龍船であれば母ユーリが作った保冷箱のお蔭もあり、食料を多く詰めるのだが……。

 生憎、氷の魔法を使える人間はまだユーリとナタリア……そして、メルしかいないのだ。

 手に入れたばかりのこの船に保冷箱があるはずもない。


「……メル、こればっかりは俺も反対だ」


 リアスもまた、食料や精霊の事を考えてくれているのだろう……険しい顔を浮かべるとフォーグへ行くことを反対と言う。

 いや、彼だけではない……ライノもエスイルもルーイも表情は硬いものになっていた。


「おいおい! メルが今のままじゃ駄目だ! って言ってるんだぞ?」


 ただ一人、シュレムだけがフォーグと聞いてメルの言葉に従うつもりらしいが、メルは……。


「シュレム、皆が正しいんだよ……」

「メル!? だって……今!!」


 メルの言葉に当然シュレムは声を上げる。

 しかし、メルは困った様に笑うと耳を更に垂らし、尻尾を力なく揺らすと……。


「フォーグに行くには食料は足りないし、それに……針路も大きく変えないといけないの、それ位は私でも分かるよ」

「じゃ、じゃぁ……このままルーフに行くのか?」


 シュレムのその質問にはメルは答えに迷った。

 エルフの言う事が本当であれば、いや、彼女もまた精霊である事を考えれば本当なのだろう……。

 今のままでは精霊達を助けることが出来ない。


 それどころかこのままじゃ皆……やっぱりここはママ達に……。


 そう思うも、エルフの言った言葉を思い出し、メルは――。


「それでも、私はフォーグに行かないと駄目なの……このままじゃ精霊だけじゃない、皆、皆……死んじゃう」

「………………」

「おまえなぁ……」


 黙り込むリアスと呆れた様子のフィッツ。


「言っておくが、ここからフォーグに行くにはまずドイズールの方に行かなきゃいけない! それには食料が足りないんだよ!」


 怒鳴り声を上げる彼はリアスの方へと目を向ける。

 彼もまた冷静な判断を下すと思っていたのだろう。


「仕方ない……そこまで言ってるんだ。食料は釣りかなにかでどうにかするしかないか……水はメルの魔法でなんとかなるだろ?」

「リア……ス……?」


 メルはリアスがフォーグに行く算段を考えてくれていた事に驚く……つい先ほどまでは反対していたのに何故だろうか?


「メルが意味もなくフォーグに行きたいって言う事は無いからな」


 彼はそう言うとライノとエスイルへと目を向ける。

 その視線に気が付いた彼らは――。


「確かに……そうね、それは分かってるわ」

「うん……でも、本当にそうするの?」


 二人もまたメルが考えも無しにフォーグに行きたいとは思っていないみたいだ。

 だが、エスイルはそれを知ってなお……不安は取り払えない様だ。

 当然だろう……釣りをするのは良い、だが絶対に釣れる! なんて保障はないのだから。


「もしもの時の事を考えるのは悪くない、だけどフォーグに行くまでに港に寄らない、なんて事は無いだろ?」


 今度はフィッツとルーイの方へと目を向けたリアス。

 そんな彼の対応に二人は戸惑っている様だ。


「針路を変えるのは特別反対する理由もないですが……そうなると一旦戻って食料の補充……」

「その後、メルンのドイズールへと向かってまた補充……金はあるのか?」


 そう食料をそろえる為には勿論、路銀は必要だ。

 メル達は互いに顔を合わせると……集まり、徐にそれぞれの財布の中身を見てみる。

 そして、出した結論は……。


「い、一応、お魚が釣れ続ければ何とか……」

「駄目じゃねーか……」


 最早怒鳴る気力もないのだろう、フィッツは頭を抱えるようにし左右に振り始める。

 がっくりと項垂れるメル達の中、唯一財布を持っていないシュレムは首を傾げ……。


「駄目じゃねぇと思うぞ?」

「いや、駄目だろうが……ドイズールからどうやってフォーグに行くんだよ?」


 彼の質問に当然と言った風に胸を張るシュレム。

 そんな彼女の胸を見るとメルは何やらもやもやしたものを抱えるのだが……今はそれよりも彼女の言葉を待つ。


「リラーグに行く!」

「……へ? リラーグ……? っ!? シュ、シュレムまさか?」


 リラーグ。

 冒険者の憧れの地であり、この世界で唯一空に浮く都市。

 そこに行くには転移門か空を飛ぶしかないのだが、唯一それをせずに街を出入りする方法がある。

 メルはまさかシュレムはそれを使う気なのでは? と考え驚きの声を上げた。


「デゼルト……飛龍船に乗るつもり?」

「あったり前だろ? あれならフォーグなんてあっという間だ!!」


 シュレムの答えは予想通りで……龍に抱かれる太陽……メルの実家である酒場の冒険者達の移動手段であり、メルにとっての大事な家族……太陽の龍の力を借りる事だった。

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