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私の夢は冒険者だったのにっ!!  作者: ウニア・キサラギ
13章 精霊達とメル
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281話 邂逅

 海へと出たメル達が目指すのはルーフという場所だ。

 だが、一つ気がかりなことがある、あの騎士たちのことだ。

 ライノは戦争の火種……それがメルンにも飛び始めたのではないか? と口にするのだった。

 精霊達の血からの事は隠した方が良い。

 そう感じたメル達であったが……。


「でも、いざって時には力を借りるんだよな?」


 シュレムの言葉にはメルは頷いた。


「うん……またあのオプスとかが……相手なら、私達が強くならない限り……」


 そう答えた物のやはり気になるのは精霊達の負担だ。

 精霊力を分ける物が違うだけであの体調不良を訴えたのだし、何か良くない事もあるのではないか?

 そう考えたメルはどうしても相性の良い者でも負担があるのでは? と考えたのだ。


「とにかくドリアードの事はアーティファクトが無いと分からないし、精霊達の事も今できるできるわけじゃない。目先の問題は……今どうやって早く精霊を助けるか……だな」


 リアスは考えるそぶりを見せつつもそう提案し、メル達は揃って首を縦に振る。

 救う方法ならある。

 それはエスイルが首飾りを持ってルーフへと向かえば良いだけなのだから……。

 後は向こう側で精霊を生み出す儀式を行えばそれで終わり。


 船は順調に進んでいる。

 食料も十分な量がある。

 何も問題はない……と考えるにはまだ早い気がするメルだったが、警戒さえ怠らない様にすれば大丈夫だろう。 


「っと……私達は今日はそろそろ休もうか?」


 万が一に備えるためにもメル達自身が消耗する訳にはいかない。

 そう考えた彼女は仲間達に休むことを伝え、部屋へと戻ろうと立ち上がった。


「そうだな……じゃぁ、俺達は起きてるよ」

「え?」


 意外な言葉にメルは驚き、振り返る。

 するとリアスは優し気な笑みを浮かべ……。


「メルとエスイルには万が一の時に備えてもらわないとな」


 と言うのだが……それを聞いたシュレムは――。


「馬鹿か? お前も休め! 今まともに戦えるのはメルを含めた3人だけだぞ!? オレは武器がねぇんだからな!?」


 と怒り始めた。

 シュレムの発言にメルは慌てて彼女を押さえようとしたのだが、リアスはきょとんとした表情を浮かべた後――。

 彼女に笑みを向け……。


「わかった、なら俺も休もう」


 と素直に答え、ほっとする一方その笑みが自分に向けられた物でない事にメルは複雑な思いを抱えた……。

 しかし、シュレムはそうではないようで……。


「当たり前だ馬鹿!」


 と呆れたように口にしたのだった。



 船の上と言う場所ではあったが、航海士と操縦士の腕のお蔭もあり、メル達は久しぶりにゆっくりと休めた気がした。

 波に揺れる船は最初は変な感じがしたのだが、慣れてしまえばまるでゆりかごの様だった。

 幼い頃、母に抱かれ寝かされた……そんな時の事をぼんやり思い出しながら、メルは深い眠りについて行く……。





 真夜中に、メルはふと目を覚ます。

 眠れなかったりした訳ではない。

 誰かに呼ばれた気がしたのだ……。


「んぅ?」


 気のせいだろう……メルはそう思いつつも先程聞こえた声が気になった。


 誰だろう?


 まだ寝ぼけていたからだろう、もぞもぞとベッドを抜け出した彼女はふらふらと外へと向かっていく……。

 寝ぼけ眼の彼女が目を覚ましたのは夜風に身を縮こませてからだった。


「ぅぅ……さ、寒い……どうしたんだろう……夢を見て寝ぼけてたのかな?」


 思わずつぶやいた彼女はすぐに部屋へと戻ろうとした。


『メアルリース……』


 だが、その声ははっきりと聞え、メルは後ろへと振り向く。


「っ!?」


 瞬間、腰へと手を当てるが其処に武器が無い事に気が付くとすぐに右手を()()へと向けた。

 だが、彼女は柔らかな笑みを浮かべると……。


『やっと会えましたね』

「やっと……?」


 メルはその言葉に疑問を抱き首を傾げた。

 そんなはずはない……そう、目の前に居るエルフは紛れもなく港町で会った彼女だ。

 だが、彼女はそうではない様だ……メルも最初こそは警戒したものの、纏う雰囲気が違う事に気が付くと警戒を少し解き……。


「リアスに剣をくれたエルフ?」


 彼女へと問う。

 すると彼女は首を縦に振り……。


『彼はしっかりと答えを持っていました……ですが、一つ語弊があります。ナウラメギルが主と決めたのであり、私はきっかけを与えたにすぎません』

「……何で二人で意見が分かれてるの?」


 エルフはその質問には少しの間沈黙した。

 しかし、ゆっくりと口を動かし始め……。


『早く言えば、子を傷つけられた事にあの者は怒っています』

「……あなたは?」


 子と言ったからには目の前に居るエルフも怒っているのでは? とメルは疑った。

 事実、子を傷つけられて怒らない親はいないだろう。


『同じです』


 その証拠に目の前のエルフははっきりと答えたのだ。

 だが……。


『ですが、私は優しい魔法を使う彼女とその家族達を信じていました……きっと子を助けてくれると……だからこそ、彼女に力を与えました』


 エルフはそう口にすると柔らかな笑みを浮かべ……メルはその美貌に同性だというのに思わずドキリとしてしまった。


『……そして、彼女の子である貴女と仲間達が我が子を助けようと動き始めてくれています』

「……私達が」


 確かに精霊を救うための旅……その通りだ。

 

『メアルリース……今はルーフへと向かってはなりません……』


 だが、続くエルフの言葉はメルが全く予想をしなかったものだった……。

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