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私の夢は冒険者だったのにっ!!  作者: ウニア・キサラギ
13章 精霊達とメル
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282話 エルフ

 真夜中の船の中、メルを呼ぶ声が聞こえた。

 メルは声に導かれ、彼女と出会う。

 しかし、今はまだルーフへと言ってはいけないと言われてしまった。

 果たしてその理由は?

「え…………?」


 エルフの言葉にメルは辛うじてそう返す。

 するとエルフは真剣な眼でゆっくりと語り続けた。


『確かに精霊達を助けるためには幼子の力が必要、ですが……今、あの地へと赴けばあの者達が待っているでしょう』


 それはもう一人のエルフが待っているという事であり、理由としてはメルは首を傾げる物だった。


「でも、それじゃ……皆を」


 助けられない。

 そう続けようとした言葉はエルフがそっと手をメルの口元にあてる仕草をし止められる。


『良いですかメアルリース……あの者は貴女達を含んだ数人の命は助けるつもりです。ですが、他の者は滅ぼそうとするでしょう』


 滅ぼす……その言葉にメルは驚くも本当にそんな力があるのだろうか?

 そう疑問を抱えた。

 事実、エルフには人に力を与えるという力があり、それによって母達も救われたのだ。

 そう考えると滅ぼすなど動作もない事なのだろうか? とも考えるが、全く想像がつかない物だった。


『……信じられませんか?』

「う、うん……」


 メルはエルフの問いに頷く。

 すると、彼女もまた何度か首を縦に振り……。


『そうでしょう……ですが、幼子の精霊力で力を得た精霊達を暴走させれば可能なのです……』

「せ、精霊達を暴走?」


 どういう事?

 だって、精霊達は……。


『そして、それには私達にとっては毒ともいえる魔力を使い、その力に耐える器も必要です……それは……』


 言葉は途中で止まった。

 しかし、その瞳は真っ直ぐメルを捉えており、彼女が何を言いたいのかをメルは理解した。


「わ、私? 私を器ってどういう事?」

『器……と言う表現は正しくないのかもしれませんね、ですが……精霊力と魔力どちらも持ち、エルフの干渉できる身体……それは貴女しかいないのです』


 答えにはなっていない言葉。

 しかし、自身が世界の危機に関わっている事が分かったメルは……。


「じゃ、じゃぁ私は旅を続けたらいけないの?」


 と問う……。

 しかし、それにはエルフは首を横に振り。


『いいえ、逆にあなたは精霊に力を与える事も出来ます。神子である幼子とは違い、新たな力を……』

「でも! それはエスイルでも出来たことだよ? それじゃ……」


 エスイルも自分と同じではないか? そんな不安を覚えたメル。

 しかし……。


『あの幼子とグラネージュの相性がたまたまよかっただけでしょう……』


 エルフはそう告げるともう一度メルへと笑みを浮かべ。


『残る二つの精霊の加護を受けるものを探しに行きなさい、一つはフォーグに……もう一つは貴方の傍に……』


 そう告げると彼女はゆっくりと薄れて行き……。


「ま、待って!!」


 メルの願いは叶うことなく……その場には静寂が流れた。


「フォーグ地方……それに私の傍?」


 偶然なのだろうか? それとも必然なのか?

 メルはフォーグに居るというカルロスの師には会っておかねばと考えていた。

 とはいえ、今は精霊達を助ける方が先……そう思っていたのだが……。


「他の精霊を探す? でも……」


 今はルーフへと向かっている最中だ。

 もし進路を変えるなら食料などの問題もあり、メル一人の判断で決められるものではない。

 誰かほかに話を聞いていた人はいないだろうか? そう思い振り返るも誰の気配もしなかった。


「朝に話すしか……ない、よね」


 メルはそう口にすると仲間達の眠る部屋へと戻っていく……。

 その途中、メルはふと天井を仰ぎ……。


 でも、元々エルフは二人で一人じゃなかったのかな?

 もし、そうだとしたら……私達人間の所為で二人に分かれた?

 それも……意見が分かれてしまうぐらいに……。

 どうにかしてあげられないのかな?


 と考えながら部屋へと戻ろうとした。


『メル!』

「へ? きゃ!?」


 だが、突然かけられた声にメルは驚き……小さな悲鳴を上げた。

 気が付くと目の前には風の精霊アリアが居り……。


『部屋はこっちだよ!』


 と指を向けた方向はメルが進もうとしていた方とは全くの逆方向だった。







 翌朝……。

 メルは仲間達を呼び寄せ……昨日の話をしようとした。


「で、なんなんだ?」


 その中でも不機嫌そうなのはこの船を動かすフィッツだ。


「早く済ませてくれ……」


 そういう彼に申し訳ないと思いつつメルは結論から切り出した。


「今のままじゃルーフに行っても意味がない」

「……どういうことだ?」


 メルの言葉にそう返したのはリアスだ。

 彼の質問にメルは答えようかどうか、少し迷ったが意を決したような表情へと変え、尻尾をピンっと立てると……。


「昨日の夜……エルフがそう言ってた。他の精霊の力も必要だって……」

「はぁ!? エルフってあのエルフか!?」


 素っ頓狂な声を上げたのはフィッツ。

 彼はメルの方へと一歩寄ると……。


「てめぇ、たった一人で富を貰ったのか!」


 エルフと出会えると豊かになれる。

 そんな伝説があったが、メルはそうは思わなかった。

 しかし、有益な情報と武器を貰えたのは事実だ。


「意味がない事を教えてもらった。これは……私だけ得する物じゃないから……」


 そう答えるとフィッツは納得いかなそうな顔を浮かべたが、話が長引く事を嫌がったのだろう後ろへと下がる。


「それで、一つはフォーグにあるって話で……」


 メルはそれを確認し、言葉を続けるのだった。

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